発達障害と自己効力感~やりたいと思ったことにチャレンジしてみよう

発達障害

出典:Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash

「自己効力感(Self-efficacy)」という言葉をご存知でしょうか?カナダ人の心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念だそうです。意味合いとしては自分が何かを「上手く遂行」「達成できるという自信」または、その感覚のことを指します。

それについて、大まかな概要と自分がえられた経験などを記していきます。

なぜ発達障害と自己効力感?

最初に、なぜ発達障害と自己効力感を関連付けたのかについて説明します。

1つは発達障害の人には自信を失っている人が多いという点です。これは世間とのずれや、苦手な部分の影響による失敗体験が起こりやすいのが原因と思います。

自信を失っているときにも自己効力感は支えになってくれます。何かができるという気持ちがあれば「他のこともできるかもしれない」という前向きな気持ちにつながりますし、何かが上手くいかなくても「自分にはこれはできる」という心の拠り所にもなるでしょう。

他にも、発達障害によっては興味があれば人一倍集中できる傾向があることや、特化した能力を持っていることもあります。そういった部分を活用すれば、自己効力感は伸ばしやすいでしょう。

このように有効に働きやすく、伸ばしやすい要素もあるため発達障害と相性がよい概念なのではないでしょうか?自己効力感がまったくないという人であれば、何か1つでもえられると、すでに持っている人であっても幅を広げれば、より安定した自信につながっていきます。

私の事例~イラストを描けるようになりたいと思った話

では、どうすればいいのかを具体的に話す前に、私の事例を紹介します。

私は昔から勉強が得意という1つの自己効力感はありましたし、ゲームが好きという趣味もありました。ただ社会に出てからは勉強がちょっとできる程度ではやっていけるわけもなく、趣味のゲームも昔に比べ情熱も落ちてきて、自分の心の拠り所に迷う状態でした。

そこであるとき、イラストを描いてみたいと思い始めました。元々アニメなどのコンテンツが好きで憧れのようなものは多少ありました。ですが、子供のころから描いていたわけでもありませんし、上手くいく気もせず「大変だろうな」と思って敬遠していたのです。

ちょうどSNSで他の人が半年前ごろにイラストを描くことを始めて、成長していく経過を見たのがきっかけの1つでしょうか。また、ゲームへの情熱が減退していることでアイデンティティの喪失を感じ、将来的に趣味がなくなるのでは危機感があったのも後押ししました。

始めるかどうか妙に悩んだ期間はあったのですが、始めてからは幸いにも基礎的なところからコツコツと努力をすることができ、すごく上達したわけではありませんが期間相応に成長してきています。

そのつながりでインターネット上に知り合いも増え、趣味でありながら、1つのアイデンティティともなりました。

こういった経験を通じて「絵を描くことができる」と「何か新しいことにチャレンジして努力ができる」という2つの自己効力感をえることができました。やらされてできるようになったのではなく、自分の意思で選んで努力し、できるようになったというのは大きな自信にもなっていると思います。

自己効力感を高めるには?

自己効力感を高める要素の例として以下があげられます。

1.達成経験
2.代理経験
3.言語的説得

1つ目の「達成経験」は1番大きな要素で、何かを達成・成功した経験のことです。これをえるには、まず小さなことから達成していくことが重要です。身近な生活のことでもいいですし、簡単なことからでも目標を立てて段階を踏んでいくのがいいでしょう。その積み重ねを繰り返す中で、最終的には少し難しそうな目標を達成できれば、強い自己効力感がえられるはずです。

上手くなくても、描いたという努力に自信を持つことができ、続けているうちに昔と比較して成長を感じられることも、達成感をえられる経験だったと思います。

2つ目の「代理経験」は他の人が達成・成功した経験を見ることにあります。同じような状況、レベルの人の経過を実際に見ることが一番効果的ですし、そうでなければ上達した人が昔はどうだったかの変遷を見たり、話を聞いたりするのも効果的でしょう。その相手が特殊な例でなければ、どう進めればいいのかイメージができ、自分にもできるかもしれないと思えるはずです。

先に始めていた人の状況を見て、成長の道筋を想像できていたことが大きいです。初期のころは、経過した日にちを目安に成長度合いを比較してみて、大きく離れていなければ順調であると安心もできました。

3つ目の「言語的説得」はそれを自分ができることを言語的に説明してもらうことです。信頼できる相手に今からやろうとしていることを話してみて、後押ししてもらうのがベストだと思います。

私の場合、始めたあたりにSNS上で好意的な反応をくれる人がいたので続ける自信になりました。

まずは一歩踏み出そう

発達障害によっては先延ばしにしてしまう傾向がある場合や、そもそも思い切りが持てず中々第一歩を踏み出せないことがありますが、興味があるならやってみようという気持ちが大切です。始めてみれば、意外と上手くできるかもしれませんし、そうでなかった場合もそれを知ることができたのはよい経験です。

高額な費用がかかるなどリスクがあったり、人に迷惑がかかるものであったりさえしなければ、挑戦することに何らの問題もありません。自分の意思で自分の行動を決められることも1つの自己効力感になります。

興味をもてそうなことがあれば、ぜひ試してみましょう。そうすることで自己効力感を高め、自分の世界を広げるチャンスにつながるかもしれません。

参考文献

【自己効力感とは何か―「きっとできる」という自信から生まれる「好循環」の仕組み・ポイントを解説】
https://media.bizreach.biz

【自己効力感とは?自己肯定感との違いや高めていく方法】
https://mba.globis.ac.jp/careernote

茄子野

茄子野

就職後にうつ症状で心療内科を受診し、その際にADHDの診断を受けました。
現在は就労移行支援事業所を活用しながら社会復帰を目指しています。
ゲームやアニメ好きでイラストを描く趣味を社会人になってから始めました。
その他、特撮のウルトラマンシリーズやプロ野球観戦も好きです。

発達障害 注意欠陥多動性障害(ADHD)

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