パラリンピック・柔道編~パラ柔道のルールは?
スポーツ2020年東京パラリンピックで行われる、パラリンピック柔道。視覚障害者用に整備されたルール、クラス分けや、見どころなどを紹介します。
オリンピックの柔道と違う点は?
オリンピックで行われる柔道と大きく違うルールは、試合開始の時点で両選手が互いに相手の襟と袖をつかみ、組み合った状態から「はじめ」の合図で開始します。その他のルールはオリンピックの柔道のルールとほぼ変わりません。
クラス分けで男子60㎏~100㎏超までの7階級、女子は48㎏~70㎏超級までの6階級の計13階級があります。選手の視覚障害の程度は全盲(B1)~弱視(B3)まで3クラスに区分されますが、試合の組み合わせは障害の程度でなく、体重別で競います。
試合規定上のルール公式サイトより以下抜粋
- ・お互いに組んでから試合を始めます。
- ・試合中に両手が離れた時は、試合を中断する。その後は試合開始の時と同じ手順で始めます。
- ・場外規定は、基本的には適用しません。ただし、故意に利用した時は指導の対象となる事があります。
- ・試合者が場外に近づいた時は主審が「場外、場外」とコールします。
- ・技が決まるときや「指導」などの時は、主審がジェスチャーと共に「指導、白」などと分かりやすくコールします。
- ・視覚、聴覚障害者の選手には、手のひらに文字を書きそれを本人の胸の方向に向けます。(例:指導はS)
研ぎ澄まされた感覚で1本を掴む
試合開始前にお互い組み合った状態で試合が始まります。右手は釣り手といい、主に襟を掴みます。左手は引き手といい、相手の袖を持ちます。このように組み合った状態で試合が始まりますので、選手たちは主に投げ技で1本を取りにいきます。
視覚障害者が対象なので、感覚と想像力で視えない相手をイメージしながら試合を行います。試合時間は4分間で、両手が離れた場合は、最初の位置に戻って、組み直してから再開します。試合を行う選手たちは、視覚から情報を得ることができないため、声や音で情報を伝えます。選手たちが場外に近づいた場合は、審判が「場外!」「場外!」と声を掛けて伝え、中央に戻り試合再開します。
試合中はコーチのみ選手に声を掛けることが許されています。コーチの声と相手選手の手に掴んだ感覚とイメージで試合を進めます。試合時間が残り1分になると信号音を出して、選手たちに残り時間を伝えます。
視覚障害者の柔道は、1931年に日本の盲学校で取り入れられ他のが始まりで、その後、近畿から全国に広まりました。パラリンピックには1988年のソウルパラリンピックから正式に採用され、日本選手6名、役員2名を派遣し、金メダル4個、銀メダル2個を獲得しました。これ以降、世界中で国際大会が盛んに開催され、現在パラリンピックにおいてメイン競技になっています。
パラリンピック柔道の見どころ
パラリンピック柔道は、常に組み合った状態で試合展開が進むので、普通の柔道に比べて、技の応酬になりやすいです。そのため、ポイントが有利だからといって、通常の柔道のように組手争いで時間稼ぎをすることが不可能です。積極的な投げ技の掛け合いにより、オリンピックの柔道よりも激しい試合展開なる点が、パラリンピック柔道の見どころです。その迫力ある試合展開はNHKの「アニ×パラ」などで一足先に見ることができます。
参考文献
【日本視覚障害者柔道連盟】
https://judob.or.jp/
【スポーツルーペ】
https://sportsloupe.com/
【アニ×パラ 視覚障害者柔道】
https://www.nhk.or.jp/anime/anipara
身体障害