SNS上で餌付けされる「アンチ発達障害」たち

発達障害 暮らし

Photo by Radoslaw Prekurat on Unsplash

旅先で「野生動物にエサをやらないで!」という文言を見たことはありますでしょうか。野生動物に食べ物を与える「餌付け行為」は多くの場所で禁止されています。何故ならば、人間を恐れなくなるあまり、人里に居座ったり観光客の食事を盗んだりと迷惑行為を働くようになるためです。悪気なく善意でやっている手合いが多いのも却って始末に負えません。

ネットの世界でも、とりわけSNS上では「悪気のない餌付け行為」が頻発しています。この場合は野生動物の方が餌を嗅ぎつけ寄って来ているだけで、元の書き込み主に非のないケースが多いのですが。

ひとつ実例を挙げましょう。「上の子がまたやった!片付けるの大変なんだよ~(笑)」という感じの文章と共に、チラシか何かの破りカスが散乱した部屋の写真が投稿されていました。恐らく育児エッセイ的な書き込みのつもりだったのでしょう。ところが、これを嗅ぎつけた「アンチ発達障害」が、書き込み主が三児の親で皆発達障害であることを掴んだ上でこう取り上げました。「再チャレンジのつもりで三人も産んだのだろうが、発達障害は遺伝するもの。健常児を産めないような人間が子を産むなどあってはならないことだ」

実際は直視に堪えない内容だったため、詳しい文言ややり取りはうろ覚えなのですが、概ねこのような感じだったと思います。ただ、「植松聖」と言われると誇らしげにしていた様子は確かに覚えています。

自閉スペクトラム持ちと一緒にいることで精神状態が悪化したと訴える「カサンドラ症候群」「職場内カサンドラ」や、兄弟姉妹が障害者であるために孤独化やヤングケアラー化などの問題を抱える「きょうだい児」などは格好の話題であり“餌場”です。憶測や真偽不明どころか創作にすら彼らは群がり、雑音と悪臭を撒き散らしながら“餌”を消費します。なんなら「産婆がキュッと」みたいなデマも妄信していますね。

“餌”に群がる有象無象の心理は、ひとえに「一時でも気持ち良くなりたい」ことに尽きます。過激な発言で物申せば、自分が“裁定者”となって“悪人”を断罪する妄想に浸っていられます。結局のところ、彼らは処罰感情という本能を満たしてドーパミンを過剰分泌したいだけなのです。加えてネット上であれば、同じ思想の人間と共鳴することで承認欲求も満たせますし、孤独感を和らげることも出来ます。

ネット上での「餌付け行為」は、防げるものではありません。餌の匂いを嗅ぎつければ何処へでも“消費”に赴く行動範囲が、他ならぬネットの特性によって備え付けられたからです。ただ、彼らの多くは浅薄で刹那的で移り気な存在です。いかなるご高説を垂れようとも、気に病む道理もなければ構ってやる価値もありません。「また餌を見つけて喜んでるな。キモッ」くらいで受け流してやりましょう。そして、現実での「餌付け行為」は絶対にやめましょう。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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