完璧主義と発達障害~理想と現実のギャップ

発達障害

出典:Photo by GRAHAM MANSFIELD on Unsplash

発達障害の特性として「完璧主義」というものがよくあげられます。

そして完璧主義を特性として持つ発達障害の人は、理想と現実のギャップに苦しみやすくなります。

今回のコラムでは、そんな完璧主義の問題点や対処について書いていきます。

完璧主義の特徴

はじめに、完璧主義の人によくみられる特徴について解説していきます。

真っ先にあげられる特徴は「完璧」主義という名のとおり理想を高く設定してしまうことです。

完璧を追い求めるあまり「95点ではなく100点」「2位ではなく1位」を目指してしまいます。

また、同じくらい多くみられる特徴に「失敗が怖い」というものがあります。

例えば「95点を取ったとしても5点取れなかった」のような少しの失敗に「怒られてしまうのではないか」「自分の評価が下がるのではないか」と恐怖を過剰に感じてしまいます。

さらに「引き受けたことは失敗できない」という考えから、過剰に責任感が強くなってしまう場合もあります。

最後に「自意識過剰になってしまう」という点があげられます。

自分の評価を気にするあまり、周囲や他人の目を過剰に気にしてしまいます。

自分に陶酔し、自分自身が完璧でありたいと思う「自己愛が強い」人もいます。

完璧主義の原因~発達障害との関連性

完璧主義の原因として「幼少期の家庭や勉学事情」があげられます。

幼少期に「失敗を過度に責められる」「1位や100点を目指すように説教される」など完璧を要求されることで完璧主義になりやすいといわれています。

また、発達障害の場合は得意、不得意の偏りが大きいとされています。

そのため「勉学面で才能はあるものの運動音痴である」など、1方面に秀でているものの別の面で失敗することが多くあります。

このことから、親や周囲が才能に目を向けるあまり、失敗を責め過ぎてしまい完璧主義になりやすいといわれています。

完璧主義の問題点

完璧主義の問題点はいくつかあげられ、その中でも「人を頼ることが苦手」というものがよくあげられます。

完璧主義の人は他人に弱みを見せたくないため、人を頼りにくくなります。

また、責任感や他人への信用度の低さなどもこの問題に加担しています。

2つ目に「細かい点を気にしすぎ、業務や作業自体の進行が遅くなる」というものがあります。

先程も述べたように、完璧主義の人は100%の完成度を求めます。そのため、1つの落ち度も無くそうと思うあまり、作業の1つ1つに膨大な時間がかかり、結果的に全体の進行が遅れてしまうのです。

また、品質が重要でない業務でも100%以上のものを作ろうとしてしまいがちです。

3つ目に「できるという確信のあるものにしか手を出さない」というものがあります。

完璧主義の人は100%のクオリティのものしか生み出したくないため、はじめから失敗の可能性がある業務や作業に手を出さないことが多くあります。

作業を始めたあとも同様で、実際に手を付けて最後まで終わらないと感じると、できるところまでやるわけではなく、その場で投げ出すこともしばしばあります。

その他に「優先順位をつけられない」「他人にも完璧を要求する」など様々な問題がありますが、先にあげた3つは直接仕事や日常生活に関わってきてしまう重要な問題点です。

また発達障害の人は、1つも失敗をしないということは特性上難しくなります。

そのため、100%を追い求める理想の自分と、失敗する現実の自分のギャップでストレスを抱え、うつなどで心身に影響が出やすくなります。

完璧主義の対処法

完璧主義の対処として「まずは人に相談してみる」ことがあげられます。

例えば業務であれば上司に、日常のタスクであれば家族に相談することで、やるべきことを明確にしやすくなります。

完璧主義以外の特性にもいえますが、とりあえず「報連相」をおこなうことで、失敗のリスクも抑えられるはずです。

次に「スケジュールを細かく決める」ことも効果的です。

スケジュールを先に細かく決めておくことで、クオリティを妥協しやすくなり、作業効率が落ちにくくなります。

さらに、予備日を多めに取っておき一旦作業を完成したのち、クオリティを高めていく形を取ることで、締め切りに確実に間に合いながら自分の納得のいくものが作りやすくなります。

最後に「とりあえず作業をやってみる」という対処です。

完璧主義の人は、良くも悪くも能力が高い場合が多いです。そのため、悩むよりとりあえずやってみたら意外とできるものです。

もちろん色々なものに手を出し過ぎることはよくないですが、悩んでなにもしないよりは有意義です。

そしてなにより「自分の失敗を責め過ぎない」ことをこころがけ、挑戦の精神を忘れないようにしましょう。

完璧主義の治療法~SEPについて

また、完璧主義の根本的な解決方法に「SEP(Self-Esteem Program、自尊感情回復プログラム)」というものがあります。

完璧主義の主な原因は、幼少期の家族や周囲との関係から考え方が歪んでしまうことにあります。

このSEPはそういった歪んだ考え方や認知を分析し、修正していく治療法の1種です。

この治療の最大の利点は「完璧主義」という根本的な考え方を改められる点にあります。

この考え方が変われば少なくとも先ほどのような問題点は起こりにくくなります。

もし、完璧主義の対処が上手くいかないという方は心療内科の方にSEPの相談をしてみてもいいでしょう。

おわりに

今回のコラムでは「完璧主義」について、発達障害の話を交えながら、解説してきました。

もちろん完璧主義には「クオリティの高い結果を出しやすい」「他人からの信頼を得やすい」などの利点もあります。しかしながら欠点が多いのも事実です。

今回紹介した対処を試しながら少しづつ欠点を減らし、利点を伸ばしていきましょう。

中学生時代にパニック障害を発症。一度は回復したものの、社会人になって再度発症し、その際にかかった精神科にて、検査を勧められ、発達障害と診断されました。以降悪戦苦闘しながらも、社会に適応しようと奮闘中です。

趣味はゲーム全般で、最近はカードゲームに力を入れています。

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