自閉症スペクトラムの二次障害…向き合い方とアプローチ
発達障害Aaron Blanco Tejedor
自閉症スペクトラムには一次障害と二次障害が存在します。一次障害は自閉症スペクトラムとして一般的な症状とされるもので、二次障害は一次障害によって起きたトラブルによってできたトラウマ等が原因の症状のことです。このコラムは著者自らの経験談を挙げ、どう向き合っていくのかの考えをまとめた内容になります。
コラム著者のケースを簡単にご紹介
自閉症スペクトラムの一次障害の特徴として人とのコミュニケーションが難しいという点があります。コラム著者である私もその特徴を持っており、人の名前がすぐに覚えられず思い出すのにもいちいち時間がかかる、リアクションを返すまでに時間がかかりテンポが遅れて話に乗れない、準備してきた話題があるのに緊張で頭が真っ白になってしまい関係のない話をしてしまう、断ることがなかなかできずにいつのまにか引き受けてしまう、まったく知らなかったり分からなかったりする話をうまくイメージできず黙りこくってしまう、などなど…できない事を挙げていったらキリがありません。 そんなダメダメのコミュニケーションが招いた事態として、理不尽なことを沢山言われることが多々ありました。ですが私はうまく怒ることもできません。聞き違いや思いこみ、ニュアンスの取り違いなどがあるかもしれないと、自分が得ている情報にすぐ確信を持つことができないのです。なので、その場でうまく対処できないまま理不尽をずっと抱え込むことになってしまいます。二次障害にも段階があります
そんな理不尽を多く溜めこむと、怒りを感じて二次障害を引き起こしていくのです。自分の家で怒号や暴言を吐き叫んでしまう騒音行為や、破壊衝動のままに部屋の物に当たり散らしてしまうのはよくあること。睡眠もうまく取れず、寝ている最中にトラウマを思い出して「ごめんなさい!」と叫びながら飛び起きることも。さらに末期になると第二段階として、怒りの原因である理不尽を逆ギレしながら受け入れてしまい「どうせ自分は都合のいいコマ」「ただの面白いオモチャ程度にしか思われていない」といった想いを抱えながら自暴自棄モードになってしまいます。そんな状態がいつまでも続けられるはずもなく、最後には疲れ果てて思考できなってしまい、漠然と「自分はダメだな」「人間として劣っているな」という想いだけが残り、燃え尽きたかの様な心の奥底に絶望がずっしりと停滞し続けるのです。 調子を少しずつ取り戻しつつある今も、ふとしたことが原因で過去の理不尽な出来事を思い出してしまい、怒りと共に二次障害が再燃するというトラウマに悩まされています。自分を助ける方法ってなんだろう?
二次障害の兆候が出始めた頃にストレス解消法やリフレッシュを始めるのですが、どれも焼け石に水となるばかりでした。これは後は分かったことですが、自分の怒りが非常に強固になっているのが原因でした。実は二次障害が出てくるより前に、理不尽に対して自分が怒る理由をじっくりと時間を掛け探し「自分の怒りが正しいかどうか」の確認作業をしているのです。なまじ「自分が正しい」と信じているがゆえに、いつまでも怒りを忘れることができなかったのです。 非常に手ごわい二次障害の原因である怒りに対して、有効な対処法はあるのでしょうか?正直なところ、現在も二次障害に対して有効な対処法は見つけられてはいません。ですが手掛かりはあります。毎日の起床時間や就寝時間、その時の体調や心の調子、どんな風に過ごしたのかなどを、社会人のよくあるタイムスケジュール帳のような書き方を参考にして記録を付けたのです。その結果を第三者に分析してもらい、身体的にも精神的にも疲弊せずに安定していれば二次障害が再燃する頻度はかなり抑えられることが分かってきたのです。現在は身体的な安定を保つために、何時に起きて何時に就寝するという生活リズムは絶対に崩さないように意識しています。精神的な安定については模索中ですが、怒りを別のパワーに変換できるような趣味を探しており、現在は俳句を勉強しています。一次障害のアプローチは二次障害に対しても…?
先に挙げた対処法はベターの対処法ではありますが、ベストの対処法ではないと考えています。もちろん有るに越したことはないのですが、この対処法は怒りを感じている前提の対処法なのです。ベストの対処法は、怒りをその場でいなして抱え込まないようにすることだと私は考えています。つまり、一次障害であるコミュニケーションがうまく取れない部分を改善したいのです。 そこで私が目標としているのがアサーティブ・コミュニケーションです。アサーティブ・コミュニケーションとは、自分と相手がお互いに満足できるコミュニケーションを指す言葉のことで、アサーションとも呼ばれます。その第一歩として自分と相手がお互いに対等であることを最初のステップと捉えて、まずは自分に自信を付けるために何ができるのかを模索中です。自閉症スペクトラム障害(ASD)