私が自閉症スペクトラム障害と診断されるまで
発達障害私は子どもの頃から、周りに合わせることが苦手でした。具体例を一つ上げると、集会などの整列やラジオ体操など皆と同じ動きが求められる場面でどうしても違う動きをしてしまう事がありました(指摘されてその場で直すことは出来ても、次の日になると忘れてしまう)。私の特性が最も強く出ていたのは、中学時代でした。自分の中で、印象に残っている事をお話しします。
私は中学校に進学してから、先輩や先生と話すことが多くなりました。障害特性として、同年代より年上または年下の人との方が話しやすい事が挙げられますが、私はまさにそれに当てはまっていました。全く同級生と関わらずにいたというわけではなく、自分なりに関ってはいたのですが、それを上手く伝える事が出来ずに誤解されることが多かった記憶があります。今振り返ると相手の状況や立場を考えず自分の話したいことを一方的に話したりして、関わり方が一方的だったのかもしれません。その他にも提出物の期限が守れない、運動が苦手など特性のオンパレード状態だったため、担任の先生からは要注意生徒としてマークされていました。ことあるごとに生活態度や勉強面を叱責された私は、一時的ではありましたが担任の先生の授業だけ出席しないと言う形で反発してしまいました。その後学年が上がり担任が変わると特性は軽減し、落ち着いて過ごせる様になっていきました(先生の提案で交換日記をつけ、自分の考えや思いを表現できる場を与えて頂いたことは大きかったです)。
高校生になってからは、中学時代の反省ややり直しの意味も含めて勉強をしっかりやる、きちんと出席するなど基本的なことを意識した結果、3年間大きなトラブルを起こさずに過ごす事が出来ました。高校卒業後は動物関係の専門学校に進学し、小動物の世話などを授業で行い、保護施設やファミリー向け牧場などの実習を経て就職活動を行いました。しかし内定は得られず、また自分自身も動物に携わる仕事で食べていくことに決心がつかず、卒業後はアルバイトを転々としていました。アルバイト先では業務を所定時間内に終わらせることが出来ない(この業務はここまでで完了、といった区切り等の判断をつけることが難しい)。1つ気になる事があるとそちらに集中してしまい、他の事がおろそかになる・自分にとって想定外の事が起きるとパニックになり大声を上げたりするといった問題が生じたことで、上司から発達障害の可能性を指摘され、役所のケースワーカーから現在のクリニックを紹介され、自閉症スペクトラム障害と診断されたのでした。
自分が自閉症スペクトラム障害と診断されたことで、過去の問題に少しづつ向き合い、状況の整理が出来ました。過去の問題やトラブルが障害に起因するものであったことが分かり、モヤモヤした気持ちが少し晴れました(もちろん全てが障害に起因するものでなく、私自身に問題がある場面もあったとは思います)。発達障害が注目され始めた頃に友人や知り合いから「あなたアスペルガ―じゃないの?」と言われることが嫌でしたが、今は「そうですよ」と思えます。障害と診断されることでのメリット・デメリットは有ると思いますが、少しでも安心感を得られるきっかけになるのであれば、診断をうけてみるのも1つの方法だと思います。
自閉症スペクトラム障害(ASD)