「精神障がい」とのつきあい方
その他の障害・病気 統合失調症出典:Photo by frank mckenna on Unsplash
皆さんの人生は順調ですか?「人生山あり谷あり」とは昔の人がよく言ったものです。誰しも様々な感動、苦難を経験して現在があると思います。
かつて、2002年サッカーワールド杯を母国ブラジルにもたらしたエース、「怪物」ロナウド選手も多くの怪我に生涯悩まされることとなります。かくいう、私も2度の精神障がいを患い、長い長い闘病生活を送っております。私は、彼のように卓越したサッカーのスキルや優れた特徴もないです。しかし、人生において「精神障がい」という挫折、すなわち怪我に相当するものに憂き目を見ているのはロナウド選手と似ている面があると考えています。
初めての精神障がい
私の、人生において初めての挫折は高校生、16歳の時でした。それまで、私は小学生の頃から中学受験で遅い時間だと明け方まで勉強し、10倍近い倍率の入学試験を乗り越えるなど勉強漬けの毎日でした。私自身思ったことはなくても世間ではいわゆる「エリートコース」を歩んでいたらしいです。中学校も高校も進学校でそのまま順調にいけば恐らく、出世街道を突き進んでいたのかもしれません。
ですが、世の中そうはいきません。私は中学校から電車通学で、最初は人の目など気にした事もありませんでした。それが、中学校3年生あたりから急に人の視線がどうしようもなく気になってきたのです。常に誰かに監視されているような感覚に陥って、動悸も激しくなってしまいます。最初は多感な時期である思春期特有のものだと思い込んでいました。しかし、それが異変と確信したのは高校に進学して、学校へ行く気力が無い日々が続いた時でした。朝起きると体がまるで鉛のように重いのです。電車にも人の視線が怖くて乗るのが億劫になってしまいました。決して学校を、ズル休みしようなどそういった考えはありません。こんな具体的な異変が出ても、当初は親も含め「根性が足りない」と一喝されてまったく理解してもらえませんでした。
あまりにもこういった症状が続いたので、両親もようやく異変に気付き精神科にかかることとなりました。結果からいうと、「統合失調症」でした。担当医から「無理な勉強がたたり、学校での人間関係もあまりうまくいってないので、発症したのではないか」と告げられました。たしかに、勉強は世間一般と比べてもハードにやっていました。しかし、親に勉強をするよう言われたり、学習能力でハードルを上げられるという事は一切ありませんでした。全ては、自発的にやっていると考えていましたが、それがいつの間にか自身を追い込み、病気を発症させてしまったのです。
絶望の淵
「精神障がい」というの骨折などのように目には全く見えません。見た目では治ったかさえわかりません。最初は絶望しかありませんでした。行きたい大学、やりたい事、将来の夢、全てが水の泡になったと感じたからです。病状が悪化し続け最終的に、大きな病院の閉鎖病棟に入院することとなりました。最初は閉鎖病棟に抵抗しかありませんでした。24時間監視されてさらに行動の制限まであるのです。しかし、人間というものは不思議で環境に順応していきます。同じ入院患者の方と悩みを相談したり、交流を深めるうちに病気への自己理解が進みました。
あとは個人的に思うのですが、精神障がいを克服する最大の薬は「時間」だと思います。「時間が解決してくれる」とは本当に合っているなと思いました。
おわりに
「精神障がい」は非常に目に見えにくく扱いが困難なものです。しかし、6カ月の入院の経験から悟ったのは精神障がいには「深い自己理解」と「時間の経過」が必要だという事です。完全に病気が治癒し、何事も上手くいく方というのはごく一握りだと思います。一生長い時間をかけて付き合っていくのが特徴ではないかと考えています。だからこそ、私は自分の病気から逃げたり、忌避したりはしません。「うまく病気と付き合えないか」「一体、何が苦しいのか」「どうすれば上手く気持ちをコントロールできるのか」と日々考え過ごしています。
病気の発症から長い時間が経ち、自己理解も深めることができました。それでも、「病気を発症せず順調な人生が歩めたら、今とは違った将来が待っていた」とふと考えることもあります。しかし、この障がいになっていなければ「出会えなかった人」「両親の本当の愛情」「人生は勉強だけではない」、色んなものがなかったでしょう。
今まさに、精神障がいで苦しまれている方は、まず焦らないで下さい。時間が必ず解決してくれます。あなたが失った時間は「自分を見つめるいい機会になる」とそう考えられれば非常に有意義な時間になると信じてください。
かつて、2002年サッカーワールド杯を母国ブラジルにもたらしたエース、「怪物」ロナウド選手も多くの怪我に生涯悩まされることとなります。かくいう、私も2度の精神障がいを患い、長い長い闘病生活を送っております。私は、彼のように卓越したサッカーのスキルや優れた特徴もないです。しかし、人生において「精神障がい」という挫折、すなわち怪我に相当するものに憂き目を見ているのはロナウド選手と似ている面があると考えています。
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