まずは出口をみつけよう~「パニック障害」の治療について

パニック障害・不安障害

出典:Photo by Jackson David on Unsplash

みなさんは「パニック障害」という病気についてご存知でしょうか。

パニック障害は、年々増えつつある「不安障害」の1種で、精神の不安が体調まで影響してしまうという精神疾患です。

今回のコラムでは、私の実体験をふまえて「パニック障害」の治療法や有効な考え方を紹介していこうと思います。

パニック障害の症状について

パニック障害とはどのようなものなのか、私の実体験を交えつつ症状について紹介していきます。

パニック障害は、一部の場所や物、行動などに著しく不安を感じるあまり、体調自体にも悪影響を及ぼすという病気です。

具体的な症状として激しい動悸やめまい、吐き気などが挙げられ、これらの症状を「パニック発作」と言います。

私も含め、電車やバス、飛行機など「一定時間抜けられない、人目のある場所」で起こることが多いとされています。酷い人にいたっては、生きているだけで不安から体調を崩すほどになります。

最初のパニック発作は本当に前触れもなく、ある日唐突に起こります。前日まで普通だった場所や物を急に不安に感じ、以降は同様の場所や状況でパニック発作が起こるようになります。

パニック発作はその場所から離れることですぐに収まるため、この症状を病気だと認識できる人は多くありません。

自分が病気とわからず、おかしくなってしまったんじゃないかと、不安に思う場所が電車から駅、屋外などと広がっていく負のスパイラルに陥る場合も多くあります。

パニック障害で「絶対に死ぬことはない」~具体的な治療法について

まず、パニック障害のメカニズムについて簡単に説明しておきます。

パニック障害は、ある日不安だと「勘違い」した場所や状況に近づかないよう、脳が「防衛本能」からわざと体調を崩し、遠ざけようとして起こります。

つまりこの病気は、自己防衛が良くない方向に働いた結果なのです。

ここで覚えておいて欲しいのは、自己防衛のための症状なので「絶対に死ぬことはない」ということです。

自分を責めずに、死ぬことはないというワードを心に留めながら、回復を目指すことが最も重要です。

では次に具体的な治療法ですが、とにもかくにも精神科に通院を行いましょう。

あたりまえと感じる人も多いと思います。しかしながら、信じてもらえるか分からず、通うことができない人は少なくないはずです。

なのでまずは、パニック障害なのかそうではないのかを医師に判断してもらいましょう。

とはいえ、精神科医には当たり外れが大きく、人それぞれに合う医師、合わない医師がいます。

例えば、病気に関して患者を責めるような医師や、薬だけで解決しようとする医師など、様々です。

そのような場合は、いくつかの精神科医にかかり、自分にあった医師を見つけることをおすすめします。

薬ですぐに治る方も中にはいらっしゃいますが、薬だけでは治らないという方もいらっしゃいます。そういった方は、自分が安心する場所や行動を探しましょう。

例えば、私の場合、電車やバスなどではイヤホンをつけて音楽を聞き、自分のいる場所が電車だと思い出さないようにしています。これ以外にも、気分が悪くなったときのために袋を用意しておく、すぐに降りられるように出口の近くに毎回いるなど、様々な方法があります。

もちろん人によって合う方法、合わない方法がありますので、何でもいいから少しでも不安を楽にできる「何か」を見つけましょう。

安心材料が1つでもあると、パニック障害の出口も見つけやすいはずです。

次に、その安心する何かを意識しながら行動する場所を少しずつ広げていきましょう。例えば「今まで1駅しか電車に乗れなかったけど、今日は2駅乗れた」など、少しずつ前進していくイメージです。

もちろん、無理する必要はありませんので、本当に少しずつ、一歩ずつ前に踏み出しましょう。

ここまで来れば、後は同じことの繰り返しです。「1週間に1回しか乗れなかった電車に2回乗れた」「いつもはイヤホンがないと、乗れなかったけど、今日はイヤホンなしでも乗れたぞ」など、少しずつ行動範囲を広げていきましょう。

私の場合ある日どこかで「パニック発作」という選択肢がふと消えた気がします。

それからは、ほぼほぼ問題なく電車に乗れるようになり、1~2時間の急行電車にも乗れるようになりました。

パニック障害においてNGなことについて

パニック障害で一番NGなのは、自分を責めることです。パニック障害に限らず、精神病全般に言えることですが「気合が足りない」「気の持ちようだ」などと、いわゆる根性論のようなものを押しつけてくる人も中にはいます。

ですが、パニック障害はあくまで「病気」であり、根性で治るようなものではありません。

他の人に何かを言われたとしても、自分は「病気」だから仕方がないと割り切ることが重要です。

また、ハードルを高くするのもNGです。パニック障害では今まであたりまえにできたことが急にできなくなる、つまり10できたことが1もできなくなってしまいます。

その際、多くの人は10できていた時をイメージして、0を急に10まで戻そうとしがちです。

しかし、さっきも言いましたが、パニック障害は1歩ずつしっかり快方に向かっていくということが重要になります。

なので、チャレンジをして9できなかったとしても、1ができた自分をほめて、前を向いてしっかり進んでいきましょう。

そして最後に「できなければならない」と思い込むのも良くありません。

私の話に置き換えると、電車に乗れなくても車の免許を取ったり、徒歩圏内の会社に転職したりなど、代用案はいくらでもあるはずです。

「最悪できなくても、○○すればいいや」と自分で自分に保険をかけながら、気楽に考えて前に進みましょう。

おわりに

何度も言いますが、パニック障害で死ぬことはありません。

もちろん、死にたくなるほど体調を崩してしまう気持ちは痛いくらいにわかります。ただ、死ぬことはないというのを最低限の安心材料に、しっかりと前に進むことでいずれ出口が見えてくるはずです。

世の中には、有名な芸能人の方々をはじめとして、パニック障害で悩む方が沢山います。

そして、パニック障害を脱却し、健康的な生活を送っている人も大勢いるのです。

この症状になっているのは自分だけではないことを心に留めておくと、少しは安心できるかもしれません。

この記事が少しでも、パニック障害で苦しむ人の助けになれば幸いです。

中学生時代にパニック障害を発症。一度は回復したものの、社会人になって再度発症し、その際にかかった精神科にて、検査を勧められ、発達障害と診断されました。以降悪戦苦闘しながらも、社会に適応しようと奮闘中です。

趣味はゲーム全般で、最近はカードゲームに力を入れています。

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