こんな経験ありませんか?~ストレスが引き起こす「パニック障害」について
パニック障害・不安障害出典:Photo by Sen Lee on Unsplash
みなさんはバスや電車、会議中などの何気ない日常で、何の前触れもなく激しい動悸や、息苦しさなどを感じたことはありませんか?もしかすると、それは「パニック障害」かもしれません。
パニック障害とは年々増えつつある「不安障害」の1種で、精神の不安から体調自体を崩してしまうという心の病です。
今回のコラムでは、そんな「パニック障害」について、私の実体験を踏まえながら、その詳細や対処法を書き記していこうと思います。
「パニック障害」とは
パニック障害とは、一部の場所や物、行動などに著しく不安を感じてしまう「不安障害」の1種です。不安を感じるあまり、動悸や息苦しさ、吐き気などの身体に影響が出てしまうという心の病です。
この病にかかる人は年々増加しており、日本人の約1割の人が一生に1度、この病を経験すると言われています。
芸能人でも『逃げるは恥だが役に立つ』などのテレビドラマでおなじみの俳優・歌手である星野源さんや、元プロ野球選手で、現在もマルチタレントとして活躍されている長嶋一茂さんをはじめとして、実に多くの方が、この病にかかっていたことを明かしています。
私の実体験~発症
私がパニック障害を発症したのは中学2年生の春でした。
私は当時、電車通学をしており、その日は何気なくチューイングキャンディを噛みながらいつものように通学していたのを覚えています。
最寄駅から学校のある駅までは各駅停車で9駅で、その3駅目に差し掛かるところでした。
目の前が急にぐらつき、極度の吐き気とめまいを突然感じました。体験したことない異様な感覚にすぐに次の駅で降り、トイレに駆け込みました。
しかし、実際に吐いたりはしておらず、トイレに入ると1~2分ほどで体調が回復したので、「何かタイミングが悪かったのかな?」と軽く思い、出来るだけ早く移動するために、目的の駅までノンストップの急行電車に乗り込みました。
すると、また同じように吐き気とめまいを感じ、立ってられなくなり、入り口付近に座り込んでしまいました。
その時は出来るだけ無心で過ごし、着いたとたんにトイレに駆け込もうとしました。しかし、またトイレに駆け込む1~2分の間に、先程まで吐き気を感じていたとは思えないほど体調は元通りになっていました。
私は沢山の「?」を頭に浮かべながら、無事に少し遅れて登校し、その日は念のため一日保健室で過ごしていました。
しかし、下校の際に電車で再度、同じ症状に襲われ、1駅乗っては降りてを繰り返して、いつもは30分の電車を2時間以上掛けて、なんとか帰宅しました。
もちろん、帰宅してから母にこのことを話しましたが、当時はパニック障害という病名どころか、うつなどの精神疾患自体がまだあまり馴染みがないというような時代でした。なので「今日は体調が悪かっただけよ」と一蹴されたのを覚えています。
そこから私の苦しい日々が始まりました。電車の通学はもちろん、授業中の教室や講堂での集会など、他人の目のある閉所が全て辛くなり、参加したとしても集中できず、ほとんどを保健室で過ごすという日々を送りました。
ただし、こういう病気があると知らない当時の自分は、教師や親に信じてもらえるとは思えず、ほとんど生産性のない日々を半年ほど過ごしました。
私の実体験~回復
そんな日々を送っていたある日、転機が訪れます。
いつものように保健室で過ごしていた私は、備え付けのとある本を手にしました。
本のタイトルこそ思い出せませんが、何気なく手にしたその本は不安障害をマンガで分かりやすく解説するというもので、そこにはパニック障害についても書いてありました。
私と瓜二つの状況に陥った人物がパニック障害だと診断されている描写を見て、ようやく自分が「病気」にかかっていると自覚できたのです。
とはいえ、当時中学2年生だった私は本当に信じてもらえるのかが分からず、両親に相談することができませんでした。
それでも「治療法がある」という事実は、私にとって大きくプラスに働き、気分が悪くなったとしても積極的に授業などに参加するようになりました。
「最悪、この方法でこれ以上悪くなることがあれば、その時はしっかりと両親に言えばいい」と割り切って動くことができるようになったのです。
それから、私の体調は少しずつではあるものの、着実に快方へと向かっていきました。 とはいえ、自己流の治療法だったため、復調までは1~2年程かかり、その後もしばらくは急行列車や集会などの長時間大人数と過ごす閉所には行くことができませんでした。
しかしながら、各駅停車には問題なく乗ることができ、授業などもほとんど出席できるなど、どん底だった時から比べると劇的に変化しました。
おわりに~私の実体験を通して
私は実体験から、最もパニック障害の怖い部分は「病気を病気だと認識できない」ことだと思っています。
世の中の本は、基本的にパニック障害ということが判明している前提で話をしている物も多くあります。しかしながら、過去の私のように病気自体を認知できなかったり、気持ちの問題だと一蹴されたりと、周囲にしっかり伝わらないという場合も少なからずあると思います。
そんな際に「パニック障害」という単語だけでも知っておくと、その後の対処を大きく変えることができるのは間違いありません。
この病は、年齢や職業等、自身の状況に関係なく、誰にでも起こりえます。何の前触れもなく、突如として予期しない発作から症状が始まるのです。
何気ないことがストレスになっていたなど、自覚しない要因から病にかかる場合も多くみられます。
なので、自分自身はもちろん、家族や友人などが急にこの病にかかってしまう可能性もあります。だからこそ、この記事を通して「パニック障害」という言葉を覚えておいていただければ幸いです。
この記事で私と同じような状況で苦しむ人が、1人でも少なくなることを願っています。
参考文献
【パニック障害・不安障害 | 厚生労働省】
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html
パニック障害・不安障害