早期の療育支援~大人の発達障害で感じた必要性

発達障害

出典:Photo by Kelli McClintock on Unsplash

「大人の発達障害」という言葉に聞き覚えのある方も多いかもしれません。大人になってから障害に対する理解や対策を取ることも可能ですが、子どものうちからできるに越したことはありません。どうして早いほうが好ましいのでしょうか。私の体験談も含めてご説明いたします。

療育支援という選択肢

近年、発達障害という概念が広く知られるようになって、大人になってから発達障害と診断される方も増えてきました。この記事をご覧の方にも該当される方は多いかと思います。障害が発覚するきっかけとして多いのが、発達障害による生きづらさを抱え、そのしんどさで受診した精神科などで発覚するというパターンです。

ただ、発達障害のしんどさやその二次障害は、早めに発達障害であることを知り、対策を取ることで緩和できることが多いです。具体的に言えば、乳幼児健診での指摘や専門家による検査、それを元にした専門機関での療育支援といった対策が挙げられます。

発達障害が精神障害にいたるまで

ここで一旦、私自身の障害についてお話ししたいと思います。私は成人してから自閉症スペクトラム障害(以降ASD)と、その二次障害として双極性障害II型と診断されました。

私の障害の特性としては、「ASD」では様々なことにおいて「ほどほどにする」という感覚がわからず、コミュニケーションが苦手で相手を不快にさせてしまうことがあります。また、臭いものだけでなく一般的にはいい香り(香水など)とされるものでも、においが強いと感じてしまう「嗅覚過敏」や、無関係の雑音など空間の音全てを拾ってしまい、相手の言葉が上手く聞き取れない「聴覚過敏」といった症状があります。

ASDが原因でコミュニケーション上の失敗や、人間関係における失敗が続きました。さらに感覚過敏に対する親の理解が得られなかったりした結果、二次障害として「双極性障害」を発症。こちらは過度の興奮による散財や攻撃的な発言をしてしまって、社会的信用を失う場合も多い「躁状態」と、気持ちが滅入って何もできない、常に泣くくらいしんどいといった正反対の「うつ状態」をそれぞれ繰り返す障害です。こちらもなかなか家族に理解してもらえず、苦しい日々でした。

この2つの障害は大人になってから診断されましたが、実は1歳半の乳幼児健診にて発達障害の可能性が指摘されていました。当時は発達障害の概念があまり世間に浸透されておらず、母親もまた障害に関する知識はほぼ皆無でした。その際医師に「仮に発達障害だとしても、この子はこの子だから」と言われ、その言葉を信じてあまり意識せず子育てを進めたそうです。

しかしその結果、私は学校生活などでコミュニケーションの失敗を繰り返し、それが原因の不眠や自傷行為といったストレス反応に対し家族からの理解が得られず、最終的に先述の通り二次障害まで発症してしまいました。

「あの時、ああしていれば」

今振り返れば、これらのトラブルや精神障害は、療育支援を受けることによって抑えることができたのではないかと思います。というのも、療育支援では相手の表情や感情を理解して適切なコミュニケーションを取れるようにするトレーニングや、本人がどういう障害特性で困っているか、それをどう対策していいかを考える機会が得られるからです。

事実、私は小さい頃からコミュニケーションが得意でなく、同世代の子に馴染めずにいました。今思えば年上の人、特に親世代のような年齢の人達は小さな子どもに対して寛容だったからだと思います。どうしても同じ学年の友達が作れず、クラスでもクラブでも浮いており、転勤族だったことも相まって高校生になるまで友達はいないも同然でした。同級生が友達と帰ったり楽しげに会話していることが妬ましいとすら思ったほどです。

また「望まないいじり」をされることも多かったです。周りから浮いていたり発達障害が原因で目立っていたこともあり、言動を真似されてグループで嘲笑されたり、嫌なあだ名をつけられたりもしました。ただそれらは自分に絡んでもらえるチャンスだと無理やり考えていた部分もあったので、そういった嫌なことをきちんと嫌だと言えるよう支援や教育を受けられていたら、と考えることも未だに多いです。

早くからの支援で生きやすさを

このように大人になってから「子どもの頃から自他共に障害について理解できていたら」と後悔することが多く、「大人の発達障害」が知られてきた今、そう考える人も多いかと思われます。

今回は私の「大人の発達障害」であるASDと、二次障害の双極性障害II型を軸にお話ししましたが、発達障害だけでも注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などいくつも種類がありますし、それぞれの困りごとや対策、必要な支援も異なります。二次障害を発症してしまった場合はそちらも同様です。

そこで保護者の方にお願いしたいのが、お子様に発達障害があるかもしれないという指摘を受けた際は、躊躇せず検査を受けるなど専門家の手を借りていただきたいということです。もし特に差し障りなければそのままで問題ないですし、万一何かしら障害があった場合はお子様が余計に傷付く前に、自他ともに理解することで、より生きやすくなります。

これは保護者の方だけに限らず、「もしかしたら発達障害では?」と悩む大人になった当事者の方も同じです。今からでも遅くありません。検査を受けること、発達障害の診断をされることに抵抗があるかもしれませんが、ぜひ一歩踏み出してみてほしいと思います。

参考文献

【こころの健康情報局 「すまいるナビゲーター」 お子さんの発達が気になる方へ】
https://www.smilenavigator.jp/asd

962ch

962ch

ASDと双極性障害II型で「こだわり」の強い根っからのオタクで、音楽ゲームが心の支えと社会との繋がりでもあります。
前職から3年のブランクを経て、就職に向け就労移行支援を利用中。

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