APDという症例に気づいて

その他の障害・病気

出典:Photo by Kimia Zarifi on Unsplash

私は「相手がしゃべっている、声も聞こえている、だいたいの話の流れは分かっていた、しかし急に何のことばをいったか分からなくなる」という症例にたびたび悩まされています。

また、会話の途中で突然会話の内容が変わったときなどに、相手が何という言葉を発したか聞き取れないことも多々あります。その場合聞き返すのを躊躇してしまい、内容を理解しないままなんとか情報を集め続け、やっとどういったことを話しているのか分かるというケースもあります。

この場合、何の話題か分からず聞いていると相手に察せられると「空返事をしている」とらえられて気分を悪くさせる場合もあります。ですので、そうならないよう正直に「ごめん、何の話題だったっけ」と違うことを考えていたふりをすることもあります。

子供のころから

小学生のころから、たまにですが相手が何の話題で話しかけてきたのか分からないという経験をしていました。3回ほど「何?」と聞き返さないとはっきりとした内容が入ってこないのです。しかし昔はそれほど、たびたびその現象は起こりませんでした。

たびたび起こるようになったのはよくは覚えていませんが、夫と出会ってしばらくしてからだと思います。夫とはお見合い結婚です。最初はこちらも「印象を悪くしてはいけない」と一生懸命、話を集中して聞いていたので、症状は無かったと思います。しかし、しばらくして気をゆるす仲になると、長時間一緒にいるときなど注意力が散漫になるのか、それとも安心感からか「自分が興味の無い話題」のときなど特に聞き逃しが増えたと思います。

「え、今なんていった?」という回数が増えていきました。幸運なことに夫はそういった症状に気を悪くする方でなく「お前は天然だからな」「頭のねじが5本くらいゆるんでいるから仕方ない(笑)」などといってちゃかしてくれます。そんな夫ですら、ごくまれに「もういい。聞いてなかったんだろ」とあきれることがあります。そんなときは「そうじゃない。一生懸命聞いていたけど聞き取れなかったの」と必死で弁明します。

今回、作業所でコラムの閲覧をしていた際に、この症状が病気の1種かもしれないと知って、夫に伝えた際「深く考えないことだな」と特に問題視しませんでした。そのことで私は「理解をえられた」と非常に安心したのです。

もしかしたら

みなさんはAPD/LiD(聴覚情報処理障害/聞き取り困難)という症状をご存じでしょうか?(以下、APDに略)私はつい先日までまったく知りませんでした。そして、自分がその症例に当てはまっているかもしれないということもです。

「APD」は聴覚は正常ですが、耳で聞いた言葉や会話の意味が理解できない障害です。

私はこの障害を疑っています。ずっと前から自分の耳の聞こえかたに違和感を持って過ごしてきました。難聴を疑って検査をしても正常、しかし人と話す際にその人の言葉がどういったことを指して、何と発せられたのか理解できないことが多いのです。

娘の反応

娘は今11歳の小学5年生です。まだ言葉をうまくまとめて話すことが少し困難なうえ、舌っ足らずな面があるため、聞き取れないことが非常に多いのです。たまにまったく何のことをいっているのか分からないときがあり、勝手にこちらの想像で「こういうことをいっているのかな」と想定して返事をすると「ママ、何いってるの?」と怒らせてしまうこともあります。適当に聞いて受け流しているととらえられるのです。

ですので、この症例を知った日に真っ先に娘に話をしました。「実はお母さん、適当に聞いてるんじゃなくて内容がききとれないの」「だから怒らないでまた症状が出たんだなと思って欲しい」と伝えたのです。

娘は意外とあっさりと理解してくれました。「ああ、だからあのとき変なこといってたんだね」と。

以前は「え、何って」を4回くらいくりかえすような場面もあり、娘に「もういい」といわれたりして、非常に悲しい気持ちになっていたこともありました。他人の話をしていたときもまったく違う人のことをいっていると思っておかしい返事をして怒らせたこともありました。

娘の言葉が1番聞き取りにくいのは、赤ちゃんから育っていく過程でまだ話せない段階のときに、想像で娘が「こういっているのだろう」と思い込みで接していた期間が長かったせいかもしれません。また、夫にいわせると「あいつはまだ主語がないときが多いからな」とのことも影響してるのかもしれません。

とりあえずのところ、私の耳の聞き取りと与えられるべき情報に誤りが生じるという現象については、家族の理解をえられたのでよかったと思います。

母の反応

私は何か悩みごとがあると母に電話して相談します。APDかもしれないことも知ってすぐに報告しました。意外なことに母は「お母さんなんか、そんなこといっぱいあるよ」といいました。私は母の話していることを聞き取れないということはほぼありません。おそらく産まれたときからずっと会話し、生活を共にしてきた日々が、私に母がいいたいことを想定できるようにしてくれるからなのだと思います。

母はあまり他人と群れることを好まないうえ、特別気にいっている人としか話をしない性格なので、聞き取ろうという意思が薄いのではないかと思います。「何かあの人色々しゃべってたけど結局何がいいたいのかよく分からなかった」ということがよくあるそうです。これもAPDの1種なのでしょうか。しかし、母は他人からどう思われているかということに関してはまったく興味のない人なので「自分はおかしい」と思ったことはないようです。

娘の言葉に対して聞き返しが多いと相談したときも「お母さんもあの子なにいってるかほとんど分からないよ」といっていました。「子供って自分の話を上手に話せる子、少ないんじゃない?」ともいっていました。

まとめ

APDを患っている人は意外に多いらしく、しかしその認知度ははるかに低いらしいです。研究機関も少なく、この症状が1種の病気ととらえられるようになったのも、つい最近のことらしいです。

私は統合失調症のため、他人からの目が人1倍気になるタイプですが、母は真逆なので、そういう症状があると知っても特に気にしていませんでした。「そういうのもあるのね、教えてくれてありがとう」「旦那さんがいう通り、あんまり気にしないことよ」といっていたくらいです。

確かに、話をする相手に自分の症状を伝えておけば誤解を産むこともなさそうですし、今現在までそれほどこの症状に悩まされたことはないので、軽い気持ちでいようと思います。

また、聞き取れなかった際は間髪入れずに「え?」や「はい?」と大きな声できちんと、聞き返すと逆に相手が「こちらの声が小さかったのか」と感じてくれるらしく、大きめの声でいいなおしてくれることにも気づきました。とりあえず今のところ、私にはこの方法が1番いい対処法かと思われます。


参考文献:『マンガでわかるAPD 聴覚処理障害』 阪本浩一 著 株式会社法研 令和3年10月26日 第一刷

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統合失調症、その他の精神病をわずっている主婦です。
犬猫が好きで癒されています。

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