障害と生きる~自分説明書を作成しよう
発達障害出典:Photo by Paico Oficial on Unsplash
社会人になって5年になりますが、先輩や上司から怒られてばかりでした。そのことに違和感を覚えたのは去年の秋。私は「広汎性発達障害」の診断を受けたのです。
今年の1月に仕事をやめました。ゆっくり私自身の障害と向き合い、安定して就労できるようにするため、就労移行支援に入所しました。そこで、ある自己分析の方法に出会ったのです。
初めは、障害に気がつかなかった
私は、大学を卒業後とあるスーパーのA社に精肉部として入社しました。A社から内定をいただいたときはとても嬉しく、入社して店舗に配属されるまでずっとワクワクしていました。
しかし、配属されてから私の心は徐々に曇り始めていきました。業務内容が複雑に感じ混乱します。しかもミスが多くて怒鳴られることも多く、ときには涙を流すこともありました。これらは障害の特性はであったと思います。
例えば豚肉を包丁でカットするとき、上司からは「適度な厚さで切るように」と指示され見本も見せてもらいましたが、その見本や適度さを理解することが難しく、何度切っても薄すぎたり分厚すぎたりしてしまいました。
また業務において優先順位がつけられず「なぜ、今からその業務をやろうと思ったの?」と怒られていたことも多かったです。同じ店舗に配属された同期の社員がいて、あっという間に差がついてしまいました。上司や先輩はすでに「この子、何かおかしいな」と気がついていたかもしれませんが、私自身はまだ違和感や障害に気がついていなかったのです。
結果、1年半ほどでA社を退職してしまいました。
違和感に気が付き病院を受診
2社目として入社したB社では、量販店で携帯電話を販売する仕事でした。携帯電話売り場を見ているお客さんに声をかけて、その人の使い方にあった携帯電話を提案して申し込みまでをするといった業務でした。
私はお客様に提案中、何を話したらいいかわからず混乱することが多くて、かわりに先輩方に対応してもらっていました。そのため私はずっとキャッチという、お客様に声をかけて提案を聞いてもらえる状態にしてあとは、先輩方にかわってもらっていました。
しかし、先輩方から「もう1年以上たっているのに、いつまで自分できないの?」と指摘され始めます。1年以上たっても、1人でしようとするとやはり混乱してしまいます。
このことが原因ではありませんが、とある事情で業界は同じですが3社目のC社に転職しました。
しかし、ひとりで業務ができないのは改善せず「いよいよ自分は何か異常があるのではないか?」と考えるようになりました。そこで、メンタルクリニックを受診して、初めて「広汎性発達障害」の診断を受けました。
とある方法で自身を振り返る
3社目を今年の1月に退職し、1度自身について振り返り安定した仕事に就けるように「就労移行支援」を利用することになりました。商品のピッキング訓練や、苦手な作業の1つである衣服の折り畳み訓練、グループワークを通じてコミュニケーション力を向上させる訓練など、様々な訓練をおこなってきました。
多彩な訓練をおこない、自身の特性を理解することもできるようになってきました。すると「過去の職場でできなかったことが、なぜできなかったのか」「なぜ今までたくさん怒られてきたのだろうか」といったこともわかるようになってきました。
そこで、もっと詳しく私自身を振り返りたいと思い「自分の説明書」を作ろうと思いました。「自分の説明書」とは、私の仕事での特性や、就労移行支援の訓練での特性をワードにまとめて視覚化したものです。
「自分説明書」は私の特性が自己対処出来るのか、配慮が必要なのかといったことも整理ができて、ナビゲーションブック(自分にどんな障害が合ってどんな配慮が必要なのかを記載し、面接や書類選考の際に企業に提出する書類)の作成にも役立ちました。
また、特性だけではなく、過去の仕事で「どんなことが楽しくて、どんなことが辛かったか」をまとめられたので「これからどうしたら楽しく生きられるのか」を考えるヒントにもなりました。
みなさんに伝えたいこと
新卒で会社に入社したときから、私は様々なミスをしてしまったり、混乱したりといったことがありました。しかし今、思い返してみると障害の特性だけではなく、自分をもっと知って対策や相談をしていたら、もう少し楽に過ごせたかもしれません。
障害と向き合うことは本当に大切です。自身を知っていないと本当に仕事をするうえでしんどくなってしまいます。私も就労移行支援の利用や「自分説明書」の作成で客観視できるようになりました。みなさんもぜひ、自身の生活や仕事を振り返り「自分説明書」を作ってみて下さい。
広汎性発達障害