抑圧の檻〜見えない記憶が私を守り、そして縛る

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@Creator Mio

言いたいことが、たくさんありました。

話したいこと。聞いてほしいこと。実際に、見てほしいこと。
変人扱いをする前に、まず知っていてほしいこと。ちゃんと耳を傾けてほしいこと。

でも、言えませんでした。
話してはいけませんでした。毎日が、話してはいけないことばかりでした。
また、本当のことを相手に伝えるための技術や環境を、持ち合わせていませんでした。

本を通じて知る世界

たくさんの本を買いました。
海の向こうから渡ってきた、難しい、読めない本を買って、苦しんでいました。
ふと、誰かにぽつりと話せば、とても嫌がられました。

ただ、心の声を聞いてほしかったのです。
どこかに届けば、いつか、きっと報われるはず。
当時は、まだその時ではないことを、分かっていました。

「変」な自分と、逃げ場のない現実

「自分が生まれてきたことが、最大の理由。だから、過酷な修行をしなければならないのだ」と。
だって、自分が “変” なのだから。そう考えるしか、方法がありませんでした。

逃げ場なく、身体の自由を奪われ、それはただ一方的に、終わりなく継続していきました。
誰のことも幸せにしない、おかしな、おかしなストーリー。
怒号に拘束された、声のない声。

みんなは、みんなで、知らないふりをしていました。
みんなで、悲しい物語に蓋をし続けてきました。

弱さの連鎖

みんな、弱かったのです。
自分すらも、自身の悲しい物語に蓋をして、その続きを生きてきたのです。
それは、終わりのない拷問ともいうべき残忍な方法で、毎日、当然のように行われました。

黒いイメージ

私は絵を描くのですが、それは黒い。
この黒いイメージには、触れてはいけない。
この感覚こそが、抑圧の作用そのものなのだと、私は思うのです。

母親の顔を認識することができませんでした。
父親と母親の両方から、酷い虐待を受けていました。

現在なら、当時の私の心の声を、誰かに聞いてもらえるかもしれないと、ただ私は思うのです。

抑圧とは?

抑圧について調べてみました。抑圧とは下記のようなことを指すそうです。
・欲望や行動を押さえつけること
・無理に抑制し、圧迫すること
・心理学的には、自我の要求が外部の条件によって阻止されること

心的抑圧とは、個人の意識に入り込むことができない精神的なものを、無意識に抑圧してしまうことです。
例えば、トラウマ体験や不快な記憶がある場合、その記憶が無意識に抑圧され、意識に出てこないようになっていることがあります。

抑圧の具体例

自分自身にとって受け入れがたい感情や欲求、記憶などを、無意識に抑え込んで気づかないようにしたり、忘れてしまったりすることを 「抑圧(Repression)」 といいます。

例えば、過去にあった悲しい出来事について覚えていない、乗り気ではなかった予定を無意識にすっぽかしてしまうなど、こうしたことが、抑圧の一例として挙げられます。

調べてみて、気づいたこと

なるほど。やはり、これでした。
このような経緯に至るまでの間、自分のことを、第三者的に、長期的に観察していく必要がありました。
過去には統合失調症という診断を受け、何重にも、この不可解な感覚に苦しみ続けてきました。

この黒いイメージを、完全にDeleteしてしまうことはできないかもしれない。
でも、段々と小さくしていくことはできるかもしれない。

いつの日にか、小さな、とても小さな、ほくろくらいの大きさの、顔にできたシミの一つくらいのイメージに変えていけることを。
毎日、願い続けています。

見えない記憶と、向き合う勇気

抑圧された記憶は、心を守るための安全装置とも言えます。
しかし、それが大きくなりすぎると、人生のさまざまな場面で影響を与え続けることになります。

心の奥にある黒いイメージと向き合うことは、とても勇気がいることです。
それでも、少しずつ小さくしていくことができるかもしれない。

過去は変えられないけれど、未来の自分を変えていくことはできる。
そう信じて、今日も少しずつ、前に進んでいきます。

Creator Mio

Creator Mio

長期的な不眠や複雑性PTSDという形で後遺症が残っていて、慢性的な鬱症状に加えて、予期不安等による外出困難などの症状がある。定期的に精神科を受診し、投薬治療を受けながら、長いリハビリ期間を経て、現在は、積極的に、イラスト制作や執筆活動などに取り組んでいる。

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