アンネが教えてくれた、強さと優しさ
暮らし
■アンネがのこした言葉、私の心に響いたもの
私は家の中で過ごすことが多く、歴史のことをYouTubeなどでよく見ています。
その中で出会ったのが『アンネの日記』でした。初めてアンネのことを知ったのは、テレビのニュース。何気なく見ていたそのとき、「これが本当にあったことなんだ」と知って、心が動きました。
アンネ・フランクさんは、ユダヤ人であるという理由だけで、命を脅かされる時代を生きていました。家族と一緒に、誰にも見つからないように、アムステルダムの隠れ家での生活を余儀なくされます。
ただ、静かに暮らしていたいだけなのに。
大切な人たちと一緒に笑っていたいだけなのに。
それすらも許されなかった時代があったことに、私は胸が苦しくなりました。
アンネは、そんな生活の中で日記をつけ始めます。誕生日にプレゼントでもらったその日記帳が、彼女の心の支えになっていきました。不安、悲しみ、怒り、希望――。小さな文字で書かれたその一つ一つの言葉に、私は何度も心を揺さぶられました。
やがて、隠れ家は見つかり、アンネたちは収容所に連れていかれます。
アンネとお姉さんのマルゴットさんは、病気にかかり、そのまま帰らぬ人となってしまいました。
想像するだけで、涙がこぼれそうになります。
でも、アンネの書いた日記は残りました。お父さんであるオットー・フランクさんが、生き延びた後に受け取り、大切にしてくれていたおかげで、世界中の人がアンネの心にふれることができるようになったのです。
この日記を読むと、たった15歳の少女が「言葉」で世界に希望の灯をともしたように感じます。
たった一人の、たった一冊の日記が、争いや差別の悲しさを今も教えてくれます。
今の世界を見ていると、また悲しいニュースが聞こえてきます。戦争、差別、いじめ、無関心。
私たちはもう、同じ過ちを繰り返してはいけないと思うのです。
アンネの日記は、過去の記録ではありません。
「今を生きる私たち」がどう行動するか、何を選ぶかを、そっと問いかけている本です。
わたしは、この日記を読んで思いました。
平和は当たり前じゃない。
だからこそ、大切にしたい。
誰かを思いやること、自分の気持ちを正直に見つめること、小さな声にも耳を傾けること。
それが、平和につながる最初の一歩なのかもしれません。
アンネの言葉は、今も静かに、でも力強く、私の心に語りかけてきます。


