発達障害者に関する俗説とは~顔立ち・精神年齢
発達障害発達障害と言っても様々で、大きく分けてADHD(注意欠陥多動性障害)・ASD(自閉スペクトラム症)・LD(学習障害)があり、2つ以上同時に持つこともあります。認知度が高まった代償として言葉の一人歩きや疑似科学の横行などが問題となっている昨今、ある俗説が目に留まりました。
所詮は俗説で、範囲の広い発達障害を一括して取り扱っている時点で胡散臭いと言ってもいいでしょうが、個人的に興味深かったので取り上げてみようと思います。「童顔説」と「精神年齢3分の2説」です。
発達障害には童顔が多い…という根拠はない!
まず「発達障害には童顔が多い」という俗説です。結論から申し上げますと、この説は出鱈目で信じるに値しません。学術的に正当な根拠がないばかりか、ネット上を探しても真剣に考察している所が無いのです。そもそも見えない障害だと言われているのに顔つきで分かるなどと豪語すれば、「無謀な挑戦者」として白眼視されるようなものですが。一応支持者が根拠としていることを挙げておきます。「年齢の割に生活力が低かったり趣味が子どもっぽかったりする。そうした幼さが顔に出るので童顔になる。」「年相応の苦労をしていないためシワや肌荒れが少なく、顔つきが幼いままである。」
童顔説に関しては全くの事実無根で気のせいです。今のところ無関係なので信じないほうが賢明と言えるでしょう。支持者の根拠にしてもYahoo!知恵袋の回答で拾ってきた物なので、信憑性ゼロですし。
精神年齢3分の2説は精神科医のおまじない?
発達障害者の精神年齢は、定型発達に比べて3分の2(7割という説もあり)しかないという俗説があります。こちらも科学的根拠はないのですが、精神科や心療内科の医者がおまじない程度の意味で「実年齢の3分の2と思って接しなさい。」とアドバイスすることがあるようです。本当におまじない程度でしかないのですが、子どもが発達障害と分かった保護者も「実年齢の3分の2」という心構えでだいぶ気楽に子育てが出来ています。3分の2という数字は発達障害の当事者自身にも心のゆとりを生んでくれます。「同い年に比べると自分はしっかりしていないな…」と思っても、「3分の2だから仕方ないね!」で済ませられる可能性があるのです。三十路になっても心はハタチだから仕方ないと開き直る余地が残されるわけですね。ただの自己弁護に過ぎませんが、潰れてしまわない為のライフハックにはなると思います。
精神が加齢しないスパイラル構造
ただ、精神の加齢が遅れていることに関して「あーよかった」ばかりではいられません。精神の加齢が遅れると周囲と合わなくなり、「隔離したい」と思わせる要因となります。これは全世代共通と言っていいでしょう。隔離欲の赴くままコミュニティから拒絶されると社会性の習得が困難になります。元々コミュニケーションスキルを習得していくのに難がある発達障害者にとっては追い打ちとなるでしょう。経験値が致命的に不足した状態なので精神の加齢に明らかな遅れが出てきます。それがまたコミュニティ加入の障壁となり、精神の加齢がまた遅れていくスパイラル構造が予想されます。
要するに、コミュニケーションスキルの欠如を嗤う人だけが多くて、補填しようとする人が皆無に近い状況があるのです。発達障害者のなかでもこうした状況に晒されているほうが多数派ではないでしょうか。
まとめ
発達障害と「童顔」「精神年齢」の関連については、どちらも学術的に認められた根拠がないので、気にしなくてもいいでしょう。顔立ちに至っては「見えない障害」という前提を無視しているので、落ち着いて考えれば疑似科学だと分かります。精神の加齢が遅れることに関しては、発達障害児の保護者に向けて医者が「実年齢の3分の2と思いなさい」とアドバイスすることがあります。これによって保護者は比較的気楽に子どもと接することが出来ます。これも科学的な根拠はないのですが、心構えとしてはアリなのではないでしょうか。精神の加齢が実年齢に追いつかないのは、外的要因もありそうですが。
参考文献発達障害の精神年齢が低いのって本当に人生経験が足りないせい? - マイノリティ雑貨店
http://zakka10wasabi.hatenablog.com
精神年齢=実年齢の3分の2説。 - 高機能発達障害の私の時間軸は非連続につらなっている。(飴乃ちはれ)
https://kakuyomu.jp
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