ディスレクシアとは?その症状・原因・対処方法は
発達障害出典:http://www.photo-ac.com
「ディスレクシア」という言葉をご存知でしょうか?1884年にドイツの眼科医によって報告・命名されたディスレクシアは、学習障害の一つで、文字の読み書きに困難さを持つ症状のことです。日本語では、「難読症」、「識字障害」、「(特異的)読字障害」、「読み書き障害」とも呼ばれます。
ディスレクシアは、知的障害ではありません。視覚・聴覚の器官にも、知的能力・一般的な理解能力にも異常はないのですが、文字の読み書きの学習に著しい困難を抱える障害です。欧米では人口の10〜15パーセント、日本でも人口の5〜8パーセントがこの障害を持っていると言われています。
ディスレクシアの症状
読み書きが困難であるとはいっても、文字がまったく読めないのではなく、文字を読む際の正確さと流暢さに問題があるそうです。文字の発音と文字記号を一致させる能力が弱いのだそうです。文字の形や部分を正しく認識することができないのです。
日本でディスレクシア患者を支援する「特定非営利活動法人EDGE」の症状の説明によると、文字の読み書きの学習が困難であるというよりは、文字の違いを認識することが困難であるとされています。知的障害でなく学習障害であることが分かりやすい説明ですね。
ディスレクシアである有名人
先ずは、ハリウッド男優のトム・クルーズです。彼が自らディスレクシアだと公表したことで、この障害の知名度が高まったそうです。同様に、キアヌ・リーブス、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイもディスレクシアであることを自ら公表しています。
幼少の頃、ディスレクシアの症状で苦労した彼らが皆、成人して克服しているわけではなく、聖書の朗読によって症状の改善を見ている人もいれば、朗読音声付き書籍を利用して読書をするなど対処の仕方は様々のようです。映画監督であるスティーヴン・スピルバーグも、現在でも脚本を読むのに人の2倍時間がかかるとのことです。
ディスレクシアの原因
最新の研究では、ディスレクシアの人は、脳での情報処理の仕方が一般の人と異なることが明らかになってきました。一般の人は脳内の情報を統合する領域で文字を自動的に処理していますが、ディスレクシアの人はこの文字の処理がスムーズに行えない脳の働きをしているそうです。
ディスレクシアの人の脳には文字の読み書きを行う中枢領域は存在せず、他の代替機能を使っているそうです。ディスレクシアの人はその代替機能において、普通と異なる脳の領域を使っていると考えられています。日本では、現在のところディスレクシアに関わる研究があまり進んでおらず、実態調査や実情把握もされていない状況で、成人のディスレクシアの判定法も確立されていません。
ディスレクシアの対処方法
代表的な対処方法には下記などがあります。
・文字のフォント(字体)やサイズをその人にとって見やすいものにする
・文章の行間を充分に空ける
・漢字は、一文字ずつ見せる。熟語などは意味のかたまり単位で読めるようにする
・一行ごとに読めるよう窓を作って表示する
・色つきの透明フィルターで文字をカバーする
・音声で読みあげ、音声として聞けるようにする
読み書き学習の症状を正確に判断できるのは小学校4年生くらいになってからだそうです。中学に上がると英語の読み書きも入ってくるため、途端に困難を示すケースがあるとのことです。ディスレクシアの本人にも、その親御さんにもなかなか判断できない障害だと思いますが、早期に分かることで本人の困り感を軽減することも可能になります。成績の良し悪しに感情的にならず、わが子の困り感や悩みに耳を傾けるように心掛けたいものです。
学習障害(LD)