自己分析から分かったこと~就労移行支援を受けてみて

仕事

出典:Photo by Werner Sevenster on Unsplash

小学生のころにADHDと診断を受けました。父も同じくADHDなのででそれが遺伝したのかもしれません。しかし父がクローズで(障害を公表せず)働いていたこともあり、自分で気を付けていれば何とかなるだろうと、私も今までクローズで働いていました。

しかし、そんな私もここでは書ききれないような紆余曲折を経て、就労移行支援事業所に通所するようになりました。今回は事業所で取り組んでいることと、自身について分かったことについて書いていきたいと思います。

就労移行支援事業所で取り組んでいること

就労移行支援事業所ではアンケート用紙の集計やレシートの内容確認を想定したPCでの入力作業の訓練をしています。始めたころは早さと正確さを両方とも出そうと考えて取り組んでいました。これは以前、印刷会社で働いていた際に「早さ」と「正確さ」両方を求められており、その考え方が残っていたためです。

しかし、どうしても必ず1~2件のミスが出てしまい「どうしてミスが無くならないのだろう?」と落胆することもありました。ミスの内容は、アルファベットや記号の誤字脱字の見落としがほとんどでした。

自分は、ミスの原因はADHDの特性上、集中力を長時間維持しきれないことがあるのでそれが原因と考え、それまで30分間取り組んでいたものを15分間に短縮してみました。それでもやはりミスは無くなりませんでした。

そこで、就労移行支援事業所のスタッフの方の何人かに相談させていただいたところ、1人の方から「速さは一旦置いて、正確さだけを意識してみてはどうか」と意見をいただきました。実際に試してみたところ、ペースは下がったもののそれまでのミスの繰り返しが嘘のように収まりました。

 

以下が私が訓練時に行っていた方法の詳細です。

改善前 出来るだけ速いペースで打ち込み、必要な内容を全て打ち込み終えたら同じく速いペースで声に出して全体の再確認。

改善後 少しペースを落として打ち込み、必要な内容を全て打ち込み終えたら声に出して打ち込んだ内容を1文字ずつ声に出して再確認。

振り返ってみると、ペースを下げる前もミスがないか確認はしていましたが、私の場合速いペースで再確認すると見落としが出てくるようです。

  

他に訓練の中で気付いたこと

訓練中に周りの人の話し声が気になって集中できないと感じる場面が何度かあり、スタッフの方の助言から耳栓を使ってみることにしました。

耳栓を使っていたのは、主に上で挙げた入力作業や、応募書類の作成といった場面です。

しかし何度か試してみましたが、あまり変化を感じることができませんでした。それでも「無いよりはいいはずだ」と使い続けていましたが、ある時耳栓を外した状態で入力作業してみたところ作業のペース、正確さどちらにも全く悪影響がないことに気が付きました。

これは検証が必要だと思い何度か同じ状態で作業してみて、さらにはスマホから雑踏の音声を大音量で流した状態でも試してみましたが、やはり問題はありませんでした。

この結果を受けて、自分にとって集中できない場面について改めて考えてみたところ、以下の仮説にいたりました。

「その時取り組んでいる作業よりも、興味関心を引く刺激があるとそちらに注意が向いてしまう」

私の場合はこの傾向が強いようです。例えば、実家で母から家事の手伝いの説明を受けているさいに、テレビでニュースが流れるとそちらに注意が逸れて説明を聞き逃してしまうことがよくありました。恥ずかしながら家事の手伝いにはあまり乗り気でないことが多いので、そういった場合に自分にとってより興味関心を引く方を選択してしまうようです。

一方で入力作業に対しては、常に真剣に取り組んでいるので雑踏の音声に逸れずに済んだのではないかと思います。

しかし、今考えてみるとこの考えにはまだ穴があるように見えます。

例えば、このコラムを書いているときに他の方の業務連絡や雑談が聞こえると、そちらの内容を追っている自分に気付く場面が何度かありました。

恐らく、目の前のの興味関心だけでなく、やることが決まっている場合と自分で考えて行動する場合でも注意が逸れるかどうかの違いが出てくるようです。

おわりに

「自己分析に終わりはない」というスタッフの方の言葉を思い出しました。実際その通りだと思います。

しかし、自分について考え、振り返ることで気持ちが打ちのめされることも多々あります。同じく通所されている方の中にも「職務経歴書を書くさいに前職のことを振り返ると、つらい経験を思い出して中々進めることができない」という人もいました。

かくいう私も過去の就労経験を思い出すと「あの時もっとこうしていれば」「何であんな行動をとってしまったのか」という後悔がこみ上げてきます。

だからこそ、同じ思いをすることを少しでも減らすためにも「日々の訓練の中での気づき」「周囲からの指摘」を記録していき自分の行動に反映したり、配慮事項としてまとめるなど、自分をアップデートしていくことが大切なのではないでしょうか?

私にとって就労移行支援事業所での訓練は、よく似た経験をした方との交流やスタッフの方からの助言などもあり、自己嫌悪で潰れることなく自分を振り返ることができる場だと思っています。

このコラムが私のように障害や生きづらさを抱えた方に、そういった選択もあるのだと気付いていただくきっかけとなれば幸いです。

Ne.Ls

Ne.Ls

注意欠陥多動性障害(ADHD)という障害と20数年生きてきた男。
趣味はゲームとTwitterで改造したプラモデルを検索すること。
現在オープン就労を目指して試行錯誤中です。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

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