脳性麻痺と重複障害と私
その他の障害・病気脳性麻痺とはどのようなものなのか、今回は私自身が羅患している脳性麻痺とそれに伴う諸症状について、私の実体験をお話いたします。
脳性麻痺とは
脳性麻痺とは、文字通り大脳の麻痺を指します。具体的には、妊娠後から生後数週間までの間に何らかの原因で脳が損傷し、脳からの信号が伝達できなくなり、運動障害や体幹障害によって姿勢に支障をきたす障害が後遺症として残る症状を指します。
大まかには、脳に損傷 → 神経に損傷 → 伝送すべき信号が筋肉に伝わらない → 様々な器官が機能しなくなったり、正しい姿勢を維持できない。
これが脳性麻痺のメカニズムです。
損傷する部位や範囲によって異なります。言い換えれば同じ「脳性麻痺」でも、様々な合併症が見られることがあります。
脳性麻痺の原因と症状
脳性麻痺の原因は多岐にわたって考えられていますが、主に次の2つの原因が挙げられます。
①新生児仮死状態(胎児機能不全)
新生児の脳のうち、運動機能を司る部位は低酸素状態に弱くなります。出生前後での低血圧や呼吸不全・低酸素による「新生児仮死状態」では細胞障害が高確率で発生しやすくなり、結果として【虚血性脳症】を発症し、脳性麻痺として後遺症が残ります。
②核黄疸
核黄疸は新生児時期にヒリルビンという色素が大脳基底核という脳の一部に溜まり細胞障害が発生し、脳性麻痺としての後遺症が残ります。
※ヒリルビン=赤血球が壊れた時に出てくる黄色い色素/眼球や皮膚が黄色くなる黄疸の原因となる色素を指します。
※虚血性脳症=何らかの原因により新生児に酸素や血液が供給出来なくなることによってひき起こされる脳障害を指します。
脳性麻痺の運動機能障害の発症は様々で、いくつかのタイプがありますが、主な症例は3つあります。
①痙直型=手足が強張り、硬くなる症状
②アトテーゼ型=手足が過剰に動き出す症状
③失調型=バランスがとりにくくなる症状
脳性麻痺と聴覚障害
重複した機能不全が脳性麻痺では一般的であるという事例があり、その内25パーセントは聴覚障害を併発し、その見積もられた聴覚喪失は10パーセントから41パーセントまで様々です。
アトテーゼ羅患者の23パーセントは聴覚障害であるという報告もあるようです。
脳性麻痺の合併症
脳が損傷を受けた時、大概の場合は運動機能だけにとどまるのは非常に稀です。その為、脳性麻痺の症状の重さにかかわらず精神障害や聴力障害、てんかん発作等様々な合併が相当数見受けられます。
麻痺の身体部位による分類
麻痺が発症している部位がどの部位かにより主に下記の様に分類が可能とります。
①四肢麻痺=四肢に障害がある状態です。
②両麻痺=四肢麻痺と同様ですが、上肢より下肢が重度の状態です。
③対麻痺=両下肢に障害がある状態です。
④片麻痺=片方半身にのみ麻痺があり、下肢より上肢が重たい状態です。私はこのタイプです。
他に3肢麻痺など稀な症例分類があります。
私の実体験
私は脳性麻痺でも軽度の脳性麻痺で、先天性でした。本来は、車椅子と言われていましたが、生後から幼少期まで親が鍼灸に通ってくれたため車椅子は避けられました。母子家庭でしたので、母親には感謝の他ありません。小学校も通常の学校へ通学させて頂きました。中学生位から陸上やサッカーなどの運動能力に差が大幅になってきました。自転車も乗れないため小学校区以遠への行動手段も限られてしまいます。違う高校に通う等で共に行動できる友人が減っていきました。高校から学生時代は前コラムのでお話致しました、聴力の低下も著しく影響してきたため、「動けなくて大人数での会話出来ない男子」のイメージが付き始めました。面倒臭がられることも多々ありました。
聴力低下はもともと聾の右耳は脳性麻痺が原因ですが、左耳の低下は【不明】が原因です。社会人になってから、更に大幅に聴力低下したため人工内耳を装用する決意をし現在に至ります。人工内耳装用してから8年経ってますが、未だに慣れていません。私より身体障害が重い方もいらっしゃいます。私より軽い方もいらっしゃいます。私は重複障害をもっていますが、幸い健聴や健常と見た目は変わりません。ご配慮頂きたい事はありますが、「私は健常者で、障害という特性を持っています」といつも思っています。
同じ脳性麻痺の方、ご家族、ご支援されている方、その他の障害を持たれている方々もポジティブに明るく過ごしていきましょう!ネガティブも糧となるので、必要だとおもいますが、たまにポジティブになれば見えている世界は変わると思いますよ。
参考文献
脳性麻痺とは?その原因、症状、治療法は?(こちらのリンクは当サイトの脳性麻痺についての関連文書です。是非ご覧ください)
https://shohgaisha.com
脳性麻痺とは?
https://jlsa-net.jp
新生児黄疸-23.小児の健康上の問題-MSDマニュアル家庭版
https://msdmanuals.com
【障害保健福祉研究情報システム 脳性マヒと重複障害】
https://www.dinf.ne.jp/index.html
その他の障害・病気