発達障害と生きる 後編~診断を受けてからの私と思い描く未来

発達障害

出典:Photo by Mohamed Nohassi on Unsplash

◀過去の記事:発達障害と生きる 前編~私の成育歴と診断の経緯

2回にわたりお送りしております、発達障害グレーゾーンの私のこれまで。

今回は、診断を受けてからの仕事で困った場面や、就労移行支援事業所に通い始めてからのことをお話ししていきたいと思います。

診断を受けてからの2年間

抑うつ状態の診断書をもらい、1か月の休職をへて退職した私は、その後すぐに単発で働ける派遣会社に登録しました。

黙々とやる単純作業が得意なため、ピッキングや軽作業の工場でよく働いてました。

私は精神の調子によって障害特性の強弱が大きく変わるのですが、働き始めはとにかく作業の遅れが目立って落ち込む日々が続きました。

クリニックの先生と相談して、ADHDの薬を飲んでいた時期もありました。薬を飲んでスイッチが入ると、頭が冴えたような気がして段々作業に追いつけるようになりました。

慣れてきたことで精神も安定し、いつからか薬がなくても普通に作業ができるようになりました。

現在もADHDの特性に関しては、少しの不注意と朝の準備の遅さ以外は落ち着いています。

職場に慣れてくると今度は細かいことが気になってしまいます。

お菓子の工場では、検品の基準に納得がいかず作業を止めてしまったりモヤモヤが溜まっていきました。

モヤモヤが怒りに変わり、だんだん仕事に行くのが嫌になってしまい調子を崩して辞めてしまうというのを何回も繰り返していました。

ある時、単発で働いた現場でのご縁から、とある観光地にある伝統工芸品のお店で働くことになりました。

手作り体験教室の講師の仕事があったのですが、自分は伝統工芸品の知識がなく「こんな説明でいいのだろうか」という不安が表に出てしまい、うまくお客様を楽しませることができませんでした。

さらに、工芸品を包装紙でラッピングする作業では、これまた未経験だったので、紙を無駄にしてはいけないと練習の段階から怯えてしまい、結局最後まで自分がラッピングする機会はありませんでした。

その他にも、工芸品を2つセットで販売するための検品作業では、手作りのため大きさや色に1つ1つわずかな違いがあり(それが味ともいえるのですが)どうしても気になってしまい、セットにすることができずに手が止まってしまいました。

そのような苦手な作業がたくさん出てきて、私にはこの仕事は合っていないんじゃないかと思い、不安な気持ちを手紙に書き、辞職の相談をさせてもらいました。

しかし職場の上司には「気にしすぎ」「そんなことを気にするにはまだ日が浅い」といわれました。

気にしなくていいといわれても気にしてしまうのが私の困ったところで、上司も「気にしなくていいよ」という意味でいってくれたのかもしれませんが、責められたような気持ちになってしまいました。

それからまもなく、やはり不安に耐えられず、そのお店は辞めてしまいました。これが私の最終職歴です。

就労移行支援事業所

最後の仕事を辞めてからしばらくはひきこもってしまったのですが、いつまでもそのままというわけにもいかず、でも、"普通の人"として働くのは自分には難しいと感じた私は「発達障害」「就職」などの検索ワードから、現在通っている「就業移行支援事業所」に出会いました。

通い始めたころは人との関わりをとことん避けていました。

グループワークには参加せず、1人で黙々と手作業の訓練を続ける日々で、就労へのイメージは全く湧きませんでした。

数か月がたち、クリスマス会の企画会議のさい、ある利用者さんが1人で全ての作業を抱え込んでしまっていることが気になりました。

誰もやらないなら私がと思い、できる範囲で手伝うことにしました。

この出来事をきっかに、だんだんと自分を出すようになっていきました。

本来得意だったこと、好きだったことを思い出し、自主的に業務に取り組むようになりました。

今年の5月ごろからは利用者ミーティングの実行委員を務めるようになり「細かいところに気付く」という私の特性が、施設の環境を良くするための意見として受け入れてもらえるようになりました。

そのような取り組みを通して、当事者として誰かのためになりたいと考えるようになったのです。

これから

私はこれからはオープン就労を目指す予定で、そのための障害者手帳取得を相談中です。

理由としては、自分の特性を理解してもらえる環境の方が、結果として自分も職場の方も気持ちよく過ごせるのではないかと考えているからです。

特性や困りごとを伝えないまましんどさを抱えてしまうと「突然仕事に来なくなる何を考えているかわからない子」と思われてしまいます。

困りごとを伝えた上でしっかりと対処していくことが、その仕事を長く続けることにつながるのではないかと思います。

もちろん、オープンにしたからといって全てが上手くいくわけではないですし、人それぞれ事情があり、クローズにした方がメリットが多い場合もあります。

2回にわたりお送りした、発達障害グレーゾーンの私のこれまでとこれから。一個人の体験ですが、障害や生きづらさを抱えたみなさんが、自分らしく羽ばたける環境に出会えることを願っています。

えーる

えーる

ASDとADHDの発達障害グレーゾーン。
猫とSnow Manが大好きです。
当事者として支え合える人になりたいです。

注意欠陥多動性障害(ADHD) 自閉症スペクトラム障害(ASD)

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