パラリンピックと知的障害者カテゴリ

知的障害 スポーツ
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パラリンピックの中継でいつも映っているのは身体障害者ばかりですが、他の障害者には参加カテゴリがないのでしょうか。目に見えない障害、とりわけ知的障害や精神障害を持つ人のパラ競技は存在するのでしょうか。

実は過去のパラリンピックにおいて知的障害者の選手が出場する競技が何度かあり、日本人のメダリストも生まれました。大規模な不正という向かい風を乗り越え、ロンドン大会での復活から(人知れず)種目を増やしつつあります。

今回は知的障害者とパラリンピックの関わりについてだけでなく、世界一よりもスポーツの楽しみを重んじる「スペシャルオリンピックス」についても触れていきたいと思います。

大規模な不正から疑心暗鬼に

パラリンピックの知的障害者カテゴリについては、日本での認知度が上がった長野大会でクロスカントリーが存在していました。しかし2年後のシドニー大会で大規模な不正が発覚し、ロンドン大会まで長い沈黙を余儀なくされます。

シドニー大会の不正とは、知的障害者バスケットボールで優勝したスペインチームに健常者が混ざっていたというものです。この不正によって金メダル剥奪となっただけでなく、パラリンピックの知的障害者カテゴリそのものが一時廃止となりました。

しかし強烈な向かい風を乗り越え、12年後のロンドン大会で陸上・水泳・卓球の知的障害者カテゴリが復活します。その後もリオ大会で400m走が追加され、更なる種目追加が期待されています。直近の課題はやはり知名度の少なさでしょうけれども。

クラス分けが難しい

知的障害者カテゴリは身体障害者カテゴリに比べてクラス分けが難しいという問題があります。見た目で分かりにくい場合もあり、この点はシドニーでの不正にも繋がりました。

よりクラス分けを厳しくしているのは、知的障害の程度が競技スキルに直結しないという現実です。中度の選手が軽度の選手より強かったケースが幾つもあり、障害の等級によるクラス分けが意味を持ちづらいのです。

とはいえ、重度になるほど「いつもは風のように走り回るのに本番だと全く走らない」「ルールを理解しているのか判別しづらい」という問題が出やすいので、クラス分けが必ずしも無意味という訳ではありません。ただ、より適切な基準が定まらないのです。

スペシャルオリンピックスの存在

仮に知的障害者カテゴリの知名度が向上して定着したとしても、パラリンピックはやはり世界一を賭けて争う極めてハイレベルなフィールドです。率直に言って誰もが目指すべき到達点にはなり得ません。

そこで、世界一を目指すのではなく「スポーツを楽しむ」ことにフォーカスした「スペシャルオリンピックス」が知的障害者スポーツにおけるもう一つの到達点として挙げられます。

スペシャルオリンピックスとは、知的障害者がスポーツトレーニングと成果発表をする場を設けて提供し続ける組織です。表彰式は参加選手全員が立って4位以下(失格者含む)にはリボンが贈られるなど、結果ばかりでなくすべての参加者に敬意と称賛を送る精神が特徴です。

「競い合う」よりも「生涯スポーツを楽しむ」ことに重きを置いているため、そうしたニーズに答えられる選択肢としてスペシャルオリンピックスはますます重要となるでしょう。携わる人がスポーツをどう捉えるかにおける多様性を担保することになります。

スペシャルオリンピックスにも独自のルールやレギュレーションはあるのですが、それも含めた詳しい解説はまた後ほどに預けます。とりあえず、何をするにも選択肢や到達点は多い方がいいですよね。

東京パラリンピックの種目一覧はこちら

参考サイト

パラリンピック競技特集(14)知的障害者陸上競技 - 日本財団ブログ「みんながみんなを支える社会」に向けて
http://blog.canpan.info

パラリンピックとは違う?知的障害者スポーツならではの問題とは|「きふる」|「寄付」を「カッコヨク」
https://kifuru.org

スペシャルオリンピックス - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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