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筆者には先天性の吃音症とADHDのほかに、二次障がいとしてBP-IIとPDを患っています。これらの疾患は精神科に通院し、投薬治療を受けています。

ここからは、精神科で自身が経験したことについてお話しします。当時は、高校を卒業後（18歳を過ぎて19歳になる頃に児童精神科から精神科へ移らないと、投薬治療が途切れる可能性がある）に、大学の帰り道に寄りやすい立地が都合よかったという単純な理由で、ある精神科クリニック（以下、CLと表記）に通院していました。

しかし、残念ながらそのCLはもうありません。時をさかのぼること約4年前、2021年（令和3年）12月に起きた「北新地ビル放火殺人事件」の犯行現場となったCLに通院していたためです。筆者自身は途中で自宅からアクセスしやすいなんばのCLに転院しましたが、結果として最初に通っていたCLでお世話になった西澤先生と心理士の方を亡くし、転院先のCLの主治医も通院開始からわずか2か月で亡くなりました。事件ではありませんでしたが、寝ている間に脳出血が起きたらしく、続けて3名の方を失うことになったのです。幸い、3か所目のCLはすぐに見つかり、現在はそちらで約5年お世話になっています。

次に、筆者がどのような経緯でこのコラムを書くことになったかを少しだけお話しします。筆者は4年制大学を卒業し、就職はしたものの、どの職場も1年も続かない状態が続きました。そして最近は、発達面や精神面というよりも体調面が不安定だったため、区役所の福祉課を通してNPO法人に相談に行きました。そこで相談員の方に精神科を転院した理由を聞かれました。フラッシュバックで苦しむと分かってはいましたが、ありのまま転院理由を伝えました。

すると、事件を知らない人がいたり、心ない言葉をかけられたりする現実があることを痛感しました。そこで、事件を風化させたくない、またはこうした出来事があったことを伝えたいという思いが強くなり、自助会に遅ればせながら参加して力になりたいと考えるようになりました。その流れで、たまたま吃音症のコラムを書くことになったのです。

吃音症のみを見れば知的には問題がないと言われています。しかし、話し方が詰まるという理由で、相手に違和感を与えてしまい、そこから見下されてしまう場合も残念ながらあります。実際に筆者は、このことで8年間苦しみました。高校を卒業した翌月の2017年4月から2025年3月まで、高校時代に3年間同じクラスだったあるクラスメイトが頻繁に会おうと連絡をくれたため、毎回スケジュールを調整していましたが、約束の30分前に全てドタキャンされ続けたのです。最後には相手のほうから離れていきましたが、最後に届いたLINEには「まともに話せないし、何を考えているのかわからない。やっぱり障がい者だからあなたはおかしい」と書かれていました。

このように、弱みにつけ込み、思い通りにならなければさらに攻撃を強める人もいるのだと、筆者は身をもって体験しました。

今回は、吃音症はもちろん、見た目では分からない障がいや持病をお持ちの方の話をしています。インクルーシブという言葉ひとつで片付けられるほど簡単な問題ではないと思いますが、社会的に弱い立場だと決めつけられ、消えることのない文字で攻撃される現実をとても悲しく感じています。少しでもこうした事例が減るように願うばかりです。

最後に、吃音症の方は、幼い頃からのからかいやいじめで傷つき、吃音に対してマイナスの意識を強く持ってしまうことがあります。しかし、マイナスの意識を抱いたまま人生を歩むのは、非常にもったいないことです。どうしても吃音症へのマイナスイメージが拭えず、心がつらくなるようでしたら、（現段階では吃音症そのものへの投薬治療はありませんが）耳鼻咽喉科や精神科ではなく心療内科の医師に相談してみると、気持ちが少し楽になるかもしれません。筆者はそう願っています。