療育ゼロで大人になると~知られざる困難とその先

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こんにちは。国際保育士の陣内マリアです。

私はNLD(非言語性学習障害)を持つ発達障害の当事者でもあります。

今回は、自身の経験をもとに「発達障害の子どもが療育を受けずに育つとどうなるのか」について書いていきたいと思います。

1療育を受けないとどうなるのか

「うちの子は発達障害の傾向はあるけれど、療育を受けるほどではない」——そう考える保護者の方は多いのではないでしょうか。私の親もそうでした。

特に私は他害や多動がない、おとなしいタイプだったため、学校でも「なんとかやっていける」と判断され、一切の療育を受けずに過ごしました。

その結果、私には5つのデメリットが生じました。

1-1教師からの虐待
療育を受けずに過ごすうえで、最も大きなリスクがこれです。

私の親は、私に発達障害の診断が下りていたにもかかわらず、その事実を学校に伝えませんでした。その結果、教師は私が勉強や運動ができないのは障害ではなく怠けているせいだと誤解し、身体的にも精神的にも私を虐待しました。

もし母が「この子は発達障害があり、学習支援が必要です。叩いたり、怒鳴ったりしてもこの子の成績は上がりません」ときちんと伝えてくれていたら、こうした事態は防げたのではないかと思います。

1-2同級生からの虐め
発達障害があると、勉強・運動・対人関係などでつまずきやすくなります。

その結果、他の子どもから見下され身体的・精神的に傷つけられたりすることが少なくありません。

実際、発達障害のある子どもは虐めの対象になりやすいため、あらかじめ対策が必要です。

例えば——
    • 保護者が学校に対し、「障害があり、発達支援が必要であること」をしっかり伝える
    • 教師がクラスの子どもたちに説明し、「いじめてはいけない」という意識を持たせる
    • 保護者・教師が定期的に、学校でいじめられていないかを確認する
    • いざという時に相談できる大人を見つけておく

こうした対策をとるだけでも、子どもがいじめられる可能性は大きく減らせるはずです。

1-3二次障害
上記のような虐待を受けた結果、私は二次障害として精神疾患を発症し、小学生で強迫性障害とチック症になりました。

その後も、自傷行為・フラッシュバック・愛着障害など、さまざまな精神症状に苦しみました。

最終的には社交不安障害を発症し、現在では一人で買い物に行くことさえ難しい状態です。

このように療育を受けないと、虐待やいじめに遭うリスクが高まり、その結果、二次障害を発症して社会生活がさらに困難になってしまいます。

1-4社会的スキルが習得できない
多くの場合、発達障害のある子どもが、対人関係や礼儀、常識といった社会的スキルを独力で身につけることは困難です。

年齢に見合った社会的スキルが身についていないと、虐めに遭う、受験や就職の面接で落とされる、学校になじめず不登校になるなど、さまざまな困難が生じます。

早い段階で療育を受け、専門の先生から社会的スキルを学ぶことで、こうしたリスクを大きく減らすことができます。

1-5学習の遅れ
発達障害のある子どもの中には、学校のような集団授業が合わない場合もあります。

私も書くことや計算といった分野に困難があり、通常の集団授業では成績が伸びず、いつも最下位でした。

その後、自分に合った学習方法を独学で見つけ、最終的には海外で幼児教育の国家資格を取得できるまで学力を伸ばすことができました。

しかし、もし早い段階で療育を受け、自分の特性に合った学び方ができていれば、成績はもっと早く伸びていたはずです。

今では、四谷学院のように発達障害の学習支援に特化した塾もあります。

お子さんの成績が思うように上がらない、通常の学習方法では成果が出にくいと感じたら、そのような専門的な塾を利用することも大切だと思います。

2療育を受けないメリット

一方で療育を受けなかったメリットも1つありました。

2-1色々なことに挑戦できた
私は「自分は障害者ではなく、他の子と同じようにいろいろなことができる」と考えていたため、多くのことに挑戦してきました。

その結果、給付型奨学金を獲得して交換留学を経験したり、大手企業に入社したりと、障害の枠にとらわれずに大きな成果を残すことができました。

3それでも療育を受けるべき理由

大手企業に入社することはできましたが、障害の特性のため仕事がうまくできず、結局退社することになりました。

その後は二次障害に苦しみ、社会生活を送ることも難しくなっています。

表面的には成功しても、発達障害そのものを適切にケアしなければ、結果的にこのような状況になってしまいます。

だからこそ、できるだけ早い段階で療育を受けることが大切なのです。

発達障害を持つ子どもに安心できる環境と、その子の特性に合った学習の場を提供することが、結果的にその子の将来にとって大切だと私は考えています。


陣内マリア

陣内マリア

LD(非言語性学習障害)のある20代。とくに知覚推理の分野に大きなハンデがある。大学を卒業後、新卒で大手企業に入社したり、海外で幼児教育の資格を取って幼稚園で働いたりと、いろいろなことに挑戦してきた。けれど、発達障害にともなう困難から長く続けられず、どれも退職。今はライターとして細々と暮らしている。いつか自分にもできる仕事を見つけて、正社員として働くのが夢。

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