第5回天才アート企画展「2つのNAGARE」京都市中京区にて開催!
ニュース美術的な表現力に特化した障害者が多く所属する「天才アートKYOTO」が、5月18日〜26日の間に企画展を行います。企画展で扱う2種のアートには根底に己の流儀があります。それを流れ(NAGARE)とし、メインテーマに据えています。天才アート企画展には春期と秋期があり、今回は春期にあたります。春期は作品そのものを対象とし、設定されたテーマに基づき選出された作品を展示します。この天才アートKYOTOと企画展について詳しく紹介します。
NPO法人「天才アートKYOTO」とは
天才アートKYOTOは京都市東山区にアトリエを構えるNPO法人で、美術的なセンスや技術力に優れた障害者が多く所属しています。設立当初は「天才アートミュージアム」という名称でしたが、京都に根差し京都から発信する意味合いを込めて「天才アートKYOTO」に改名しました。
芸術や美術に対し興味やスキルを持ちながらも、創作の機会に恵まれない障害者は多いそうです。そうした人たちにのびのびと創作できる場を提供する理念のもと設立されました。所属メンバーの作品は、展示したり評価研究したりして、その公開を通じて障害者の持つ高い芸術性を認知してもらう事が第一の目的です。
第二の目的は、障害者の余暇や就労について選択肢を増やし、自立や社会参加の形を多彩にすることでノーマライゼーション社会の実現に寄与することです。要は何かしらの形でアートを生きる糧とする選択肢が確立されればいいなという願いです。
2つのNAGARE
副題である「2つのNAGARE」ですが、2つの流儀と大河のごとく安定した継続力から名付けられました。2つの流儀というのは動植物画とコラージュ文字のことを指し、高水準の作業スピードや記憶力を武器にアートを完成させていくのだそうです。この企画展で作品を出すのは、高畠(たかばたけ)晃平・長村駿(すぐる)・服部可菜恵・富田晃生(あきお)の4名です。(敬称略)
①動植物画
高畠・長村・服部の3名は、動植物をテーマとしたデザイン画を担当します。パステル画や水彩画などそれぞれが得意とする様式で、スピーディーに作品を生み出していきます。
②コラージュ文字
富田は興味を持った会社や商品などのロゴを憶え、その記憶を頼りに厚紙を切り貼りして再現するというコラージュ文字を得意とします。知名度の高い企業や商品名、またはJASマークなどの変わり種も存在します。
障害者芸術のマーケットを確立したい
天才アートKYOTOが持つ目標とは、障害者芸術のマーケットを確立することです。その一環として、発生した利益を作者へ還元することにより障害者の経済的自立を支援しています。とはいえ、大人ひとりが自立するほどの経済支援をわずかな利益だけで賄うのは難しいでしょう。
しかし、協賛企業や支援団体などがつけば目標達成へ大きく前進するかもしれません。そのために展示会などの活動を重ね、障害者芸術への理解と共感を得ようとしているのです。
もし障害者芸術が正式なマーケットとして確立されれば、就労継続支援事業所にとっては重要な拠り所となるでしょう。全ての人に芸術のスキルやセンスが備わっている訳ではありませんが、軽作業ばかりでなく独創性を発揮できる事業所(特にB型)が増えれば、障害者福祉にも新しい風が吹くと思います。
個人的には障害者が手っ取り早く自立するにはアートしかないと思っていた節があるので、天才アートKYOTOの理念および活動には多大な尊敬と期待の念を抱いています。
天才アートKYOTOによります企画展「2つのNAGARE」は、5月18日から26日まで、京都市中京区の堀川御池ギャラリーにて開催されています。「創作スタイル(流儀)へのこだわり」「大河のごとく淀みなき継続力」という2つの「NAGARE」を実感してください。
アートとは障害者にとって、自分の“生”を表現するだけでなく自立の“糧”へとなりうる最短経路でもあります。障害者芸術から無限の生命と可能性を感じ取り、それを広めていただければ幸いです。
天才アートKYOTO – NPO法人 障碍者芸術推進研究機構
http://tensai-art.kyoto/