Youtuberヒカルさんが会いに行った脊髄性筋萎縮症の「まなと」さんにインタビューしました

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以前、Youtuberのヒカルさんと面談した方で脊髄性筋萎縮症の「まなと」さんについてご紹介したことがあります。今回は、まなとさん本人にインタビューする機会を頂戴いたしましたので、掲載いたします。インタビューについてはライブ配信のアーカイブもありますので、そちらもご確認ください。

自己紹介

──まなとさんの自己紹介からお願いします
「名前はまなと、20歳です。障害者への偏見を無くしたいと思っており、Twitter(現X)やYouTubeで活動しています」

──脊髄性筋萎縮症とはどのような病気でしょうか
「簡単に言うと、年齢を追うごとに筋力が衰えていく病気です。小学生の頃と今を比べると、確かに筋力は弱まっており、出来ることは少なくなっています。物心ついたころにはこの病気と向き合っていた感じですね」

──どのような面で最もハンデを感じていましたか
「誰かの助けがないと身の回りのことが出来ないので、時間や都合を合わせなくてはいけませんし、自分一人の自由な時間も少ないです。ここは割と田舎なのでヘルパーも比較的少なく、満足いく支援を受けづらいのも現状です」

──家族介護が多いと思いますが、その辺りはどうお考えでしょうか
「正直、申し訳なさを感じており、自分で出来ることは自分でやりたいのですが現実的に難しい部分があります。これもYouTubeなどで発信しようと思った動機の一つではありますね。主に母や祖父母から介護してもらっています」

ヒカルさんと会って

──ヒカルさんと実際にお会いした感想を聞かせてください
「障害者の偏見を無くす夢をどう発信していこうか考えていた時に、昔から好きなヒカルさんの動画を見ていく中で、自分の気持ちをアピールするために、毎日上がる動画の感想を送っていました。300日以上経った頃、ヒカルさんの目に留まって実際に会う流れとなりました。これには確かにヒカルさんの目に留まった“運”もあり、目に留まらなければ以前と変わらずメッセージを送り続けていたでしょう。しかし、メッセージを送る“行動”をしたからこそ叶ったことでもあるので、一連の経験は自分にとって一つの自信となっています」
「ヒカルさんとお会いした時のことは、実は放心状態になっていてよく覚えておりません。ただ、伝えたかった気持ちは動画の中で伝えられたので、良かったと思います。喋ることはDMを送る前の段階から考えていたので、全てがアドリブという訳ではないのですが、自分の気持ちや言いたいことを伝えきりました」

──動画編集の仕事は現在どうなっていますか
「実はA型事業所は福祉サービスの一環でもあるので兼業が出来ません。なので保留中です。ただ、声をかけてくださった別の企業様がありまして、今のところは話し合いも順調に進んでおり、近いうちに編集の仕事が出来るようになると思います。事業所の方は辞めなくてはならないので、そのための折衝をしているのが現状です」

──せっかくのチャンスなので叶えたいですよね
「兼業が出来ないと聞いたときはショックでしたが、可能性は残されているので、その意味では良かったなと思います」

──普段はどのようにヘルパーを入れていますか
「昼食の時だけヘルパーの介助を受けています。朝から仕事を始めて昼までの3時間半と、昼から親が返ってくるまでは一人きりです。近くに住む祖母も介助してくれますが、毎回できる訳でもなければ、ずっと介助できる訳でもないので、その辺りの不安はありますね」
「ヘルパーがいない間は、体勢が崩れても直せません。ある程度の体勢保持は出来るので致命的な崩れは経験していませんが、一人でいるときに地震が起こったことがあります。大きな地震ではなかったのですが、震度によってはと思うとヒヤリとしましたね。そうしたことも情報として発信する活動をしています。まず知ってもらうことが大切なので、発信そのものに意味があるのではないでしょうか」

──発信にはどのようなツールを用いるつもりですか
「今は自分のやりたいことに直結する発信は出来ていませんが、将来は講演などをしていきたいと考えています。その為には、今の自分の環境を整えていく必要がありますね。ヒカルさんの動画で本名を出したのも、そうした理由があります」

──Vtuberとの二刀流も提案されていましたが、どうお考えですか
「何の活動をするにしても、今の自分には自由に使える時間が少なすぎるので、あれこれ手を伸ばしても疎かになるだけです。今は自分の身辺環境を整えて、生活水準を上げてから将来の活動を考えていきたいですね」

頭を使うのは得意

──病気の進行に対する不安はありますか
「進行性の病気とは知っていましたが、高校まで進行が緩やかだったので、意外と大丈夫かと思っていました。しかし、ここ数年で急激に進行しています。なので不安がないと言えば嘘になりますが、今出来ることは残っていますし、手が使えなくなっても視線入力など補えるテクノロジーは数多くあるので、その時に対策すればいいという思いもあります」

──今後どのような支援を求めていきたいですか
「ハンデのせいで埋もれていても、社会に出て仕事をすれば能力を発揮できる人は数多くいると思っています。自分は手が動かせないので出来ることは少ないですが、その中でもどの機材をどうすればゲームが出来るかなど常に考えていったので、頭を使うのは得意になったと自負しています。これを仕事に活かせれば可能性は広がりますが、ハンデの存在や制度の遅れで難しい部分があります。その為に何が必要かをアピールしていけたらなと思います」

──普段の趣味や休日の過ごし方を教えてください
「ゲームやアニメが好きなので、ゲームしたりYouTubeを見たりしていますね。特に頭を使い戦略を立てるゲームが好きで、今は『ポケモンユナイト』をやっています。ポケモンユナイトは、ただ野生ポケモンを倒せばいいというものではなく、野生ポケモンの撃破と玉入れのバランスが重要なゲームです」

──ゲーム実況なども上げていくつもりですか
「時々ライブ配信や、カード開封動画を上げています。ただ、今は家族の共有スペースであるリビングでしか撮れないので、その辺りも改善していけたらいいなと思います」

──YouTubeではヒカルさんの他にどのような動画を見ていますか
「動画編集の解説動画を見ているほか、他のYouTuberの動画も参考にしています。最近はYouTubeを見る時間が増えているかもしれません」

──最近はAIによる動画編集もありますが、試したことはありますか
「AIはまだ試していません。一つの手ではあるし効率もよさそうですが、今は自分の手で作ってオリジナリティを担保したい段階ですね」

ヘルパーを入れづらい

──現在の福祉制度で改善してほしい所はありますか
「やはり、仕事中にヘルパーをつけられないのが疑問ですね。仕事は生活していくうえで不可欠なものですが、ヘルパーをつけての労働が出来ないために、仕事のない障害者がとても多いです。自分の経験でも、自力で食事や排泄が出来ないようなら働けない求人ばかりだったので、その辺りは改善してもらいたい所ではあります」

──リモートワークならヘルパーをつけられる可能性はありますか
「一応、ヘルパー付きの在宅ワークを許可する企業はありますが、全国共通という訳ではありません。そういう姿勢が広まっていけばいいですね。制度面の知識も今後付けていきたいです」

──現在はどの時間帯にヘルパーが入っていますか
「今は仕事のある日で親のいない火水木の昼1時間だけですね。週3時間、月にして15時間ですが、これ以上増やすのも難しいと言われました。人手不足などが主な理由です」

──行政すら家族の力ありきで考えている節はありますよね
「家族には家族の人生があり、僕自身も自立したい思いはあります。家族にやってもらえばいいという意見に、自分はこうしたいという矛盾した思いを抱えています。働くこと自体が難しいのにヘルパーにかかる費用も大きく、家族の介助にしても自分より高齢なので将来の保障はありません。いきなり自立しろと言われても無理なので、慣らしていくというか、そういう環境があればスムーズに自立していけるのではないでしょうか。家族のもとから数日離れて生活するなど、そういう取り組みが必要だと思います。ヘルパーの人手不足など課題があることは分かりますが…」

──将来の夢や目標など、他に何か話したいことはありますか
「まだ20歳、時間はたっぷりあるので様々なチャレンジをしたいです。お金があれば解決することは意外と多いので、講演でアピールするだけでなく、お金稼ぎをしたいのが一番ですね。仮に自分が月収50万にもなれば、お金だけでなく障害者へのイメージも変わるのではないかと思います」
「障害者というだけで考え方はネガティブになっていくと思いますが、それも考え方次第で変わってきます。自分も昔はネガティブな考え方でしたが、今はそうしたことを考えず、色々楽しかったりモチベーションが湧いたりしていますので、当事者としてそういう発信には意味があると思います」

──目標の月収はどのくらいですか
「月収50万が目標です。今はA型事業所の8万で、月収が1万上がるだけでも非常に嬉しいのですが、目標は高く持って50万と設定しています。会社に雇われて稼ぐのは自分には難しいので、独立して働くことになると思います」

──最後に何か宣伝ないしアピールしたいことはありますか
「TwitterやYouTubeを主な活動拠点をしておりますので、登録のほう宜しくお願いいたします」


参考サイト

ライブ配信のアーカイブはこちら
https://www.youtube.com

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

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