「NPO法人虐待問題研究所」カウンセリングや講演を通じて虐待から子どもを守る

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出典:http://www.photo-ac.com


厚生労働省によると、2014年に児童虐待の相談を受けて警察や児童相談所が対応した件数は88931件にのぼり、過去最多になりました。中でも心理的虐待が全体の約4割を占めています。心理的虐待には、暴言、無視など拒絶的反応、目の前での配偶者や兄弟への暴力などがあります。2014年度中に虐待で死亡した18歳未満の子どもは71人で、うち0歳が27人で6割を超え、15人は生後24時間以内に死亡しています。

虐待死の加害者のうち28人が実の母親となっています。背景には、望まない妊娠があります。育児に悩んでも、誰にも相談できずに苦しい思いをしている親御さんが多いのが現状です。

今回は生後まもない頃から虐待を受け続けた過去をもち、虐待防止活動に取り組むNPO法人虐待問題研究所代表上原よう子さんに伺いました。


ーー虐待防止活動を始めたきっかけを教えてください。

生後から3歳まで実父に虐待されて育ち、3歳~17歳まで母の再婚相手の継父に虐待されて育ちました。殴る、蹴る、ナイフで刺される、階段から突き落とされる、食事もろくに与えてもらえない、学校にもろくに行かせてもらえず自宅監禁、煙草の灸、性的虐待、「死ね」などの暴言、などの虐待を受けました。

17歳の時、連日のように繰り返される虐待に耐えきれなくなりたった3万円を片手に京都府京丹後市から家出してきました。不動産に飛び込み6畳1間のハイツを借りる事ができました。朝はコンビニで働き、夜はスナックで昼夜を問わず働きました。その翌年、現在の夫と知り合い結婚し、3人の子宝にも恵まれました。

連日のように流れる虐待報道がとても他人事とは思えず2006年から虐待防止活動を開始しました。虐待を受けたほどんどの方が『自分も同じように虐待してしまうんじゃないか』と苦しんでいます。中には結婚するのが怖いとあえて独身生活を選ぶ方もいらっしゃいました。

それは【虐待は連鎖する】とこの言葉が一人歩きしているからです。虐待の連鎖は迷信で間違いです。たまたま大事件を犯した人が虐待に遭っていたと言うデータを元にしたからです。虐待に遭った人は子どもには自分と同じ思いをさせたくないと思って幸せになられている方が圧倒的に多いです。

私は虐待防止活動をするために虐待に遭い、使命として産まれてきたと思っております。虐待の他にも苛め、死産、障がい、など生きづらさを抱えた人は本当に多いです。1人でも多くの人を癒す事ができたらと思って活動しております。


ーーどうして継父は虐待したのでしょうか?

3つの理由があると思います。

ひとつは、父性の感情が育たないまま父親になったこと。初婚で3歳と5歳の子の父親になり、父親は実の子ども0歳の赤ちゃんの誕生した姿を見る事によって父性がわく、継父は父性の感情が育たないまま父親になったからだと思います。

2つめは、プライド。高校3年間特待生だったので親は周りからもチヤホヤされて鼻が高かったと思います。高校を卒業して実家を離れ事業を行っておりましたが、母と出合った時には仕事もせず実家暮らし、親からお金をもらっていました。『自分はこんな仕事できない!』と言うようなプライドが邪魔して仕事をしなかったと思います。挫折を知らない、子どもが言う事をきかないのが許されなかったのだと思います。

3つめは、継父自身も虐待されて育ったことです。父親も自分の父親に虐待されて育ったのである程度は躾で暴力は許されるという考えがあって虐待していったと考えられます。


ーー虐待の連鎖が起こる原因は?

虐待に遭っている子どもは笑ったりする喜びの感情、楽しいって感情、嬉しさなどの感情はあまりないと思います。どちらかと言うと、憎しみの感情だったり、怒りの感情の方が強いと思います。そのままの状態で子育てに入ると怒りの感情が強いままですので攻撃する感情が表に出てしまうという事につながる事になります。その感情を抑えるには、喜びの感情だったり、楽しさの感情だったりを入れてあげると怒りの感情や憎しみの感情などは下がってきます。友達と遊びに行くとか、趣味をみつけて遊びに出けるとか、子どもと1対1の空間でなくて常にストレス発散しながら子育てする必要があります。


ーー虐待はどうしたら早期発見できるのでしょうか?

虫歯が5本以上あれば虐待の注意が必要です。お菓子ばかり食べさせているなど、親としての役割を果たしていない、養育の放置として虫歯が5本以上あれば虐待の注意として歯科医師会が発表しています。乳歯から生え変りの時期はどうしても虫歯が多くなるので、一概には言えませんが、注意が必要になります。

子どもらしくない表情は、虐待のサインです。子どもは子どもらしい元気はつらつとした表情が子どもだと思うのですが、大人の顔色伺うとか子どもらしくない子も注意が必要です。虐待に遭っている子どもは表情が失われるからです。



上原さんは、同じ思いで苦しむ人を一人でも多く救いたいという思いで、NPO法人虐待問題研究所を立ち上げ、カウンセリングや講演活動を通じて、虐待防止、早期発見などに取り組んでいます。また、トラウマ専門ケアワークや虐待防止サポーター資格認定講座などを開催して、虐待を防止するための人材教育にも力を注いでいます。

虐待問題研究所では、心理カウンセラーなどによるカウンセリングを実施しています。悩みを抱え込んでしまって苦しい思いをしている方のサポートを行っています。どうすれば育児に悩む親御さん方に、育児の悩みを話してもらえるか思考錯誤を繰り返しながら、カウンセリングを提供しています。

カウンセラーは女性6名、男性1名の計7名です。カウンセリングは初回30分は無料となっています(2回目以降は有料)。予約はホームページの問い合わせフォームで受け付けています。



【NPO法人虐待問題研究所】
大阪市淀川区西中島4-5-20 西中島ビル2F
TEL:06-7878-8933
E-mail:adooropensforme@gmail.com
URL:http://www.geocities.jp/stop_gyakutai_xxx

上原 よう子  NPO法人虐待問題研究所 代表

上原 よう子  NPO法人虐待問題研究所 代表

1982年11月4日生まれ。京都府京丹後市出身。夫と3人の子どもの家族5人暮らし。
生後から3歳まで実父に虐待され、3歳から17歳まで母の再婚相手の養父に虐待され何度も殺されかけた経験を持つ。毎日のように繰り返される暴力に耐えきれなくなり17歳で大阪へ家出。大阪で知り合った男性(現在の夫)と18歳で授かり婚をする。現在夫と3人の子どもの5人暮らし連日のように流れる虐待報道が他人事ではないと2006年より虐待防止活動を開始する。NPO法人虐待問題研究所の代表を務める傍ら心理カウンセラー、フリーライター、ラジオパーソナリティなど幅広い活動を行っている。子ども虐待の専門家としてマスコミでも注目されている。

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