青年期の発達障害〜高校生の多感な時期
発達障害発達段階として、高校生の時期の発達障害とはどのような意味合いを持つのか、またどう接して行けば良いのか。自らのアイデンティティ確立のために日々頑張っている高校生の発達障がいについて書かせていただきます。
青年期の発達障がい
発達心理学者エリクソンは、発達の段階で、高校生の時期を「青年期」にあると定義づけています。青年期の発達障がい患者は、自分のアイデンティティの確立を目指して試行錯誤しながら、自分の生き方や価値観、人生観を決定し、自分を社会の中に位置付けていく、重要な時期にあり、青年期は「自分らしさ」が気になったり、自己を他人と比べたりする時期でもあり、自分と他人の違いについて気にして色々と悩む時期だとも言えます。
青年期の発達障がいの特徴
発達障がいのある高校生は、その特性から学習面や生活面に苦手さを感じている事が多いです。また、自分と他人を比べたり、男女の違いを意識したり、自分の個性等について考えたりするようになります。障がいを持たない高校生にとっても多感な時期ですが、特に発達障がいのある高校生にとっては、学習面や生活面に対する親や教師の理解と支持が無かった場合、様々な場面において、その子の生活はうまくいきにくい状況に陥る事が考えられます。忘れ物が多かったり、学習内容が理解出来なかったり、他人と違う自分を比べてしまったりすることで、その子の自尊心が傷つき、自己肯定感が低下することにもつながってきます。そうして、その子が本来抱えている苦手さとは別の二次的障がいとして、問題行動や不登校、学力の不振に繋がる事も考えられます。発達障がいの特性を有する子どもが「アイデンティティ」を確立していく時期だからこそ、高校生活においては、子どもの自己肯定感を高める為に達成感を感じることができるような環境を整えていく事が重用だと考えられます。ですので、高校生活においては、子どもが抱える苦手さに対して親や教師の理解と支援が求められていると考えられます。
発達障がいの症状について
青年期の発達障がいは以下の3つのタイプ、またはその複合系となります。
・自閉症スペクトラム(ASD)
精神科・心療内科の臨床場面では自閉症を持つ例が多いとされています。特に知的障がいのない自閉症患者は診断が遅れ、様々な傷つきを経て障がいに至っている例が多く報告があります。青年期の自閉症としては気分障がい、不安障がい、摂食障がいなどに変化していく例が多かった。心身症症状として表れる幼少期、または前思春期・思春期前期に何かしらの治療や支援があると、その後の適応が良好となる事もあると発表されています。特徴としては大きく3つのタイプがあり、「暗黙のルールが分からない」「相手の気持ちが分からない」「始めて体験する事にはすぐに対応できず、場面の変化に応じて気持ちを切り替えるのが苦手」といった様子が表れます。
・学習障害(LD)
学習障がいは、知的発達に遅れは無いが、認知能力に偏りがあり、学習の内容に対する理解や定着の困難さとして表れることがあります。例えば、話そうとする時に必要な言葉が見つけられなかったり、発音しにくい言葉があったり、文章を組み立てることができなかったりすることにより、考えや思いを伝えることが困難な状態にあることがあります。読み書きにおいては、形や位置を記憶する事ができなかったり、文章を理解して内容を把握する事が困難になることや、計算、形を整える等の事が困難になることがあります。また、物事を予測したり推論したりすることの面では、視覚や空間認知の困難さ、視覚と運動を関連付けてできないことによって、図形が苦手だったり、模写ができない、場所の認識が弱い、等の状態になることがあります。ここで挙げた例は学習障がいの一例であり、この一部だけが苦手さとして表れる事も複数の苦手さが表れる事もあります。
・注意欠除多動性障害(ADHD)
注意欠除多動性障害は年齢や発達に不釣り合いな注意力、また衝動性、多動性が特徴となる障がいで、社会的な活動や学業の機能に支障をきたします。注意力の点として、忘れ物が多く、注意散漫になりがちで注意が戻った頃には授業が進んでしまっているという状況となり、授業内容が分からなくなる場合もあります。多動性の点としては、授業中にじっとしていることが難しく、体を動かしたり、私語がダメな場面でも友達に思った事を話しかけたりする事があります。衝動性の点としては、会話中に頭に浮かんだ事を考えなしに話しだしてしまい、会話がスムーズにいかない等が起こり対人関係を困難なものにさせることがあります。このような行動の多くは年齢とともに改善して行く傾向にありますが、教師や保護者からの叱責を受けてばかりだったり、友人とのトラブルが頻発したりすると、自己肯定感が低下したり、言動がより粗暴になっていく事があります。
高校生という多感な時期に傷ついてしまった子どもの心の穴をふさぐのは大変苦労します。そうならないためにも子どもの障がいを理解してあげ、一緒に歩いて行ってほしいと思います。青年期の発達障がいは早期に発見してあげ、出来るだけのケアをしてあげて下さい。相談は児童相談所や学校の教師なども聞いてくれるとおもいます。自分ではケアできない、と思ったからと言って放りださずに、使える所は使って、子どものケアをしてあげて下さい。そうすれきっと子どもは障がいともちゃんと向き合い、健やかに育っていってくれるはずです。
参考文献
佐賀県教育センター
http://www.saga-ed.jp/
自閉症スペクトラム障害(ASD) 学習障害(LD) 注意欠陥多動性障害(ADHD)