「悪い成功体験」と「本気のワル」

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Photo by Javier zhang on Unsplash

「悪い成功体験」と聞くと何を思い浮かべますか。作家でタレントの岩井志麻子さんは、かつて「ズルや悪事がうまくいって、調子に乗っていつか痛い目を見る」と述べていました。ズルや悪事がうまくいったことを誤学習したせいで後々の破滅につながるというのが、岩井さんのいう「悪い成功体験」です。

ことし3月11日、路上で動画配信中だった女性が刺殺される事件が発生しました。犯人は被害女性に200万円以上貸しており、それが踏み倒されたと供述しています。2日後、TOKYO MXの番組内においてこの事件を取り上げられたときに岩井さんが2つの私見を述べました。ひとつは「前置き」についてで、「テレビのコメンテーターからネットのコメント欄まで、必ずと言っていいほど『殺しは駄目だけど』『犯人が一番悪いけど』と前置きがある。みな心の中では被害者の落ち度について考えている」とのことでした。

そしてもうひとつが、「悪い成功体験」です。
「被害者の方、悪い成功体験があったと思うのだ。何人か許してくれたおじと、泣き寝入りしたおじがいたんだと思うよ。悪い成功体験って必ず大きな破滅に向かうよ。私も身に染みてるもん。自分自身の経験から言ってるのよ。私もちっこい悪事というか、ズルがうまくいっちゃって、その次に調子に乗って痛い目にあうっていうことがあった。彼女は(加害者を)なめてかかったんだろうな」

恨みを買って殺されたり足がついて逮捕されたりまではいかなくても、たまたま上手くいった悪事やズルを誤学習して後で調子に乗り痛い目に遭う経験自体はほとんどの人が持っていると思います。人によっては良心の呵責に耐え切れず自白したり、次はないと自戒してその時限りにしたりするでしょう。

反対に、悪い成功体験から破滅することなく悪事を続けられるよう裏工作を続ける者もいます。語弊を恐れず言えば、本気でワルをやっている連中です。小中時代にワル入ってた者よりも、大学デビューした者のほうが悪事バレしやすいと個人的には考えているのですが、あれも昔からワルをやっていて加減や引き際の勘が鋭いからなんですね。大学デビューではそのあたりの勘が養われておらず足がつくのではないかという予想です。

性加害の訴訟を受けたグローのトップや聖路加病院のチャプレンなんかは、まさに「悪い成功体験」を得ながら破滅リスクを減らそうとした本気のワルです。チャプレンのほうはただ病院から可愛がられていた側面もあるのですが、痛い目に合わないようブラッシュアップしながら悪事を繰り返す本気のワルというのは非常にしぶとく厄介な手合いですよ。

参考サイト

岩井志麻子「悪い成功体験って必ず大きな破滅に向かう」動画配信中の女性刺殺事件巡り
https://www.sanspo.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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