自然に子供が学びだす環境づくり(『発達障がい~神からの贈り物~』第65回)
発達障害Photo by Clay Banks on Unsplash
『発達障がい ~神からの贈り物~』 第65回 <毎月10日連載>
私は発達障害児を主として個人学習塾を開いています。ここ最近は私自身が驚くほど子どもたちが自主的に学んでくれます。
私の塾の子どもたちは学校での授業や集団生活に難がある場合が多いが、私のもとではぐんぐんと能力を伸ばしています。半数以上がIQ120以上という少し特殊な環境ですが、半年前までひらがなさえ書けなかった小学生が漢字や足し算に興味を持ったり、学校では勉強ができないと言われている子が我が塾ではフラッシュ暗算並みの計算ができだしたり…、本当に私が驚かされています。
今回から私の塾での基本方針や取り組みなどについて数回に分けて紹介しようと思います。
私の塾では基本的に一斉授業はしません。同じ教室の中で学年がバラバラな子どもたちがそれぞれに好きな科目を学んでいます。わからないことや興味もあることがあれば私に質問します。小1から中3まで、どの科目のどの単元で質問されるかわからない緊張感を感じながら日々を過ごしています。
このスタイルは以前にも北欧式教育のスタイルとして紹介したと思いますが、それに倣い、私が行っているのは教育ではなく一人ひとりにあった環境の提供です。
そもそもが周りに合わさせること自体に無理がある、逆に好きなことにはどんどんのめり込んでいく、それがハッタツさん。良くも悪くもマイペース。だったら好きなことを存分にしてもらえばいいじゃない?好きなことをどんどんやってもえる環境を提供する、これが我が塾の根幹。なのでやりたくなかったら教室から出ても帰っても構わない(もちろん無断ではNGだが)。あと、躾もしませんと最初に断っています。他人の迷惑にならない限り好きな態勢でしてもらっています。過去には床にマットをひいて寝転んで勉強した子供もいました。
おそらくこんな環境で塾を開いているのは日本で私だけのように思うところですが、こんな雰囲気では学習どころでなくなるとそう思う人が多いように思います。もちろん以上のことだけだとそうなるかもしれません。なので私にもすべきことはあります。それを以下にまとめます。
まず私が最も行っていること、それは私自身が学ぶこと。質問などされない時間は英語ニュースをずっと読んでいます。(子供そっちのけの時も多い。)これは私自身が学ぶ楽しさを体現することが目的です。見せかけ的なものでなく、本当に自分が楽しんでいる姿を子どもたちと同じ空間で共有する、これは時間が立つとボディーブローのようにじわじわと効果が現れる。子どもたちがゆっくり学びを楽しみだす。
あとは子供が何に興味を持っているのかを探っています。実際には授業時間ではなく行き帰りの時間や暇な時間に授業中の子どもたちを思い出しヒントを探し、それを授業中に投げかけたりしています。昆虫や星や戦国武将に邪馬台国…、学びへの入り口はどこにでもある。鉄道マニアは地理と相性抜群。釣り好きは生態学や環境学、料理好きも生物や栄養学など多種多様な入り口はある。そこを刺激する、と同時に私自身も興味を広げる、それを心がけている。
以上が普段私が行っていることのほとんどです。授業のための準備も不要だし、自分自身楽しんでいれば自然に環境は整うので心が疲弊することはない。むしろ子どもたちのポテンシャルの高さに驚かされワクワクすることばかり。
子供は本来は遊び上手なはず。しっかり遊ばせてあげて興味が育てば自然に学びだす。ただ、どんどんと遊べない子が増えていることには危惧しているが。
子供の学習相談などでは、遊べない、ゲーム以外に興味を示さない、そんな話をよく聞くが、確かにそんな状態では以上のような環境が整うわけはない。なので、次回はどうすれば遊べるのか、興味を持てるようになるのか、そのあたりについてお話しようと思います。次回をお楽しみに!
発達障害