発達障がい〜神からの贈り物〜
自然に子供が学びだす環境づくりvol.4 実践編第0回 ゼロポジションの確認(『発達障がい~神からの贈り物~』第68回)
発達障害Photo by Omri D. Cohen on Unsplash
『発達障がい ~神からの贈り物~』 第68回 <毎月10日連載>
いつもより早い梅雨明け、そして私の予定表にはほぼ全ての日が夏 の予定で埋まっている。この夏にやりたいことは他にも沢山あるの に。
蝉の声がちらほら聞かれ出したここ数日、夏の時間が既に足りない 悩みに陥っているケイです。
さて、今回からは子供が自然に学びだす環境作りの実践編に突入し ますが、実践編の全てに共通する項目から説明したいと思います。
福祉サービスを受けておられる方はご存知かもしれませんが、福祉 サービスを受けるに当たって利用計画のための計画相談が必要です 。私も過去に計画相談で多くの利用者さんの利用計画を立てたこと がありますが、計画相談では利用者の現状や本人の主訴などを踏ま えて短期的目標と長期的目標を考察しサービスを選択していきます 。
これは福祉全般で言えることですが、利用者中心主義といって一人 ひとりに合わせた計画が作成され、それを基に現場で実践されます 。オーダーメイドの計画です。
他方、学校教育では学年による階層的な教育指針に基づいて授業が カリキュラムされます。算数で言えば、1年生は足し算引き算、2 年生は掛け算の九九、4年生では鶴亀算を、という風に学年別で目 標が設定されています。
仮に、2年生時に掛け算の九九をしっかり習得できなかった子供が 4年生になり鶴亀算を一所懸命学んだところで習得できるでしょう か?もう一度その子が躓いた地点、この場合だと掛け算の九九を覚 えることに立ち返らないと先に進むのは非常に厳しいと感じません か?
実際に私がこれまで聞いた相談の多くも○年生なのに○○できない 、義務教育くらいはできないと困る、といったものがほとんど。そ の子が躓いている場所まで帰ろうとした保護者はほぼ皆無でした( その場では理解したような口ぶりで帰る人がほとんどだが)。
学習においても、福祉と同じように一人ひとりに合わせた計画がで きれば多くの問題は解決されると思いませんか?
しかし、学校教育では残念ながら教員の数や予算的に現状でかなり 無理があるのだと考えられます。
以上のようなことから私個人と賛同してくれる放課後デイ(※1) さんにも連携してもらい、一人ひとりの学習計画を立てながら行う 自立学習塾を開きました。そして、少し時間はかかったが私たち自 身も驚くほどの結果を子供たちが残してくれています。
ほんの一例ですが、小学5年生で支援学校に通う当初はひらがなも 数字も全く理解できなかったが、 1年たった現在では2年生の漢字をほぼマスターし、指折りながら ではあるが足し算も楽しみながら学んでいる現在6年生の生徒がい ます。周り以上に本人も自分ができることに驚いているようです。
私たちの計画ではひらがなを覚えさせようとせず、好きなキャラク ターの名前のカタカナだけを本人が書きたい分だけやって終わると いうのを繰り返したことから現在では奇跡的な成長を見せて貰える ことができた。本人が楽しむこと、そして自信を持つことができる とどんどん人って変化して行くんですよね。加えて、自信が備わっ たからと思われるが問題行動も激減し、友達とのコミュニケーショ ン能力も格段に向上中です。
以上はほんの一例ですが、最後に用語について説明したいと思いま す。その人その人が躓いている場所を私はゼロポジションと呼んで います。元々は水泳で抵抗を受けずに進める姿勢のことに起因する 言葉ですが、躓いた場所からリセットして進めるという意味合いも 含めてそう呼んでいます。多くの場合、躓いた状態はマイナスでい ち早く抜け出さないと追いつけないようなイメージを持つことが多 いと思われるが、私たちは躓いていることを受け入れ、そこから再 出発して行けば良いと考えゼロポジションと捉え学習指導に当たっ ています。今後もこのゼロポジションという言葉は当コラムで頻出 すると思われるので覚えておいていただけると助かります。
そういうことで次回はお盆辺りの公開になると思われますが、学校 授業がストップしている最もゼロポジションに対応しやすい時期だ と思われます。次回からの実践編本編もお楽しみに
※1 ぱれっと(大阪府貝塚市)
https://palette7398.wixsite.co m/sakura
蝉の声がちらほら聞かれ出したここ数日、夏の時間が既に足りない
さて、今回からは子供が自然に学びだす環境作りの実践編に突入し
福祉サービスを受けておられる方はご存知かもしれませんが、福祉
これは福祉全般で言えることですが、利用者中心主義といって一人
他方、学校教育では学年による階層的な教育指針に基づいて授業が
仮に、2年生時に掛け算の九九をしっかり習得できなかった子供が
実際に私がこれまで聞いた相談の多くも○年生なのに○○できない
学習においても、福祉と同じように一人ひとりに合わせた計画がで
しかし、学校教育では残念ながら教員の数や予算的に現状でかなり
以上のようなことから私個人と賛同してくれる放課後デイ(※1)
ほんの一例ですが、小学5年生で支援学校に通う当初はひらがなも
私たちの計画ではひらがなを覚えさせようとせず、好きなキャラク
以上はほんの一例ですが、最後に用語について説明したいと思いま
そういうことで次回はお盆辺りの公開になると思われますが、学校
※1 ぱれっと(大阪府貝塚市)
https://palette7398.wixsite.co
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