実録・ワーキングメモリ不足~筆者の困り事と対策
暮らし作業記憶、作動記憶とも呼ばれることのあるワーキングメモリという言葉を、ライフハック記事などで目にする事も多くなったように思います。今回はこのワーキングメモリが“不足している”という診断を受けた筆者の体験と対策を語ります。
そもそもワーキングメモリとは何か?
ざっくりと言ってしまえば、人間が何かの行動の為に物事を“短期的に”記憶しておく機能です。作業記憶・作動記憶という別名が表しているように、単に物事を記憶しておくだけでなく、その記憶を使って行動することも機能に含まれています。 ワーキングメモリの機能についてもう少し詳しく言えば、情報を短期的に記憶し、整理して、不要な情報を削除する、という一連の流れを行う機能と言えます。記憶しておける量は個人差もありますが、単語であれば約5個、単なる文字では約6文字程度記憶しておけるそうです。実録・ワーキングメモリ不足
では、もしこのワーキングメモリが不足していた場合、どんな困り事が起きるでしょうか。筆者の実体験を挙げていきたいと思います。・困り事① 物を置いたまま忘れてしまう 飲み物を取りに行くために自分の部屋からコップを持って居間へ行ったのに、そのコップを居間に置いたまま自分の部屋に戻ったりします。単に行って戻って来るだけなら忘れることはほぼないのですが、居間で長話をしたり、自分の部屋から電話が鳴って慌てて戻ったりすると大体置きっぱなしになります。別の情報が入ってくることで、飲み物を取に行くという“記憶”がこぼれ落ちている状態ですね。
・困り事② 電話での会話でメモを取るのが苦手 電話がかかってくる場合、電話口の相手は所属から名前の順で間を置かず名乗ることが多いかと思います。筆者が電話を取った場合、名前を聞いた時点で相手の所属がうろ覚えになってしまいます。これも記憶に関する困り事で、“名前”という新しい(そして重要な!)情報が入ってきたため、“所属”という古い情報がトコロテンのように押し出されてしまった状態です。当然、その状態では相手の名前しかメモに取れません。要件についても聞いた端から忘れてしまうのでキーワードをメモすることがやっとです。直接対面しての会話であればメモを取る間は待って頂けるため困ることはほぼ無いのですが、電話口となると相手の様子が見えない為そういった間が殆ど無い、というのもメモ取りをさらに難しくしている要因ですね。
・困り事③ 聞いた話をすぐに忘れる 例えば買い物を頼まれたとき、買ってくる物を耳で聞いただけだとほぼ確実に買い忘れが発生します。買ってくる物が1個や2個ならまだ覚えておけるのですが、何種類もあるとどうしても何点か抜け落ちてしまいます。また、数量は特に忘れがちなため、メモが必須となります。これもまた記憶に関する困り事で、一度に覚えておけることが少ない状態ですね。
筆者の対策 ~不足しているメモリは道具と工夫で補う!
さて、ここまで筆者の実体験を述べてきましたが、困り事のすべてが“記憶”に関することでした。経験上、“整理”や“削除”で困っていることは思いつかないというのが筆者の体感です。(勿論、気付いていないだけで実は、ということも有り得ますが。)ちなみに、“整理”や“削除”の機能が低下していると見当違いな事を言ってしまうことや、行動の切り替えが苦手となることがあるようです。“記憶”での困り事、特に自分の予定や聞いた話などを忘れてしまうことが多い場合、どういう対策が効果的なのでしょうか。実体験の中でも少し挙げましたが、メモは非常に効果的です。何せ必要な事を書いておけば、頭の中でいちいち覚えておく必要がなくなります。他のことを間に挟んだとしてもメモを見返せば必要なことを思い出せる為、別のことに集中できるのも良い点です。ただし、メモを見なければ全くの無意味となってしまうのでメモを見る習慣は身に付ける必要はありますが・・・。
他にも、忘れ物の多い人向けの対策としてスケジュール表に予定を書いておく、付箋にやることを書いておき済んだら剥がす、スマホのアラームを使う、といったものを見かけることもあります。これらの対策に共通しているのは“自分の頭だけで覚えておかず、必ず他の道具に記録しておく”という点です。この点さえ守っておけば、後は自分がやりやすいと思う対策を取るのが一番かと思います。ただし、繰り返しになりますが記録したものを見返す習慣をつけることや見返すための工夫は忘れないようにしましょう。折角記録したのにそれを見返さなければ何のために記録したか分からなくなってしまいます。
では、記録を行う事が難しい場合ですが、これについては残念ながらケースバイケースとなってしまいます。例えば筆者の場合では電話の内容をメモすることが難しいという点がありますが、名前はメモした上でその場で復唱し、所属については後でもう1度確認するという方法を取っています。
基本的に電話応対の内容が取り次ぎのみである為、最低限名前や所属、電話番号を間違えなければ最悪の事態は防げる、といったスタンスです。他の対策でもそうですが、最初は“何を一番に防ぐべきか”という点に対策を絞り、ある程度慣れてから他のことに気を回すほうが経験上有効でした。
ここまで、筆者自身の体験談としてワーキングメモリ不足での困り事やその対策をお話ししてきました。人によって困り事も効果のある対策も様々ですが、今回述べた体験談があなた自身に適した対策法を見つけるための一助になればと思います。
参考文献
ワーキングメモリーってなに?どんな働きをするの?|障害者ドットコム
ワーキングメモリ - Wikipedia
その他の障害・病気