双極性障害とADHD~ふたつの障害を抱えて生きる
発達障害 双極性障害(躁うつ病)出典:Photo by Pawel Czerwinski on Unsplash
わたしはADHD(注意欠陥・多動性障害)と双極性障害II型を併発しています。このふたつの障害の併発率は0~22%といわれているそうで、わたし以外にも同じ組み合わせの障害を持った方がどこかにいらっしゃると思うと、少し勇気が湧いてきます。
今回は、わたしがどうして自分の障害を知るにいたったか、その後どのように過ごしていたかをお伝えしようと思います。
徐々に現れ始めたADHD
ADHDをはじめとする発達障害の特性は12歳以前に現れるといわれています。しかし、わたしの場合はそのようなことはありませんでした。2012年3月、何事もなく中学校を卒業しました。
雲行きが怪しくなり始めたのは高校時代。例えば家にお弁当箱を忘れたり、電車の中に傘を忘れたりするようになりました。
中でも特に印象的だったエピソードは、当時所属していた吹奏楽部で全国大会の遠征に行く朝、送迎してくれた母の車に遠征の荷物を載せ忘れて学校にいったことです。看護師である母は、このときに「もしかしたらADHDなんじゃないか」と思ったそうです。
高校卒業後、県外の大学に進学したわたしはひとり暮らしを始めたのですが、それはそれはてんやわんやでした。
親のサポートが無くなると生活がままならないことを痛感し、大学の相談室の紹介で発達障害を診ているという心療内科にいきました。心理検査とセカンドオピニオンをへて「診断としてはグレーソーンだけれど、いま現在症状が出ているので薬を飲んでもよい」との結論になり、アトモキセチンという名前の薬を飲み始めました。
しかし、思索が好きなわたしは薬の副作用で頭の中が真っ白になることに耐えられず、主治医ともうまくいかなかったことから、パタリと病院にいかなくなりました。
診断名:双極性障害II型
2020年3月、コロナ禍の中で大学を卒業したわたしは、卒業することを優先して就活をやめていたため、再び就活生になりました。といっても、半年ぐらいは様子見しようと思い、その年の春から同居していた友人のために食事を作るだけの生活をしていました。
忘れもしないこの年の9月上旬のある午後。わたしはベッドの中で突然自殺企図をしてしまい、布団を被って大泣きしていました。「いま包丁を持ったら腹にぶっ刺して死ぬ」そう強く思ったのを覚えています。
「これではよくない」とどうにか思えたわたしは、以前の病院ではなく、いまの住所から近い病院を予約し、何とか半月後の予約の日に病院へと辿り着きました。
病院では心理士の方としばらく面談をして、いざ通された診察室で「双極性障害の可能性があります」と、いまの主治医から聞き覚えのない病名を聞きました。というのも、心理士の方いわく「夏はめちゃめちゃ元気で、洋服とかをよく買っていた」というわたしの言葉が引っ掛かったそうでした。双極性障害は気分の波がある病気ですが、いわれてみれば思い当たる節がたくさんありました。
そのひとつが「君は学園祭が終わるとパタリと大学に来なくなるよね」という恩師の言葉でした。
わたしは大学時代に3つの文化系サークルを掛け持ちしており、学園祭の時期はいろんなところを必死に駆けずり回っていました。しかし、学園祭が終わって冬になると、抑うつ状態に陥って教室が怖くなり、大学に行かず引きこもっていました。ということを毎年繰り返した結果、3年生の冬に引きこもりになり、後期の単位をすべて落として留年することになったのでした。つまり、思い当たりしかありません。
診断後
その後の経過観察で「双極性障害II型(I型と比べると鬱傾向が強い)」と診断されたわたしは、再び就活をやめて療養に専念することになりました。同居人の食事を作ったり、趣味のお菓子作りをしたり、好きなアイドルを応援したり――そんなゆるやかな日々を過ごしていました。約2年をかけて徐々に気分の波が減り、2023年に入ってから、就労移行支援事業所への通所を主治医から許可されました。
2023年5月現在、主治医からも「いままで見てきた中でいちばん安定している」といわれるほど体調がよく、順調に過ごせています。この調子で過ごせるように、日々気を配っていこうと思っています。
おわりに
「生きづらいな」と思う瞬間もありますが「わたしはわたしのペースで歩けているのでいいのかな」と思っています。なので、もしわたしと同じように障害を併発している方がいらっしゃるのであれば、どうかあまり悲観せずに、ご自分のペースでのんびり歩いていってください。
参考文献
【大人の発達障害のADHDは他の精神疾患を併発しやすい?双極性障害やうつ病、PTSDとの違いを紹介】
https://www.mentalclinic.com/
注意欠陥多動性障害(ADHD) 双極性障害(躁うつ病)