ごはんが食べられない~それってうつ病かも?
うつ病 暮らし出典:Photo by Louis Hansel @shotsoflouis on unsplash
みなさん"うつ病"と聞くと、どういった症状をイメージされますか?かつて、私は主に気分の波が激しかったり、自殺願望を強く持つようになるのがうつ病の特徴だと思っていました。ですが、実際に自分がうつ病になったことで、その考えは大きく覆ることになります。私の主な症状は、「吐き気が激しく、食事ができなくなる」ことだったのです。
すぐお腹がいっぱいになる
発症当時は、とある会社で個人情報を主に取り扱うデータ入力の仕事に従事していました。会社合併により仕事量が莫大に増えたことと、社風が大きく変わったことにより、社内はいつもピリピリするようになってしまいました。仕事のミスも徹底して許さない雰囲気になったことで、毎日ミスに怯え、夜眠っても仕事のミスに対する不安で頭がいっぱいになり、眠れない日々が増えていきました。
「会社へ行きたくない……でもみんな頑張ってるから」といった気持ちが日々膨れ上がる中、ある日食事中に違和感を覚えました。気持ち悪くなるのと同時にお腹がすぐにいっぱいになってしまったのです。市販の胃薬を服用して過ごすものの、日を追うごとに服用しても治らなくなり、これはおかしいと思い、胃腸内科へ受診しました。胃カメラで検査したところ、胆汁が胃へ逆流してきており、相当なストレスを受けている状態だと言われました。
その当時の診断は"神経性胃炎"でした。処方された胃腸薬を服用するものの一向に良くならず、食事がままならないので体重が激減しました。1日中気持ちが悪いので仕事に支障をきたすようになり、会社を休職することになりました。
そして、ここから私の闘病生活が約8年始まるのです。
再発からのドクターショッピングへ
一向に良くならないことに疑問に思った私は、近くの市民病院へ受診することにしました。その時に再度胃カメラで検査をしたのですが、異常は見当たらないという結果となりました。それまで服用していた薬とは別の胃腸薬を処方してもらい、症状が劇的に回復したため、その時の私は治ったものだと信じて疑いませんでした。
新しく気持ちを切り替えたかったこともあり、転職をして生活を一新しました。今度の職場はストレスもなく、充実した日々を送っていたのですが、その半年後にまた"すぐお腹がいっぱいになって、ごはんが食べられなくなる"症状がではじめたのです。それと同時に今度は吐き気が酷く出るようになったため、電車やバスといった公共機関が利用できなくなってしまいました。家族の援助で車通勤していたものの、さらに症状が悪化し、会社側と相談をした結果、やむなく退職することになりました。
この間にも、漢方薬局や心療内科、胃腸科と病院をいくつか転々としましたが、処方していただいた薬はどれも胃腸薬ばかりで、症状が治まることはありませんでした。
抗うつ薬との出会い
退職してから2年が経過しても、激しい吐き気により食事ができませんでした。胃のあたりに風船を抱えているかのような膨満感があり、胃がからっぽでも気持ちが悪く、水を飲んでも胃もたれが激しいので何も口にしたくありません。体重減少のせいで体型もかなり細くなってしまい、貧相に見える自分の外見がとても嫌でした。
家族からは「食べないから余計にダメなんだ」「気のせいなんじゃないか」と言われる日々で追い詰められ、さらには「死んだら楽になれるのかな……」と希死念慮さえ抱くようになってします。これは危険な思考のサインだと思い、最後の頼みの綱で地元の別の心療内科へ受診することにしました。そこでの診断結果は"重度のうつ病"。この時、これでやっと治療を始められるのだと、ほっとしたのを今でも覚えています。なぜかというと、心のどこかでは"自分はうつ病ではないのか?"といった疑問を持っていたためです。
1件目の心療内科では"うつ病"とは診断されなかったものの、胃腸薬が効かない時点で、もっと早くに別の心療内科へ受診を考えるべきでした。ですが、当時の私は心療内科へ受診すること自体の決断がなかなかできなかったのです。
心療内科は怖いところ?
うつ病が発症する前の私は、病気とはまるで無縁の生活を送っていました。そのため、発症当時も「ちょっと疲れがたまっただけ」「私はこんなに打たれ弱いはずがない」と意固地になり、仕事をしていた部分もあります。毎日仕事に怯え、眠っても早朝覚醒、復職の話が出たときには涙が止まらないなど、今思えばうつ病の兆しは見えていたはずなのに、自分が弱っていることを認めたくなかったのです。
また、心療内科へ受診するのが遅れた原因は、精神薬は使ったら最後、やめられないという間違った情報を耳にしていたせいもあります。これは恐らく、日ごろから見聞きしていたマスメディアの影響でしょう。「心療内科は通ったら最後。薬漬けにされる」という先入観から、絶対に行きたくないとさえ思っていました。
では、実際に通ってみてどうだったのでしょうか。結論からいいますと、精神薬はきちんと用法・用量さえ守っていえば怖いものではありません。むしろ、つらい毎日をサポートしてくれる心強い味方になってくれます。そこから生活習慣の見直しであったり、ストレス解消法を見つけたりと、症状との付き合い方を学んでいけます。
私は抗うつ薬を飲み始めて1年ほどになりますが、ようやく体重が人並みにもどり、ごはんもそこそこ食べられるようになりました。吐き気に対してはとても敏感になってしまったので、そこはうまく付き合いながら日常生活を送っています。
最後に
私の場合はうつ病により、胃に大きく症状がでました。特に胃腸はストレスに対して非常に敏感な臓器ですので、なにかしら不調を感じるようでしたら、まずは胃腸科へ受診しましょう
。処方された胃腸薬に効果を感じない、またはすぐにぶり返してしまうようでしたら、心療内科への受診も検討してみてください。自分では気がついていないだけで、精神的にストレスがかかっている場合もあります。早めに対処することで、回復もそれだけ早くなりますよ。
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