HSPかも?と悩むあなたへ~自分らしく生きるために
暮らし出典:Photo by Ander Burdain on Unsplash
最近巷で話題の「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」をご存知でしょうか?まったく聞いたことのない方、言葉だけ見聞きしたことのある方、なんとなくイメージを持っている方、当事者、ざまざまだと思います。この記事では、当事者である筆者がHSPの概要を簡単に紹介したいと思います。
HSPの定義と特徴
そもそもHSPとは、アメリカの精神分析医で心理学者でもあるエレイン・アーロン氏が提唱した概念です。アーロン博士によると、HSPには「DOES」と呼ばれる次の4つの性質がすべて当てはまるといいます。
Depth:深く処理する、深く考える
Overstimulation:過剰に刺激を受けやすい
Emotional & Empathy:感情反応が強く、共感力が高い
Subtlety:ささいな刺激を察知する
同じく、アーロン氏によるセルフチェックリストを以下に引用します。当てはまる項目にチェックを入れて数えてみてください。
- ・自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
- ・他人の気分に左右される
- ・痛みにとても敏感である
- ・忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
- ・カフェインに敏感に反応する
- ・明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
- ・豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい
- ・騒音に悩まされやすい
- ・美術や音楽に深く心動かされる
- ・とても良心的である
- ・すぐにびっくりする(仰天する)
- ・短期間にたくさんのことをしなければならないとき、混乱してしまう
- ・人が何かで不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく(たとえば電灯の明るさを調整したり、席を変えるなど)
- ・一度にたくさんのことを頼まれるのが嫌だ
- ・ミスをしたり物を忘れたりしないよういつも気をつける
- ・暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
- ・あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり神経が高ぶる
- ・空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる
- ・生活に変化があると混乱する
- ・デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
- ・動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
- ・仕事をするとき、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
- ・子供の頃、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた
以上の項目のうち14個以上に当てはまる場合、HSPといえるそうです。しかし、あくまで自己申告のチェックリストなので、これだけでHSPだと決められるものではありません。該当数が少なくても、それぞれの項目に対して程度が強ければHSPの可能性があるそうです。
また、最近では国内でも研究が進んでいるようで、「HSPS-J19」という日本人に合わせたチェック項目もあるので、気になる方は下記の参考文献URLを参考にしてみてください。
HSPにもさまざまなタイプがある
ここまでHSPの基本的な特徴や定義を紹介しましたが「セルフチェックはあまり当てはまらない」「当てはまるけれど違う側面もある」という方もいるはずです。実は、HSPにもさまざまなタイプがあることを、アーロン氏以外の心理学者も提唱しています。次はその一例です。
内向的HSP:内向的で刺激に対してネガティブ。1人の時間でエネルギーを回復します。
外向型HSP:社交的で刺激に対してネガティブ。1人の時間はエネルギーの回復ではなく、行動するための準備に使います。
刺激追求型HSP(HSS型HSP):内向的だけど刺激に対してポジティブ。1人の時間でエネルギーを回復します。
分類には諸説ありますが、さまざまなタイプのHSPが存在するのは事実です。環境や時間経過によって変わっていく性格のように、HSPも複数のタイプに当てはまったりタイプが変わったりすることもあるそうです。筆者自身も、中学生くらいまでは「内向的HSP」に近かったのですが、高校生になると「刺激追求型HSP」に変わっていったという経験があります。
ここで再度確認したいのが、どの分類でも「DOES」という特徴を共通して持っているということです。無理に型にはめる必要はありません。大切なのは、繊細で傷つきやすい一面と自分の特徴を否定せずに「自分はこんなところがあるな」と認めていくことだと思います。
おわりに
HSPは病気ではありませんが、そのなかにはうつ病や精神障害などを患う人も少なくありません。もし、困難や生きづらさを感じるのならカウンセリングや相談機関を利用しましょう。最近では、HSP外来のある心療内科やHSP専門カウンセラーも増えてきています。
HSPは、周囲から誤解されたり、自身のことがわからなくて悩んでしまったりすることも多いです。そういうときは、好きなことやワクワクすることを探してみてください。持ちまえの感受性の高さを発揮することで、自分に合った環境や暮らしが見つかるかもしれません。
参考文献
『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』P.130~P.227 イルセ・サン著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 電子書籍版 2016年
『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細」さんの幸せリスト』P127.~P.195 武田友紀著 ダイヤモンド社 初版 2020年
【ココヨワ【重要】HSPの4つの分類/HSP・HSS・HSEの種類と組み合わせを解説】
https://cocoyowa.com
【感情心理学研究・Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)の作成 】
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja