2024年度「社会福祉ヒーローズ」のファイナリストが決定!愛媛と長崎からは初の受賞者も

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「社会福祉の甲子園」と銘打たれて2018年から始まった社会福祉ヒーローズも、今年度で7回目を迎えました。今回は1府5県(千葉・神奈川・京都・愛媛・長崎・大分)から7人が選ばれており、愛媛と長崎からの受賞者は歴代初となります。

この中から日本一のベストヒーロー賞を決めるイベントが2月19日(水)の午後1時から開催されます。イベントでは各ファイナリストからのプレゼンがあるほか、ゲストからの為になる話なども予定されています。オンラインでも開催されますので、是非見届けてください。

2024年度のファイナリストたち

言葉でうまく表現できない子どものサインを見逃さない(京都)
京都府亀岡市の放課後等デイサービス「はなのき放課後等デイサービス」では、言語でのアウトプットが困難な重度心身障害児と接するにあたって必要な「気持ちのサイン」を集めています。重んじるべきは子ども達の意思表示をいかに引き出すか、そして遊びや普段の行動の中で意思表示のサインが出ていないか気を配る事。例えば、好きな本を一冊選ばせるならば自分で選ぶまで待ち続けます。例えば、散歩のコースを変えた時に興味を持った場所を指し示す子が出ます。「新しい刺激の中で、児童の興味関心を引き出し選択肢を増やすこと。それらが将来大人になった時の意思決定に影響を与えるのではないでしょうか」

アビリンピックを通して就労支援(大分)
大分県大分市の就労継続支援A型事業所「博愛会地域総合支援センター」は、ただカフェを運営するだけでなくアビリンピックの喫茶サービス部門に出場するほど頑張っています。アビリンピックは「全国障害者技能競技大会」の正式名称を持つ催しで、働く障害者が培ってきた技能を披露し雇用促進へ繋げる大会です。その喫茶サービス部門に挑戦し続けること7年、昨年度の大会で遂に金賞の座を手にしました。金賞に輝いたのは軽度知的障害の女性スタッフ。当初は客の顔を見て話せなかったのですが、課題を丁寧にフィードバックしていく中で接客レベルも段々と上がっていったそうです。「彼女の周りだけでなく、県内の喫茶店全てにプラスとなればいい」と支援者は語ります。

アクリル板をキャンパスとした意思疎通(京都)
京都府宮津市の特別養護老人ホーム「マ・ルート エルダータウン」は、コロナ禍におけるアクリル板越しのコミュニケーションから着想を得た取り組みが為されています。入居者と面会者の間に立てられるアクリル板を、両面から絵を描く“キャンパス”として運用する…。ただそれだけで、年齢や立場を超越したコミュニケーションツールが爆誕しました。コロナ禍が落ち着いてからは、一緒にアクリル板でアート作品を作るという方向性も獲得し、思い出作りから人生の深掘りまで様々な用途に活かされ続けています。

利用者だけでなく職員にも寄り添う福祉の形(神奈川)
神奈川県横浜市の社会福祉法人「若竹大寿会」では、一緒に働く仲間へ寄り添うためのポジションである「キャリアアドバイザー」を新設し、職員の気持ちにも寄り添う新たな福祉を形作っています。きっかけは、仕事ぶりも評判も良かったはずの後輩が「もっと人を笑顔に出来る仕事をしたい」と悩んでいたこと。その悩みに寄り添い、仕事ぶりを振り返っていく中で「笑顔に出来てたんですね」と救われる後輩の姿が原風景となりました。「“寄り添う”ことは利用者だけでなく、職員にとっても例外ではない」と感じ、職員へ寄り添うための部署が作られます。これもまた、福祉の形です。

人手不足解消のため、日々の魅力を発信する(長崎)
長崎県長与町の「特別養護老人ホームかがやき」は、福祉業界を取り巻く人材不足の問題に独自の解釈で取り組んでいます。曰く、「給与を上げるのは応急処置であって、根本的な解決にはならない。自分の仕事が持つ魅力を自分の言葉で語れるようになるのが重要であり、福祉の魅力は日常の中に溢れている」。また、地域に根差した福祉を次世代へ繋ぐことも重要事として捉え、小学生~高校生向きの福祉学習プログラムも考案しています。校内の“バリア”を子どもたち自身で見つけ出し、グループディスカッションを通して解決策を考えていく取り組みは教師たちからも好評。子どもたちが福祉を“自分ごと”として考えられる下地作りにも力が入っています。

心の成長に目を向けた理想の保育を(愛媛)
愛媛県久万高原町の幼保連携型認定こども園「久万こども園」と学童保育「NICONICO館」。両施設で18歳まで育ち、大学卒業後は保育教諭兼児童厚生員として戻ってきた職員が受賞しました。かつての恩師や今の先輩らが持っていたものは何か。それは運営母体が約30年前から取り入れていた北欧式の教育思想だったといいます。「近年の保育は、数値化された分かりやすいものを重んじるあまり、先走っているのではないか」と問題提起し、目に見えない心の育ちを見据えた“ロマンのある保育”を実践。本物の自然と日常生活をベースにした、生命の躍動する理想の保育を探求しています。

介護のオーダーメイド化と介護技術の普及へ(千葉)
千葉県松戸市の訪問介護「リバーサイド・ヴィラホームヘルプサービス」では、地域をより良くするために住民らへ向けた介護技術の普及活動を推進しています。多くの人が在宅介護に関する悩みを抱える中で、技術を学び気付きを得た人々が「安心安全の在宅ケアが出来るようになった」と喜んでいます。受賞者もまた最初から能力があった訳でなく、初めての訪問介護で「体格で劣るあなたからの介護は不安だ」と言われたことを今でも忘れられません。それでも先輩から技術を学んでいくうちに、その利用者からも信頼されるようになりました。いま力を入れているのは「オーダーメイド介護」。基本を守りつつ、力加減や体の動かし方などを利用者それぞれに合わせていくやり方です。たとえ言葉を発さない利用者でも、表情はもちろん身体のこわばりなどからも今のケアが適切か分かるのだそうです。

今年も学生部門あり

昨年度から新設された学生部門。今年度の受賞は以下の4団体となります。

楊志館高等学校ボランティア部(大分)
大分市内の子ども食堂「銀の鈴」で調理補助などの手伝いをしています。年12回の活動で、学校の畑で採れた野菜を提供。2024年10月には大分市議10人との意見交換会に出席し、補助金の支給方法についても提言しました。

県立日高高等学校福祉科(兵庫)
地元の高齢者を学校に招き、通所介護として送迎や健康チェックやレクリエーションなどを実施しています。全国高校生介護技術コンテストにも出場し、特別賞(厚生労働大臣賞)に輝きました。

トリニティカレッジ広島医療福祉専門学校(広島)
同校の学生や地元高校生ら約150人で高齢者との交流を実践しています。将棋の相手がいないという人に訪問したり、ゴミ出しや庭の剪定を手伝ったりと、地域共生社会の実現を目指します。

関西福祉科学大学(大阪)
柏原市内では初の「認知症カフェ」を学生主体で立ち上げ、五感対話法などを用いた接客やレクリエーションを提供しています。月1回の開催で年間約300人が訪問。クラウドファンディングを通して送迎用の電動三輪自転車も導入し、移動支援の体制も整えています。

当日はゲストも登壇

当日はゲストとして、人気タレントのみやぞんさんと俳優の本島純政さんもお招きする予定です。みやぞんさんは、知的障害者施設での就業経験を持っており、本イベントでは「福祉の未来」に関するトークショーや即興の福祉応援ソングなどを提供してくださいます。

本島さんは、過去大会のファイナリストのスピーチをもとに製作されたショートムービー「おかえり」の出演者です。「おかえり」の予告編も同時に放映されますので、お楽しみに。

「社会福祉HERO’S 2024」開催情報
http://www.shafuku-heros.com/news/event-heros2024-6/

生配信URLhttps://youtube.com/live/9-ZNOa9oxCI

障害者ドットコムニュース編集部

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「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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