脳性まひを抱える寺田ユースケさん、お笑い芸人から、車いすホスト、そして車いすYouTuberへ。
身体障害今回、車いすYouTuber、寺田ユースケさんにお話を伺いました。
──大学卒業後にお笑い芸人としてデビューされてますが、お笑い芸人になられたきっかけは?
生まれつきの脳性まひで20歳まで足を引きずりながら、いびつな歩き方をしていて、幼少期に笑われたりバカにされたりして嫌な思いをしていたのですが、その当時バラエティー番組が好きで、芸人さんって不幸な話を笑い変えれるのを見て、幼心で単純にいいなと思っていました。その後、大阪の大学に通うようになって、1・2年生の時は全然うまくいかず、友達も全然できないしサークルでも浮いてるし、足が悪いことにも益々ふさぎこんでしまい、典型的な人生のどん底の状態だったんです。転機となったのが、20歳の時に初めて車いすにのったことで、いろんな場所に行けるようになった。そこでポジティブになって、おしゃれするようになって。大学2年生の時に、初めて心許せる友達が2人できて、韓国とのハーフの友達と、アイルランドとのハーフの友達だったんです。その2人がキーマンで、自分は障害があるからとバカにされたり笑われたりした人生が、彼らにとっては日本人でないから顔つきをいじられたりしてきた過去と重なることで、すごく仲良くなって、2人とも関西人だったのでとてもノリがよく、お笑いも好きだったので、それからお笑い芸人になりたいと思ったきっかけです。その時、海外留学がイギリスに決まっていて、現地でMr.ビーンを観て感銘を受けたのもきっかけの一つです。
その後、日本に帰ってからNSC36期に入りました。
──ホストをされてたこともあったんですよね?
はい。2014年、2015年に東京で芸人をしていたのですが思うように笑い取れず悩んでた時に、乙武さんに相談したら、顔がそこそこ良いからホストはどうかと言っていただいて歌舞伎町に飛び込んでみました。でも、そんな売れず、今後も売れる気もしなくてなんとか人生変えないといけないなって思っていた時に、2017年にライブ配信が流行りだしたので、元々 バラエティ系が好きだったので企画をたてよう思い、車いすで全国まわったら面白いんじゃないか、道行く人に押してもらったらいいかなと思い、helpush(ヘルプッシュ)って名前つけて。気軽に助けあえる世の中になるのかなって、自分が発信できることってなんだろうと思って。それでヘルプッシュの企画をたてました。
LINEライブで当時流していて、47都道府県まわったんです。途中、彼女(今の奥様)と付き合いだしました。その後、彼女が撮影しながら動画配信をしだして、『寺田家TV』が始まりました。
──YouTubeはその後どんな風に進みました?
スキルも無く、撮影して編集して、、、でもうまくできなかったです。素人が無計画で動画をあげてただけでした。旅の動画だけだと、冬はやれないので、障害者の人とコラボしようってなりました。その後、2020年に子供が生まれてから家族の動画も増えました。『装着型サイボーグHAL』で、「車いす卒業」という動画をあげたんですが、かなりの視聴者数になりました。
──これまでやってきて良かったことは?
YouTubeは僕にとってが表現の場なんです。大学卒業して就職せず、お笑い芸人やってホストやって、表現する場を2つ歩いて失敗して、今3度目の正直なんです。それを作ってくれたのが妻で、妻がいてくれたからここまでこれたと思っています。
──奥様はユースケさんと一緒にしてきて良かったことは?
(奥様のコメント) 一緒にYouTubeをして、いろんな所に行けたことと、YouTubeをしていなかったら絶対に会えなかっただろう人達に会えたことが良かったことです。また、障害を持ってる方とコラボさせていただいて、いろんな方がいらっしゃることを知れて良かったです。
──お二人の中で良かった動画とは?
自己満足で作る動画と、人から評価してもらう動画って違うと感じていて、再生回数の多い動画がみんなに求められている動画と認識しています。『装着型サイボーグHAL』の動画はすごく良い動画だったと思います。
──実際歩けるようになってどんな感じでしたか?
シンプルに嬉しかったです。40分ほど器具を足につけていたのですが、外した後も楽に歩ける実感がありました。
──今後やっていきたいことは?
今までとはまた違った形で、チャレンジする姿をお見せしていきたいです。
自分のために動画を作るのではなく、世の中の課題やみんなが悩んでいることを解決できるような動画を作らないと、自己満足で終わってしまうので、世のため人のために頑張っていきたいとは思っています。
今後新たな方向性にむけて寺田家で奮闘中の真っ只中。
新しい『寺田ユースケ』を確立する難しさをわかっていても、そこを脱却しスタートを切った彼にこれからも期待していきたいと思います。
公式YouTube
https://www.youtube.com
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