ぬいぐるみに触れることで、自分自身を癒す
暮らし出典:Photo by Artem Kniaz on Unsplash
それほど数は多くありませんが、私の部屋にはいくつかのぬいぐるみがあります。ぬいぐるみが好きというより、手に持って遊ぶような人形であれば、どのような形をしていても、好きです。寂しいときに抱きかかえる、撫でて肌触りを楽しむ、寝るときのお供にする、手や足を持ってばたばた動かす、服を着せ替えて遊ぶ、飾っておいて眺める、写真に撮るなど、楽しみ方はそれぞれのぬいぐるみや人形によって、違います。こんなことを言うと、幼稚だとか子供っぽいとか、言われるかもしれません。
ぬいぐるみは「家族」
ぬいぐるみに触れていて、感じることがたくさんあります。まるで子供の世話をしているような、あるいはペットと遊んでいるような感覚になったりします。少々乱暴に扱っても、けがをしたり死んでしまったりするわけでもないので、気楽に戯れることができます。仰向けに寝転がってお腹の上に置くと、人間の赤ちゃんや犬や猫を乗せているような気分になったり、反対に自分が誰かの体の上に乗っているような気がしたりします。そのまま抱き上げたり、真上に放り投げて受け止めたり、扱いたいように扱います。
ぬいぐるみといってもさまざまです。表情のあるもの、無表情なもの、笑っているもの、眠っているもの。もちろん、その表情を変えることはありませんが、だからこそ、自分の気分に合わせて用途を変えるため、いろいろなぬいぐるみを集めるのはいいものです。ひとつのぬいぐるみといつも一緒にいるより、いくつかのぬいぐるみと代わる代わる過ごす方が、楽しめます。
ぬいぐるみの大きさや触り心地や抱き心地などに応じて、目的を変えます。食卓に置いて、独りで寂しい食事に彩りを添えたり、一緒にテレビを見たり、こっそりバッグに入れて出掛けたり、添い寝したりしてみます。寸法を測って服を作って着せたりもします。幼少時代に、ぬいぐるみとこのような過ごし方をした方も多いと思います。ペットの多頭飼いは問題に繋がりますが、ぬいぐるみは世話をする必要はないので、いくつあってもいいのです(置くスペースを部屋に確保しないといけないという問題はありますが)。
ぬいぐるみとの会話
障害者ドットコムのコラムの中に「ぬいぐるみセラピー」をテーマとしたものもいくつかあります。ぬいぐるみと触れ合っていると、「ぬいぐるみの存在が精神の安定になる」ということをひたすらに実感します。ぬいぐるみは自己を投影する存在でもあります。自身が傷ついたときこそ、ぬいぐるみに愛情を持って「自分が本来してもらいたい扱い」をすることで、間接的に自分を癒すこともできます。「おはよう」「おやすみ」「今日は寒いね」などと話しかけたり、悩みごとや今日あったことを話す(声に出さなくても、心の中で)のもいいです。もちろん、ぬいぐるみは何も言いません。
インナーチャイルドを癒す
ぬいぐるみと触れることはアダルトチルドレン(幼少期に家庭に問題があり、子供時代の傷を癒せないまま成長して、今もその傷を引きずっている大人)が、インナーチャイルド(今も心に抱えている、傷ついた子供のころのイメージや記憶)を癒すのに効果があるそうです。インナーチャイルドを癒すには、子供のころの自分と向き合う必要があります。もちろん幼少期の自分を目の前に連れてくることは不可能なので、漠然としたイメージで構いません。ぬいぐるみ(それ以外のものでもかまいません)をインナーチャイルドに見立て、接してあげるのです。「自分が(昔の自分の)親だったら、こうやって優しくしてあげたい」という感覚を持ちながら。ぬいぐるみに愛情を持って接することで、愛情を受けられなかったころの自分が少しずつ癒されていきます。
ぬいぐるみを持つなんて子供みたい、と思って恥ずかしくなる方もいると思います。しかし、ぬいぐるみや人形は「手間のかからない家族」であると私は考えます。いつも一緒にいても喧嘩もしません。寂しさを抱えている方や、辛い記憶が忘れられない方は、家族に迎え入れてはいかがでしょうか?
参考文献