言語発達遅滞とはいったい何か?その症状、原因、検査方法、訓練方法は?

発達障害

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意外と知られていない言語発達遅滞というものを理解して頂く為、基本的な知識をまとめてみました。

言語発達とは何か?

そもそも言語発達とは何なのでしょうか?
言葉発達には『理解力』『表出力』の2つの側面があります。『理解力』は目や耳から得た言葉を頭に“インプット”する力、『表出力』は頭で考えた言葉を口や手から“アウトプット”する力と言う事ができます。

「聴く」「視る」「読む」といった能力は『理解力』、「書く」「計算する」「推論する」といった能力は『表出力』に分類できるでしょう。

言語発達遅滞とは?

それでは言語発達遅滞とは、どういう状態を言うのでしょうか?

子どもはおよそ5歳までに基本的な言語構造を獲得する様です。それまでの発達過程に問題があり、コミュニケーション能力が年齢相当の水準に達していない状態を言語発達遅延という様です。より具体的には、言語の『表出力』の発達が明らかに遅れている場合(言語発達が定型発達から幼児期は1歳以上、学童期では2歳以上の遅れが認められた場合)、そう定義されることが多い様です。言語発達遅滞が進展すると、最終的には知的障害や学習障害にもなる様です。

【言語発達遅滞の確認事例】
・1歳半までに意味のある単語を話さない。
・1歳半までに2〜3のありふれた言語の理解ができない。
・2歳までに簡単な言語指示に従えない。
・3歳までに2語文を話さない。
など

言語発達遅滞の原因とは?

言語発達遅滞の原因ですが、以下の様なことが考えられる様です。

【言語発達遅滞の考えられる原因】
・聴覚障害(聴力障害)
・精神発達遅滞
・対人関係の障害(自閉症などの発達障害)
・脳の障害(失語症 ※1)
・発声発語器官の器質的な障害(構音障害 ※2)
・身体発育の不全
・不適切な言語環境(テレビやビデオの見すぎ、不適切な療育環境で言葉がけが極端に少ない、言葉でコミュニケーションをとる経験が少ないなど)
・吃音 ※3
・発達性言語障害 ※4
など

※1:失語症:大脳にある言葉に関する働きを司る言語中枢が損傷を受けたために言葉を使う機能がうまく働かなくなる状態。

※2:構音障害:口唇、舌、軟口蓋などの形態的・機能的障害により、言葉が誤って生成される状態。話す機能は障害とされるが、言語の理解が正常である点が失語症と異なる。

※3:吃音:話の流暢さを損ない、引っかかるような発語をする状態。多語文が増える2〜4歳頃には、言葉がつかえて吃音のような状態が生理的に起こる。周囲が気にしたり、言い直させたりすると、心理的緊張が強くなって吃音が持続しやすい。親の焦りで無意識に子どもにプレッシャーをかけることには注意が必要。親が子どもの話をゆっくり聞き、子どもが心理的にリラックスできるように心がけることが大事。

※4:発達性言語障害:原因はなくて“単に言葉が遅いだけ”という状態。3才前後からキャッチ・アップする。自分から話す言葉は少なくても言語理解ができ、周りの人が話す内容は分かる。

言語発達遅滞の検査、治療、訓練とは?

検査ではまず、難聴のスクリーニングを行うことが多い様です。簡易的には左右の指擦音(指をこすり合わせて出す小さな音)への振り向き反応や、ささやき声による絵カード指しなどで聴力を確認する様です。更に、耳音響放射、幼児聴力検査、アブミ骨筋反射などを基に、脳波聴力検査で精査を行う様です。最後に、発達質問紙などを用いて理解力や表出力を確認して、総合的な評価を行う様です。

訓練としては、言語障害に対し言語療法士のもとで幼児向けの言語訓練プログラムを行うことが一般的な様です。最後に家庭ででも工夫できることを記載し、本コラムを締めさせて頂きます。

【家庭で工夫できること】
・言語表出より理解力をつけさせる。「○を持って来て」などの言語指示を毎日行う。発達段階に合わせ、同時指示を2語、3語と増やす。
・子どものコミュニケーション意欲を育てる。したいことを表現させ、一緒に行うなど。
・傾聴態度を育てる。子どもの表情を見ながら、明瞭で短い言葉で話しかけたり、絵本の読み聞かせをする。
・広い意味での社会性を育てる。地域の親子交流教室や、幼稚園・保育園の行事に積極的に参加する。
など

参考文献

言語発達遅滞児の遅れの要因(近畿大学医学部耳鼻咽喉科学教室)
https://www.jstage.jst.go.jp/

今日の臨床サポート
https:https://clinicalsup.jp/

AKIRA

AKIRA

IT業界で社会人生活を開始し、うつ病を発症。20年近く働き続けるも、体調悪化で転職を何度か経験。その後、自閉症スペクトラムが確認され、根本治療に乗り出す。現在は、脳科学やマインドフルネスを独学で学び、就労移行支援所で、学んだ事を検証して体調が大幅に回復。趣味は野球とビジネス書の読書。最近は脳科学に関する本を読みあさり、オタク化が進行中。

学習障害(LD)

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