イマジナリー境界知能という、“逃げ”の新境地

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Photo by Ben Hershey on Unsplash

覚えたての言葉を乱用したくなるお年頃の人々から、境界知能がいま注目を浴びています。堪え性がないあまり「あいつは住んでいる世界が違う別の生き物だ」と逃げ続けてきた人々にとって、境界知能はまさに注目の的となっています。

ある時は、安全制御システムでガチガチに固められた現代の乗用車を嘆く自称車好きが「本来車の運転が許されない境界知能に合わせたせいで、今の車は面白くない!」と懐古に浸っていました。

またある時は、やたらと主語が大きくなるミサンドリストが「高学歴で成功した知人たちに女叩きが趣味の奴などいない!やはり女叩きに浸っているのは知的ボーダーなんだなと再確認」と自己暗示を垂れ流していました。

現在のネット言論では、イマジナリー境界知能を出すことが「逃げ」の新境地を拓いています。「自分たちの意見や悩みなど理解できるはずもない、低劣な愚民どものせいで、生きづらくなっている」という思考停止の現実逃避において、やはり境界知能とは都合のいい存在なのでしょう。

明らかにハンデを抱えた存在でありながら、福祉の対象には含まれず、況やポリコレの守護範囲でもない、それが境界知能です。ごく一部の奇特な層にとって、これほど“都合のいい”存在はないでしょう。

彼/彼女らは、境界知能そのものを叩いている訳ではないと逃げを打つでしょう。ただ個人的な好悪に基づいて「悪=境界知能」となぞらえている以上、ふだん境界知能に対してどう思っているかも察しが付くわけで、やはり詭弁でしかありません。後で「いや境界知能の人に対して言ってないですよ、寧ろハンデがあっても力強く生きててカッコいいなと思ってます!」と取り繕ったところで空虚なだけです。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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