軽度知的障がい者の不器用な人間関係

知的障害

Raka Muhammad Iqbal Ismail on Unsplash

私は軽度の知的障がいがあります。知能レベルは小学3、4年生ほどです。 小学生まではあまり友達づきあいに深く悩むこともなく、楽しく過ごしていました。しかし、中学生になり私立の女子高に進学してから、私の対人関係は苦しいものになってしまったのです。

対人関係の挫折

中学は内部進学の生徒が多く、クラスで幅を利かせていました。私のような外部生は、少しでも目立つと内部生に目を付けられていました。

このころ私はすでに、自分の障がいに薄々気づいていたので、嫌なことをいわれても「こんな私だからいわれても仕方ない……」と我慢していました。

もともと障がいがあっても明るく、友達も多いタイプでしたが、どんどん自分に自信をなくしてしまい、暗い性格になってしまったのです。    

高校デビューも叶わず……

高校はいじめがエスカレートしたので、幼馴染の通っている学校に転校しました。友達も一緒なので「私の高校生活は充実したものになるだろう」と期待に胸を膨らませていました。

しかし、転校先でもなかなかクラスの輪にはいれず、休憩時間は寝たふりをして過ごしていました。

そのとき私は、幼馴染に対して、強い嫌悪感を持ってしまいました。「友達だから助けるのが当然」とどこかで甘えていたのだと思います。今考えれば、私の子どもっぽい特性が前面に出てしまっていて、反省しています。   

自分なりの努力

「このままではいけない」と、なんとか不器用ながらに友達を作る努力をしました。部活にも入り、部活で仲の良い友達ができました。そして、クラスで少し浮いている子なのですが、その子が積極的に声を掛けてくれたので、仲良くなったのです。

後に、その友達から「クラスで浮いてた私を助けてくれてありがとう」と感謝されました。似た者同士通じるものがあるのだろうと、そのとき感じました。声を掛けてくれた彼女には今でも感謝しています。

理想と現実

高校を卒業し大学生になってからは、いつも遊んでいた友達に彼氏ができ、頻繁に約束をドタキャンされるようになりました。これからも変わらず仲良くしていくものだと、当たり前のように思っていたので、寂しい気持ちになりました。

私は精神年齢が低いので、友人関係に夢を見がちで、ドラマや映画で観たような「友情」を無意識に求めていたのです。そして1度仲良くなった人に依存して、人との適度な距離感が掴めずにいました。

また、興味や関心の幅や世間も狭いので、人に共感できず友達の気持ちが分からなかったのだと思います。

わがままなりの苦悩

知的障がい者といえば、わがままで幼いイメージを持たれる方も多く、たしかにその通りだと私も思います。ですが、自分の気持ちを人に伝えるのが苦手なので、クラスメイトや会社で嫌味をいわれても、空気を読んで笑ってやり過ごしてしまい、周りからいじめのターゲットにされやすいのです。

内心ストレスを溜めている知的障がい者は、たくさん存在します。

ですがこんな私だからこそ、孤独な人や社会からはみ出た人の気持ちに寄り添えると思っています。自分の家族や友達にツラいことがあったら助けることは難しいですが、話を聞くことはできます。

知的障がいの人は「わがまま」ではなく少し「不器用」なところがあると、知ってもらえたらうれしいです。

ねこまんま

ねこまんま

知的障がい者ですが大卒で地下アイドルをしていました。現在も配信で音楽活動をしています。見た目では理解されにくい軽度知的障がい者や福祉の支援を受けることが困難な境界知能の人でも夢を持っていきいきと過ごせる社会になればと願っています。

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