「熊本地震に学ぶ災害と障害者のつどい」神戸市で開催
ニュース1月28日(日)、2016年度災害と障害者のつどい「熊本地震で試された災害要援護者に対する支援〜熊本地震に学ぶ〜」が神戸市のあすてっぷKOBEにて開催されました。兵庫障害者センターが主催。
神戸市は、22年前の阪神淡路大震災で大きな被害を受けました。昨年4月の熊本地震では避難できない障害者や今でも被災地で困難を抱えている障害者が多数存在しています。先の震災での教訓が生かされていない課題がたくさん浮き彫りになりました。
熊本学園大学社会福祉学部教授・被災地障害者センターくまもと事務局長の東俊裕さんが「熊本地震で試された災害時要援護者への支援ー災害支援の網の目からこぼれ落ちる障害者」と題して講演されました。
熊本地震の被災地では現在は住まいの問題に対する対応が多くなっています。住まいの課題として、仮説住宅やみなし仮設として家賃を補助された民間のアパートはバリアフリーではなく、車いすで住めない所が多いということが挙げられます。行政による十分な対応がなされておらず、東さんは、行政に対して「熊本には車いすの障害者がいないのか?」と激しい口調で投げかけることもあったそうです。
次に、きょうされん兵庫支部の松本多仁子さんが「震災支援 そのとき何ができたか?〜熊本自身支援の実際〜」と題して実践報告を発表されました。阪神淡路大震災を体験された松本さんは、5月に現地まで赴き、支援にあたりました。元々あった地域課題が、大災害で表面化したことを痛感されたそうです。松本さんは「体育館ではみんながいて安心だったが、仮設に行くとひとりぼっちになり支援がなくなるのではという不安をもっている方が多い。継続して支援が続けられるように国・行政と共に地域の状況に合わせて災害時の支援システムを作っていくために、訴えて実現していくことが大切である」と話されました。
続いて、神戸大学大学院工学研究科准教授の大西一嘉さんが「要援護者支援に何が必要で、どう整備するか〜福祉避難所の開設体制を読み解く〜」と報告がありました。現地の自治体や被災者を対象にアンケート調査を行い、集計を分析し、今後の福祉避難所のあり方について述べられました。
今回の調査でケアマネージャーなどの専門職が一定の機能をしたものの家族まかせになるケースが多く、福祉避難所の環境整備も不十分であることが浮き彫りになりました。また、軽度障害の方のニーズをどのようにして把握していくのか。集団生活による避難者同士のトラブルや病状・障害への対応力不足など、福祉避難所で困った様々な課題も出てきました。
後半は「要援護者支援と避難所のあり方について」と3人の発表者がパネラーとなり、兵庫障害者センター副理事長の河南勝さんの進行でディスカッションされました。
ディスカッションでは会場からも活発に意見が出され、阪神淡路大震災の教訓はその後の災害に活かされていないので伝え続けて行くことが大切であること、その時その時点でのぶつ切りの支援でなく継続した息の長い支援が必要であること、要支援者の名簿の提供や法・支援システムなど仕組みの整備が必須であること、など内容の濃い議論になりました。