「風呂キャンセル界隈」は実在する?陰謀論でも被害妄想でもない実像とは

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Photo by John Cameron on Unsplash

「風呂キャンセル界隈」というスラングがあります。風呂をキャンセル、すなわち入浴やシャワーをついサボってしまう人々のことをこう呼ぶそうです。

このスラングを見た当初、他人の臭いに厳しい人々による陰謀論あるいは被害妄想の類かと思っていました。ところが実像は少し違うようで、そもそも「風呂キャンセル界隈」には自称する人も居ます。そう、風呂キャンセル界隈というのは実在します。

日本人は風呂好きと思われていますが、住宅機器メーカーLIXILの調査によるとおよそ7割の人が日々の入浴を面倒に感じている実態が示唆されています。面倒くさがる理由のほとんどは「疲れた」「眠い」などの倦怠感で、最も嫌われているのが洗髪絡みです。それでも大抵は這ってでも浴室へ向かうのですが、風呂が面倒な人の2割弱は身体を洗わぬままその日を終えます。

入浴で最も嫌われるのが洗髪、とりわけ髪を乾かす工程です。髪が長いほど乾かすのも時間がかかるため、風呂キャンセルを自称するのは女性に多いとも言われています。勿論、男性でもロン毛なら乾かす手間はかかるでしょう。毎日続けていると、入浴そのものへの不満も溜まってくるでしょうね。

また、メンタルの沈みや不調も風呂キャンセルの原因となりえます。うつ状態による身体機能の制限は想像以上に大きく、重いうつ病は起き上がる事すら困難で「鉛様(えんよう)の麻痺」との例えすら存在します。診断名がつくレベルでなくても、日々の疲れで脳を休ませたい状態だと、食事や睡眠に比べて優先度の低い入浴が犠牲になりがちです。

実際に、メンタルが不調だと風呂に入りたくても入れない、入浴の為の行動に移せないというケースがあります。こうなってくると、精神論でどうにかなる領域はとっくに超えていますよね。カードショップ等に論点をずらす者には理解の及ばないのでしょうけれども。

入浴が面倒だという不満は多くの人が陰で抱えていました。しかし「風呂キャンセル界隈」などと言われだしたのはごく最近のことです。やはりSNSの持つ拡散力などの特性が関係しているのでしょう。毎日の入浴が面倒だという不満や、入浴したくても行動に移せないという不調が、不特定多数の共感を得られるようになった時代背景があります。同じ悩みを抱える人間が多いと分かれば、「風呂キャンセル界隈」を自称する人間さえ現れるのも必然でしょう。

ただ、共感する人が集まるのと意見の違いで分断するのは両立し得ます。他人の体臭に殊更厳しい“無名の界隈”にとっては到底納得できないでしょう。体臭に厳しい原因もまた、嗅覚過敏や幻臭といったものが隠れている場合があります。彼らは既に「スメハラ」という言葉を得て活性化しています。

それでも「風呂キャンセル界隈」が実在するのは確かです。他人の体臭が許せないあまりに生まれた陰謀論や被害妄想の類ではなく、実際に入浴が後回しとなる人々は存在し、そして悩んでいます。

参考サイト

88,000円の泡シャワーは「風呂キャンセル界隈」の救世主となるか?
https://bunshun.jp

SNSでトレンド入り「風呂キャンセル界隈」とは?専門家が指摘する「メンタル不調」のサイン
https://www.at-s.com


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遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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