一見困ってなさそうに見える軽度知的障がい者たち

知的障害

出典:Photo by Rodion Kutsaiev on Unsplash

私は環境の変化に適応するのが苦手で、自分の意見をなかなか周囲に伝えることも苦手です。これまでさまざまな職を転々とし、B型事業所でもその特性が目立ちうまく仕事をこなすことができませんでした。

言いたいことが言えない

以前通っていたB型事業所ではお菓子づくりなどの細かい作業が中心でした。もともと手先が不器用で理解力も低いので、時間内に完成させるのも困難で廃棄になってしまいました。

あるとき、掃除の仕事もチャレンジしてみないかと勧められました。「また、いつものようにできないのではないか」と不安に思い迷いましたが、断ったらがっかりされるかもしれないと思い込み、その場で「はい」と返事をしてしまいました。何度も次に通所したときに断ろう、とも思っていましたが勇気が出ず、不安な気持ちのままその日までを過ごしていたのです。

助けてといえなかった……

当日は電車の乗り換えや道に迷ってしまったり、お昼に食事を買いにいく際も道に迷って帰れなくなり、お昼休みが少なくなってしまったりと業務以外でもヘトヘトに疲れてしまいました。

計算も苦手なので、交通費の清算も何度も誤って事業所に送信してしまい、失敗続きで落ち込んでしまいました。

掃除の業務は教えてもらっても完全に理解することができませんでしたが「1度引き受けた仕事なので、慣れるまでは仕方ない」と思うことにしたのです。

勇気を出して伝えてみたら……

こうして、掃除とお菓子づくりなどの作業を並行して毎週おこなっていましたが、ある作業の日をきっかけに私は事業所にいけなくなってしまいました。

その日、計量器の使い方が分からなかったので、いつも受け身な自分を変えるためにも勇気を出して質問してみました。

しかし質問内容が低レベルすぎたのか笑われてしまい「普通の企業では無理」「言葉のイントネーションがおかしい」などの傷つく言葉を何度もいわれ、その日から通うことができなくなってしまったのです。

うまく伝わらなかった

今回は傷つくことをいわれたのがきっかけで退職してしまいましたが「今のままの自分では、どこにいってもまた同じことを繰り返してしまう」と思いました。

今回の1番の原因は自分の意見を周りにいわなかったことです。それに加え、分からないことが聞きにくい環境だったのも原因だと思います。また、私は疲れていたり、嫌なことをいわれてツライ状況にいるのにも関わらず笑顔でいるクセが長年染みついていたのです。そこも周りが「この人は大丈夫だ」と勘違いしてしまう原因だったのです。 

伝え方を工夫してみる

そうはいっても長年のクセや性格、環境を変えるのは障がい者に限らず難しいことだと思います。そこで私は以下のことを心がけるようにしています。

・事前に特性や配慮してほしいことを伝えておく
・話しやすい人に伝える
・1~10まですべて伝えようと無理しない
・混乱したら一度紙に書きおこす(相手に見せるのも良い)
・相談支援員の人に仲介してもらう
・頼み事をされてもすぐに決断しない

全部は難しいですが、できることから実践しています。そして、できたら必ず自分を褒めてあげてください。

さいごに

自分の気持ちを相手に伝えることは、とても勇気のいることで、勇気を出しても受け入れてもらえるとは限りません。障害にかかわらず女性や子どもなど、すべての弱い立場にいる人が、意見しやすい社会になることを願っています。

ねこまんま

ねこまんま

知的障がい者ですが大卒で地下アイドルをしていました。現在も配信で音楽活動をしています。見た目では理解されにくい軽度知的障がい者や福祉の支援を受けることが困難な境界知能の人でも夢を持っていきいきと過ごせる社会になればと願っています。

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