レット症候群とは?〜女性だけがかかる難病

その他の障害・病気 発達障害

unsplash-logo kazuend

レット症候群とは自閉症、てんかん、失調性歩行、常同運が見られるX連鎖優性遺伝病です。男性は胎生致死してしまうため、女性のみがかかる疾患であるとされています。そんな難病であるレット症候群について書かせていただこうと思います。

レット症候群とは

レット症候群とは1966年Andreas Rett(ウィーンの小児神経医)により初めて報告された疾患です。この症例は神経系を主体とした特殊な発達障害とされています。乳児期早期に外界への反応が欠如しているが、症状が軽微なため異常に気づかない事も多い。現在もレット症候群の病態解明には至っていません。

レット症候群の症状

幼少期より発症し、以後進行していく、初めは無症状期と呼ばれ、おすわり・寝返りがやや遅い。幼児期になると進行期と呼ばれ、歩行開始が遅く、運動の障害によりハイハイができず、歩行時になると体を左右にゆらすことがあります。また、この時期から特有の症状である同常運動、けいれん、過呼吸、不眠が表れてきます。小児期には仮性安定期に入り、体の緊張低下が進行し姿勢ジストニア(体が曲がってくる)が出現します。成人期には晩期に入り、筋緊張が高い度合いに転じます。次第に運動の減少が見られ、車いすが必要となってきます。しかし、けいれん発作は減少する傾向にあります。

また、小児期から思春期にかけて突然死の発生も見られる事があります。本症例の発症早期は自閉症との類似性があり、乳児期後半から知的障害が前面に出てき、大体の場合は重度の知的障害を呈します。また、本症例は特異性を持つ発達障害であり、中高年や老人の症例もあります。

レット症候群に多い合併症

進行している重症児は、日常的に合併症の注意が必要です。食べ物の摂取が上手く出来ないため、胃ろう(お腹に口を作る)の造設手術をしなければならない場合もあります。稀ではあるが、「消化器官の破裂」がおこることもあります。稀に小児期より胆石の合併もあります。特に、自分で痛みを訴える事が出来ないため、周囲の注意が必要です。また、骨の発達も悪く、骨折にも注意を必要とします。またレット症候群の合併症として一番気をつけたいのが「てんかん」です、てんかんはレット症候群のある子どもの7割と高い確率で起こります。そのうちの3割は薬の効きにくい難病だと報告されており、歩行ができない重度の子どもに多いようです。誤涎性の肺炎などにも気をつけなければいけません。

レット症候群の治療法

現在根本的治療法はなく、治療は対象療法となる。例えば、てんかんがある場合にてんかんの薬を投与する、姿勢湾曲に対してコルセット使用、といった具合です。情緒面の問題や、知的障害に対する様々な工夫や療育なども重要です。

レット症候群の原因

私たちの身体にはXとYの2本の染色体がありますが、そのうちX染色体の遺伝子が突然変異をおこすことで、レット症候群を発症するとされています。しかし、変異が起こったからといって必ずしもレット症候群を発症するわけでなく「MECP2」という遺伝子に変異が起こっている人のうち、レット症候群とされるのはその9割となります。また、最近では「CDKL5」や「FOXG1」という遺伝子も新たに発見されています。

レット症候群は遺伝するのか?

ほとんどの場合遺伝傾向はなく、突然変異によるものだと考えられています。家族内での同時発症は、ほとんど確認されていないそうです。しかし、ごく稀に潜在的に変異遺伝子を持つ母親保因者から遺伝するという報告があります。

レット症候群の相談できる場所は?

・乳幼児健康診査
赤ちゃんが順調に発達しているかどうかを確認したり、病気の予防、早期発見をするための検査です。

・児童相談所
必要に応じて発達検査を行う場合もあり、無料で専門家からのアドバイスや支援を受けることができます。

・地域子育て支援センター
子育ての悩みなどに対し専門的なアドバイスをしてくれる保健師さんが在籍したり巡回しています。時間によっては乳幼児の発達相談を無料で行っています。

レット症候群は日本だけでも5000名ほどの患者が居る病気で、決して他人事と言えるものではありません。気を付けてどうこうできるものではありませんが、予備知識として知っておく事は良いのではないかと思います。治療方法が見つかることを切に願います。


介護あかるくらぶ

参考文献

難病情報センター 
http://www.nanbyou.or.jp

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp

rusp

rusp

ADHDと書痙ジストニア持ちの三十路男性。体を鍛えることと遊ぶことを中心に生活している。ボイスチャット大好きで家に帰ると誰かしらと喋っている。

自閉症スペクトラム障害(ASD) 発達障害 その他の障害・病気

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください