パラリンピック・カヌー編~パラカヌーのルールは?
スポーツ 身体障害リオパラリンピックから正式種目となったカヌーは、ボートのようにオールを使って後ろ向きに進むのではなく、パドル(櫂)を漕いで前向きに進む小舟で、カヤックもカヌーの一種です。1艇に1人が乗り、8艇が一斉にスターし、200mの直線コースで着順を競う個人種目です。カヌーには、水をかく*ブレードが片方に付いたパドル(シングルブレードパドル)使用し、パドルを左右に持ち替えることで進行方向を調整します。体幹や下肢障害の選手を対象としたスピード感あふれる競技です。
*パドルの端に付いている、水をかく部分を指します。
パラリンピックのカヌー競技種目「カヤック」と*「ヴァー」
「カヤック」とは?
艇は長さ5m20㎝、最小幅が50㎝、最小重量12㎏の直進性に優れた形状のものを使用します。オリンピックで使用される艇と同じような形状です。パドルは長さ2mほどで、水をとらえるブレードが両側についているタイプです。1本のパドルを持った選手が艇の左右を交互に漕ぎながら前進します。
「ヴァー」とは?
「ヴァー」は東京パラリンピックから採用された種目で、オリンピックにはない種目です。艇はカヤックよりも長く、全長7m30㎝以内、最小重量13㎏(浮き具を含む)で、長いほど推進力があります。艇の左側にアマと呼ばれる浮力体がついていて、カヤックよりも安定します。しかし、安定性が増す分、真っすぐ進むためにはカヤックよりもパドルを漕ぐ技術が必要です。左側にアマがあるため、真っすぐに漕ぎ進めることが困難です。そのため、状況によってパドルを漕ぐ方向をどちらにするかを瞬時に判断する必要があります。
*ヴァーとはポリネシアの言葉で小舟という意味です。
カヌーのクラス分け
KL1~KL3、VL1~VL3までのクラス分けがあります。Kはカヤック、Vはヴァーを現しています。*Lと数字は障害の種類と程度を現します。
パラリンピックでは、KL1~KL3のカヤックとVL2~VL3のヴァーのレースが開催予定です。
*L1クラス(体幹の機能がなく胴体を動かすことが困難なため、肩と腕の機能だけで漕ぐ)障害の程度(重度)
*L2クラス(下肢で踏ん張ることが困難だが、胴体と腕を使って漕ぐことができる)障害の程度(中度)
*L3クラス(脚、胴体、腕を使い、踏ん張ることや腰を使う動作によって艇を操作できる)障害の程度(軽度)
水上の短距離決戦
オリンピックと同様に高速レースが展開される迫力がある競技です。
選手は転覆を防ぐためトレーニングによりバランス感覚と技術力を身に付け、水上を疾走します。また、万が一に備えて救助艇が常にスタンバイをしています。
前回のリオパラリンピックでは、イギリスを筆頭にヨーロッパ諸国がほぼメダルを独占しています。パラスポーツとしては歴史が浅いですが、リオパラリンピックでは日本人選手が8位入賞しています。これまで競技人口が少なかったパラカヌーですが、東京2020パラリンピックを目指す選手が男女とも少しずつ増えており、選手の強化が進められています。
注目の選手
東京パラリンピックカヌーの注目選手を紹介します。
瀬立 モニカ(せりゅう もにか)選手 クラスKL1
リオパラリンピックでは、8位入賞を果たしました。KL1クラスの選手で、障害の影響で座った姿勢を保つことができません。そのため、高い背もたれがついたシートに身体を固定してカヌーを漕ぎます。2020年東京パラリンピックでの活躍が楽しみな選手です。
参考文献
【東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会】 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
https://tokyo2020.org/jp
【パラサボweb】
https://www.parasapo.tokyo
【ポケットにエンタメを。】
https://siromama.com
身体障害