博報堂が「ASDと子育て実態調査」第三弾の結果を発表~ASDの子育てへの周囲の理解支援状況とその影響
発達障害出典: Photo by Christina @ wocintechchat.com on Unsplash
株式会社博報堂の次世代育児アイテム Pechatt(ペチャット)開発チームと博報堂こそだて家族研究所は、株式会社LITALICO(りたりこ)と共同で、ASD(自閉症スペクトラム)の子どもを育てる家庭の実態や、周囲の支援のあり方を把握するための「ASDと子育て実態調査」を実施しました。
ASD(自閉症スペクトラム)とは?
ASDはコミュニケーションが苦手、特定の物事に対してのこだわりが強いなどと言った特徴を持つ発達障害です。しかし「スペクトラム」と表現されるように、症状や特性が境目なく連続しており、その症状、特性は個々人特有のものです。また、日常生活における「困難さ」が障害によるものか区別がつきにくいのも特徴です。最近では、NT(典型発達)、自閉症スペクトラムなどの発達障害の特性は障害ではなく「ヒトの脳の神経伝達経路の多様性」とする考え方も広がっています。
調査結果のポイント
「ASDと診断された子」の保護者が抱いている子育てへの意識は、「正解がわからない」が69.0%、「不安がある」が68.1%、「大変」が53.9%がTOP3に上がっています。このこれは「NTと診断された子」の保護者の回答と比べて大きな差と言えます。
このことからASDの場合特に、子育てに不安な保護者が多いと見て取れます。
【ASDの子の子育てに関してどの程度困っているか】
「ASDと診断された子」の保護者に、子育てに関してどのくらい困っているかを5段階で選んでもらったところ、「とても困っている」(21.5%)「やや困っている」(41.3%)と、困っていると答えた人は全体の62.8%にも上りました。
さらに、子育てをする上で、周囲に理解してもらいたいと思うことを保護者に尋ねたところ、下記のような9つの課題に分類できることがわかりました。
1.一見、他の子供と変わらないため、発達特性が理解されにくい。
2.行儀が悪く見られたり、保護者に原因があると思われる。
3.近親者からも理解が得られず、ストレスを抱えてしまう。
4.専門家ではない人からのアドバイスにうんざりしている。
5.発達障害もひとくくりに捉えられてしまい、個々の特性を見て貰えない。
6.グレーゾーンの子供には、ASDの診断がないための特有の問題がある。
7.本人の困りごとをケアするような周囲の対応をお願いしたい。
8.本人から、周囲に助けを求めるのが難しいので、適度に声掛けしてほしい。
9.他の子と同様、普通に接して欲しい。
これらの課題を解決するためには、メディアはもっとASDに関する情報を発信して行く必要があると感じました。
ASDの子の保護者が求める子育て支援の内容
「ASD と診断された子」の保護者に必要な支援内容を聞いたところ、「必要だと思う支援」と「現在受けることができている支援」の差が特に大きかった項目は、「好き・得意なことを伸ばせる習い事や教材(差分▲34.7pt)、「好き・得意なことを見つけられる習い事や体験サービス」(▲33.6pt)、「自分や子どもにピッタリなメンターが見つかるサービス」(▲31.3pt)でした。
このことから、子どもの特性に合わせた教育や指導のニーズが見られます。
最後に
今回の調査を通して分かったことは
1.ASDの場合特に、子育てに不安な保護者が多い
2.メディアはもっとASDに関する情報を発信して行く必要がある
3.子どもの特性に合わせた教育や指導が求められている
以上の3点の課題が見えてきました。これらの課題を解決するためには情報の発信者、受け手の両方のASDへの正しい理解が不可欠です。
そのためにも本サイトや下記URLを参考にASDに対する理解を深めてください。そして、ASDに関する正しい情報の拡散にご協力ください。
参考文献
【博報堂 教えてはったつ博士】
https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2020/05/20200514.pdf
【リタリコ発達ナビ 「発達障害」のコンテンツを探す】
https://h-navi.jp/groups/1
【サライ その特性が正しく理解されていない「ASD(自閉症スペクトラム)」と子育ての実態】
https://serai.jp/
自閉症スペクトラム障害(ASD)