参天製薬、“見えない世界”を体験する小学生対象の特別講座を実施

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目薬などで知られるSantenこと参天製薬株式会社では「目を大切に!ブラインドチャレンジ」という取り組みを実践しています。この取り組みは、視覚障害の社員が小学校や学童保育を訪問して「特別授業」を行うというものです。

去る12月6日にも、農大稲花(とうか)アフタースクール(東京都世田谷区)にて、小学1年生~4年生まで17人を対象に特別授業を実施しました。講師となるのは、Santen社員であると同時にブラインドサッカーの日本代表選手でもある鳥居健人先生です。

点字ブロックなどを体験

子どもたちには体験プログラムとして、アイマスクで目隠しをしながら様々なことを実践させてもらいました。まずは「音当てクイズ」を通して、五感の中で最も多くの情報を視覚から得ていることを学びます。それを踏まえて、片方が目隠しをしてもう片方が声掛けをするパズルを実践しました。

鳥居先生「一番のコツは、始める前に数字を順番に並べておくこと。『整理整頓』は見える人にとっても見えない人にとっても大事です。『右、左、時計の何時の方向』など具体的な声掛けも助かります」

また、点字ブロックを敷いたフロアでは、目隠しと白杖を装備した子を誘導する体験も行われました。目隠し役の子どもたちは、誘導役を頼りに慎重な足取りで歩く姿が見られました。

鳥居先生「点字ブロックは『進んでOK』の誘導ブロックと『止まれ』の警告ブロックの2種類があります。僕たちは白杖と足裏の感覚で、これらブロックを区別しています」

体験プログラムの後は、グループセッションとしての話し合いです。視覚障害者がどのようなことで困るかについて色々と挙げてもらい、視覚障害者の立場で様々なアイデアが話し合われました。

質問と感想

最後に鳥居先生への質問タイムが用意され、時間内に収まらないほどの質問が殺到しました。日常生活への疑問など、子どもたちならではの質問が出され、それに鳥居先生が丁寧に答えます。

Q:お風呂に入る時はどうするの?
A:皆と同じように入りますが、工夫していることが幾つかあります。例えば、シャンプー、リンス、ボディソープと置く順番を決め間違わないようにしています。

Q:見えないってどんな感じ?暗いの?
A:僕は2歳で見えなくなったので、見えていた時の記憶がなく、見えていないのが当たり前。「明るい」「暗い」も知らないので「暗いなぁ」と思って生活しているわけではありません。「昼間だから今は明るいかな」というふうに想像しながら生活しています。

参加者の感想

・白杖の使い方や目が不自由な人の気持ちがよくわかった。もし目が不自由な人に出会ったら信号などを教えてあげたい(3年生)
・目が見えない人のことをあまり考えたことがなかったけど、これからは少しずつ考えて生活したい(3年生)
・点字ブロックを歩くのが楽しかった。友達が教えてくれたので、見えなくても怖くなかった(2年生)
・パズルが難しくて、目が見えないのは大変だなと思った(2年生)
・目が見えない人がいたら、手伝おうと思う(1年生)
・子どもたちは普段、多様な人と接することが少ないため、今日は社会にいろいろな人がいることを学ぶ、とてもよい機会になったと思う。体験型でとても楽しく、子どもたちが集中できるプログラムだった(農大稲花アフタースクールスタッフ)

鳥居先生の感想

「このプログラムの一番のポイントは、子どもたちが視覚障害について体験も含め『知る』こと。だれしも知らないものに対しては興味がわかないし、理解も深まりません。知らないと『怖い』と感じることもあるかもしれません。
『見えないと暗いの?』といった疑問も体験して知ったからこそ生まれてくるもので、私の答えを聞いて、きっとまた理解や興味が広がるのだろうと思います。当事者である私との対話は、子どもたちの印象に強く残るという意味でも重要であり、私自身も楽しみながらやりがいを持って取り組んでいます。
この先、子どもたちがいろいろな人に出会ったとき、自分とは違う相手のことを知ろうとし、そのうえでどうすれば仲良くできるか考える、そのきっかけになるといいなと思っています」

障害者ドットコムニュース編集部

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