発達障害のレシピ〜偏食のあなたもモグモグできる?
暮らし 発達障害発達障害の悩みの一つには、「偏食」があります。偏食になる理由は、味覚や触覚(歯、舌触り等)の「過敏性」によるものと考えられます。本人は食べられるものが限られ、親御さんは発達障害の我が子の食育に悩みます。私自身も昔は偏食がひどかったです。今はだいぶ食べられるものも増えましたが、それでも苦手なものはたくさんあります。今回は私なりに工夫した、発達障害の人にも食べやすい調理法とレシピを紹介します。
やわらかくしましょう
発達障害には、しっかり噛まないといけない固いものや、歯に刺激を与えやすいものが苦手な人が多いです。私も歯の力が弱く、敏感なほうなので、シチューに入った固めのにんじんや、噛み切らないといけない固い肉、生野菜の丸かじりが苦手です。そのため昔から今もそうですが、ハンバーグやプリンなど、やわらかくて食べやすいものが大好きです。最近は、食材を煮る、スープにして柔らかくすると、苦手な野菜も食べられることが分かりました。
レシピ①「にんじんのポタージュ」(2人分)
材料:にんじん(一本)、タマネギ(1/2)、水(400cc)、牛乳(200cc)、コンソメスープの素(固形タイプなら1個、粒タイプなら小さじ2杯)、塩コショウ、バター(小さじ1杯)、油(大さじ1杯から2杯) ※塩加減や油の量はお好みで。
使う物:鍋、ミキサー、電子レンジ、ラップ、レンジ対応の器
① 皮むきしたにんじんをスライス(薄切り)します。
② にんじんを器にいれる→ラップする→電子レンジで約6分温めます。
③ タマネギを薄切りします。
④ 鍋を中火で加熱→油、バター、㈫(タマネギ)を入れ、あめ色になるまで炒めます。
⑤ ④に②(温めたにんじん)、塩コショウを入れて、1〜2分ほど炒めます。
⑥ ⑤に水、コンソメスープの素を入れる→弱火にする→フタをして約10分温めます。
⑦ 火を消す→⑥(鍋)を15分ほどおいて冷ます→ミキサーを用意します。
⑧ ⑥(スープ)をミキサーにかけてきざみます。(ドロドロになるまで)
⑨ ⑧を鍋に戻す→牛乳を入れる→弱火から中火弱で加熱する
⑩ 沸騰する前に火を止めて完成です。
苦手な野菜をポタージュにすれば食べやすく、栄養も摂りやすいです。最近流行りの電子レンジを使えば、たった数分ほどで固いにんじんや大根も柔らかくできます。
小さくしましょう
私は口も小さいので一口では入りきりません。噛み切らないといけないものを食べると、上手く噛めなかったり、猫舌なのでやけどしたりします。口周りの触覚も敏感なため、おかずがつくとすぐにティッシュでふき取りたくなります。そのため、一口サイズからそれより小さい大きさに切っておきます。魚でしたらできる限り骨を取ってから焼きます。りんごも丸かじりや大きめに切ったものは大変なので、毎朝一口サイズに切って食べます。すると、多少固いものもだいぶ噛みやすくなり、延々と噛み続けるストレスも減ります。「小さめに切る」、だけでもかなり食べやすくなります。逆に小さい具材を箸で一つ一つ、つまんで食べるのが苦痛な方は、思い切ってスプーンを使いましょう。
混ぜましょう
野菜の風味がそのまま出てしまうサラダや、薄味の鍋料理、湯豆腐系が苦手です。(ホット)ミルクを飲むと、喉に残っているような感触がして苦手です。しかし、苦手な食べ物を好きな食べ物や調味料で一緒に調理すると、一気においしく感じることができます。ミルクはそのまま飲むのは苦手ですが、いちごやチョコレート、紅茶と混ぜると飲めます。
レシピ②:「キャベツがご飯より多いオムライス」(1人分)
材料:キャベツの葉(3枚〜5枚程、お好みの量で)、ご飯(茶碗1/2)、ウィンナー(3本、お好みで)、タマネギ(1/2あるいは丸ごと)、ケチャップ、卵(1〜2個、お好みで)、牛乳(大さじ1杯)※塩コショウ、バターと油の量はお好みで。
使うもの:フライパン大、フライパン小、ボウル1個
① キャベツを一口サイズに切ります。
② タマネギはみじん切りにきざみます。
③ ウィンナーを小さくスライスします。
④ フライパン(大)を中火で温める→油をしく→キャベツを約2分炒める→お皿に入れておきます。
⑤ フライパンに油とバターをしく(中火)→②(タマネギ)を入れて、あめ色になるまで約2分炒める→③(ウィンナー)を炒めます。
⑥ ⑤にご飯、ケチャップ、塩コショウ、④(炒めたキャベツ)を混ぜて炒めます。(ご飯と食材にケチャップの色が行きわたれば完成です)
⑦ 卵と牛乳、お好みで塩少々(親指と人差し指でつまむくらい)を泡立て器で混ぜます。
⑧ フライパン(小)を中火で温める→油をしく→⑦(卵液)をそそぐ→片面焼きする。
⑨ ⑧(焼いた玉子)を⑥(ケチャップライス)の上に乗せる→お好みでケチャップをかければ完成です。
キャベツをそのまま食べるのは苦手ですが、好物のウィンナーやトマトケチャップなどを混ぜると食べやすかったです。ご飯の量も少なめなため、普通のオムライスよりもヘルシーです。
まとめ
・発達障害の人に多い「偏食」は、味覚・口の触覚の「過敏性」が背景に多いです。
・今回のレシピは、参考になる思った方もいれば、手間がかかりそうと思った方など、色々な意見もあると思います。ですが、以下のポイントをおさえたうえで、焼くだけ、レンジで温めるだけで、簡単に調理できるようになると思います。
・「やわらかくする」、「小さく切る」、「好きな食材や調味料と混ぜる」をポイントに調理すると、苦手な食材も食べやすくなります。
・発達障害児や発達障碍者が、どの食材や食感、風味を苦手とするのか、逆に何を好むのかは色々です。
・一人ひとりに合った調理を考えると良いと思います。最近はインターネットでは、発達障害の偏食向けレシピのサイトもありますので、参考にしていただけたらいいと思います。
その人やその子にあった考え方や調理法は色々あると思います。ですが、私自身が大切なのではないかと思っていることは、一つあります。
栄養さえ摂れていれば、まず食べる人やお子さん自身が食事を「楽しめる」ことです。
食事は苦痛な習慣だ、と感じることは、せっかくの「食べる喜び」という人生の楽しみの一つを失ってしまいます。私自身も偏食はひどかったですが、母は食べられないものを食べるように強制することはありませんでした。そんな母の態度にも支えられながら、私自身が自分の好きなマンガやアニメキャラの好物に興味を持つ、という形で食べられるものを少しずつ広げていきました。今は苦手だったはずの魚(骨はいまだ嫌い)や納豆などの和食系を食べることができるようになりました。偏食とはいっても、その状態はずっと続くのではなく、成長・変化するものです。なので、長い目で見守るのも一つの方法だと思います。
皆様にとって少しでも参考になれば幸いです。ご拝読ありがとうございました。
参考文献
・「発達障害の偏食チェックリスト。タイプに合わせたレシピと改善方法」
http://haltutatusyougai.net
発達障害