PTSDから併発した睡眠障害(不眠症)~私はどのように向き合っているか

パニック障害・不安障害

出典:Photo by Minh Pham on Unsplash

このコラムを読んでくださっているみなさんは、しっかりと眠れていますか?睡眠の質はどうですか?睡眠時間は十分ですか?

私は、(※)PTSDから睡眠障害を併発しています。現在も睡眠薬を服用しないと眠りにつくことができません。そんな睡眠障害を自分自身で認識してから現在までのことを書いていこうと思います。

(※)PTSD……心的外傷後ストレス障害。とても怖い思いをした記憶が整理されず、そのことが何度も思い出されて、当時に戻ったように感じ続ける病気。

眠ることに対する思考と心の状態

今思うと、PTSDを発症する原因となったトラウマを受けたその日から、すでにうつ病も発症していたのでしょう。

寝ることに対する罪悪感。「寝ている間にまた何か悪いことが起こるのではないか」という恐怖心。「寝ている暇があったら、やるべきことがあるのではないか」という焦燥感。「この先自分がどうなっていくのか」「何をしたらいいのかわからない、全く見通しのきかない今、この瞬間以降の将来」に対する強烈かつ漠然とした不安感。そして同時に「何もしたくない、何も考えたくない」うつの思考など……。

その当時の思考の傾向は、悪い方向にしか考えられないか、あるいは、思考が停止してしまい、頭の中が空っぽでした。

異常な睡眠状態

自分で制御することができない心の状態に陥り、うつ病の身体症状のひとつとして異常な睡眠状態が表れました。自覚するほどに心身共に疲れ果てているのに、眠気を全く感じることがありませんでした。膝を抱えて座ったまま、膝に顔をうずめ、1晩に1回、長くても30分ほどのうたた寝をする程度だったのです。まれに1時間くらい眠れることもありましたが、このような状態が約半年間続きました。

主治医と出会い、告げられたこと

発症して約半年後に、現在も通っているメンタルクリニックに通院することになり、主治医と出会いました。当時の私にとっては、PTSDを発症したトラウマの経緯や心情を吐露することは非常に難しく辛いものでした。ですが、心身の状態も同じように辛い状況でしたので、可能な限り事実を詳細に、そしてその時の感情も、できるだけ言葉にして伝えました。

私の話を聞き終わった後、すぐに主治医から「PTSDからのうつ病です。睡眠障害も併発してますね。あなたの場合、PTSDのトラウマが強すぎるので、睡眠障害については一生ものかもしれません。(睡眠障害と)一生付き合っていくつもりでいて下さい」と宣告されました。私は、その言葉にショックを受けることはなく、どちらかというと「一生もの」とはっきり言ってもらえたおかげで、かえって覚悟ができました。その宣告の瞬間から、自分自身が納得して、睡眠障害(不眠症)と正面から向き合うことができたことで、今にいたっているのだと思います。

具体的な症状と処方薬、医療従事者との関係性

私に表れている具体的な症状は「入眠障害」「中途覚醒」「熟眠障害」です。簡単に説明すると、入眠障害は「寝つきが悪い」、中途覚醒は「何度も目が覚める」、熟眠障害は「眠りが浅い、目覚めが悪い、時間的には十分寝たはずなのに疲れが残っている」ということです。

今では、服薬をすることで睡眠時間もしっかり取れるようになっており、安定して眠れています。しかし、自分に合う薬、組み合わせにたどり着くためには、少々時間が掛かりました。何度も主治医と薬剤師さんに、副作用について相談をしました。半年近くかけて、薬の種類の変更や同じ薬でも成分含有量の調整を繰り返し、ようやく今の薬の組み合わせに落ち着きました。現在は、睡眠導入剤と睡眠を持続させる薬を服用しています。

試行錯誤の例ですが、最初に処方された薬は、私には効果がとても強すぎて、よく眠れはしましたが副作用も大きく、朝起きられなかったり、日中にも強い眠気が残り続ける、ふらふらした感じがするなどの症状が表れました。すぐにそのことを主治医に報告、相談をして、薬を変更してもらいました。

私は、薬に対する依存性や副作用についてなど不安に思っていることを、最初から正直に主治医と薬剤師さんに伝え、相談しました。薬を服用することに対して抵抗感があり、懐疑的でもあったので、「自分の為に」不安を取り除きたかったのです。それによって、表れやすい副作用についても詳しく説明してもらえて、心の準備もできました。副作用の報告と相談を行い、主治医と薬剤師さんにはデメリットも伝えてもらう。これを行ったことが、今日まで続く信頼関係を構築できた要因だと思います。

終わりに

不眠症を発症した原因として、私のパターンは、あまり一般的ではないケースかも知れません。ですが、日本人を対象にした調査によると、5人に1人が何らかの不眠があると回答しているそうです。睡眠に何らかの違和感をお持ちなのであれば、躊躇せずに専門医(精神科や心療内科)にご相談されることをお勧めします。

参考文献

【e-ヘルスネット|休養・こころの健康|睡眠と健康|不眠症】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

【厚生労働省|知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス|こころの病気を知る|PTSD】
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html

ODYSSEY

ODYSSEY

40代後半の男性です。8年ほど前から、PTSDからのうつ病(社交不安障害、睡眠障害、適応障害)と闘ってます。加えてADHDのグレーゾーン、HSPの傾向が強いとの診断も受けました。現在は、就労移行支援事業所に通所しながら、オープン(障害開示)での長期就労を目指しています。

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