実際には聞こえてるの?聞こえてないの?〜聴覚障害について
身体障害聴覚障害は健聴者(聴覚に障害が無い人)でも聞こえが多様なように、聴覚障害者も聞こえが多様です。近年はコードレスイヤホンが発展し、補聴器をイヤホンと勘違いされることも私自身も経験しています。聴覚障害は可視化できない障害です。そんな聴覚障害についてご紹介させて頂きます。
聴覚障害について(概要)
聴覚障害者とは聞こえの不自由な人を指しますが、受障した原因や程度、種類が多様にあり、その分類は困難を極めます。また聴覚障害は【中途失聴者】【難聴者】【聾唖者】に分かれます。
程度分類について
次のようにそれぞれに分けて聴覚障害の程度分類についてお話させていただきます。
①中途失聴者:音声が聞こえていた人が何らかの原因で聞こえなくなった人のことで、全く聞こえない中途失聴者でも大概の方が口話が可能です。
②難聴者:聞こえにくいのはあるけれど、残存聴力がある人です。補聴器で会話できる人から微量の聴力しかない人まで多様です。
③聾唖(ろうあ)者:音声言語習得する前に失聴した人で手話などで会話される方が主です。
聴覚障害は受障した時期により先天性と後天性に分類されます。先天性とは、生まれる時に備わっていること、生まれ付きそうであることで、後天性とは、生まれてから環境や事故など様々な事柄を誘因となった障害のことです。先天的障害は聴覚組織の奇形や妊婦さんの風疹感染等で聴覚神経が冒された場合に受障した障害です。後天的障害は薬の副作用、突発性疾患などで聴覚に関わる組織が冒された場合に受障した障害です。
程度分類は受障者がご自身でどう思っているかのアイデンティティの問題もあるようです。私自身は右耳は聾、左耳は中途失聴の聾ですが、読唇術※と左耳へ装用の人工内耳という機械から聞こえる僅かな音や響きで通常に会話出来ます。この観点から私は聾ではなく、難聴と思っています。
※読唇術…口の形で発言を読みとる技術。難聴者は自然と身に付くようです。
聴覚障害の種類について
聴覚障害を受障した部位により3つに分類されます。
①伝音性難聴:主に中耳(鼓膜から耳にある小さな骨【耳小骨】がある場所までの範囲)、外耳(耳から鼓膜までの範囲)が部位の難聴です。この部位の難聴は、音が伝わりにくい状態ですので、補聴器等で音を大きくすれば聞こえます。
②感音性難聴:主に脳性障害、内耳(蝸牛 前庭 半規管)、聴神経が部位の難聴です。この部位の難聴は音が歪んだり響いたりしていて音声の明瞭度が悪く、補聴器等で大きく音声を伝達するだけでは伝達できません。音声出力方法や補聴器の明瞭度を上げる必要があります。老人性難聴もこの感音性難聴に分類されます。
③混合性難聴:上記①と②両特性がある難聴です。
聞こえの程度
次に聞こえの程度についてお話します。聞こえの程度はデジベル(以下dB)という単位で表します。正常な聴力の場合は0dB近辺であり、数値が大きくなれば難聴の程度が強くなります。30dB以上が「軽度難聴」、50dB以上が「中度難聴」、70dB以上が「高度難聴」、100dB以上が「聾」となります。実際の聞こえの程度としては、40dBで静かな会話が可能で普通の会話がやっと聞こえる程度です。80dBで大きな声の会話が可能でホームに電車が到着する音が分かる程度です。120dBでかなり近辺でサイレンや飛行機のジェット音が感じられる程度です。
等級について
ここでは聴覚障害の等級についてお話させていただきます。聴覚障害のみの場合は6級から2級までで5級がありません。2級は言語障害が付加されると1級に認定される場合があります。等級条件が複数でどちらか一致することで認定される等級もあります。例えば6級は①両耳が70dB以上のもの、②片耳が90dB以上のもの、もう片方が50dB以上のもの、同じく4級は①両耳が80dB以上のもの、②両耳による普通会話の最良語音明瞭度が50%以下のもの、但し、同一級で重複する場合はワンランク上の級とされます。
如何でしょうか?私自身もこの障害があります。私の左耳は人工内耳装用で40dB程度の感音性難聴です。但し、常に耳鳴で音声が相殺される事が多く、また音声に明瞭が伴わない事が多いので、聞こえている時と聞こえてない時のその時々を理解して頂く事に苦労しています。
参考文献
Plala・要約筆記奉仕員養成講座(基礎課程)テキスト(全難聴・全要研合同テキスト委員会)~聴覚障害の基礎知識~
http://www1.plala.or.jp
その他の障害・病気