植松聖の「好きなアーティスト」と、その理由

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Photo by Xavier von Erlach on Unsplash

植松死刑囚の裁判前、多くの報道記者が面会に訪れ、その思想や嗜好や嗜癖などを根掘り葉掘り聞こうと努めていました。自らの思想を語れる機会に、植松はさぞ心を躍らせていたことでしょう。一方、ある聞き手はこうぼやいていました。「植松は浅はかで掘り下げるものが無い男だ。面会するのも飽きたし、仕事でないならこれ以上付き合う価値もない」

兎も角、報道記者を通して植松の好きだったものが公表されることもあった訳ですが、一つだけ「うげぇマジか、植松がそれ好きなのか…」と引いてしまった項目があります。植松は好きなアーティストの中に「THE BLUE HEARTS」を挙げており、それが少し引っ掛かりました。理由は「カッコいいから」だそうですが、ブルーハーツの楽曲には幾つか植松に絶対合わないであろう歌詞が存在します。

「ロクデナシ」の歌詞はその最たるものです。詳細は各自検索してもらうとしてここには載せないのですが、植松が絶対に嫌うであろう表現がこれでもかと詰め込まれています。私自身は「ロクデナシ」のことは三本の指に入るほど好きな楽曲で、特に歌詞が気に入っています。

「TRAIN-TRAIN」の一部歌詞は、まさに「社会の縮図」「社会あるある」としてその部分だけ切り取られることも珍しくありません。映画「かづゑ的」でも示唆されていた通り、被差別者同士が差別し合うことにこそ差別の本質があるのでしょう。殴れる弱者を必死に探し回って虚勢を張るだけの自称強者は、空しくも迷惑な存在です。

余談ですが、昔読んだ小説にそういう場面がありました。嫌味なクラスメートがホームレスに驚いて転んだ様子を主人公に目撃されるのですが、そのクラスメートは逆上してホームレスに殴る蹴るの暴行をし始めます。弱い自分を曝け出してしまった怒りをホームレスにぶつけ、仮初めの“強さ”を誇示している訳ですね。これを目の当たりにした主人公の反応は、あまりの醜さから家に帰るなり嘔吐するというものでした。閑話休題。

植松がブルーハーツを好きだと言ったのは飽くまで見た目がカッコいいからであって、その楽曲に、とりわけ歌詞に惚れた訳ではないと思います。具体的にどの曲が好きなのか言わせてしまうと、それだけで曲へのイメージが下がりかねないので、見た目だけで好んでいるということにするのが一番平和な落としどころとなるでしょう。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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